劇場公開日 2024年4月26日

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「凄絶な戦争被害のドキュメンタリー」マリウポリの20日間 オパーリンブルーさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0凄絶な戦争被害のドキュメンタリー

2024年5月19日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

負傷して命を落とす人、破壊される建物、喪われていくインフラ等、戦争の凄惨さを伝えるドキュメンタリー映画。中盤で女性の上着の中に抱かれた小型犬が、全身でガタガタ震えていたのが印象的だった
ウクライナ戦争の始まりの頃、地下室で「私は死にたくない…」と泣いていた少女も、このAP通信社のスタッフがとらえた映像
「この戦争、どうなると思う?」と問いかけられた40歳くらいの女性が、ロシアが勝って早く戦争終われと恐ろしさのあまり口にするかと思ったら、「戦争は終わってほしいけど、ロシア人にはなりたくない。ウクライナ人として生きたい。ただ普通に暮らしたい」と怯えながらも決意を込めて答えていた姿に、とにかく戦争の残酷さに怯えて映像として見ているだけの傍観者の自分を恥じた

ドキュメンタリーだが、音楽も付き、所々ナレーションで説明もあり、編集もなされているので、主観的すぎてよくわからないということは無い
ただ気になったのはドローン撮影なのか、マリウポリの街が次第に廃墟と化していくのが分かる上空からの俯瞰映像が所々に入る点。民間人でも狙撃されてしまうような戦場で、ドローン撮影可能なのでしょうか
(こういう点がロシア側がフェイクニュースだ、と決めつける点なのでしょうけれど)
映画冒頭は美しい東欧の街だったのが、ラストシーンはまともな建物など無い、煙をたてて燃える廃墟の市街地が広がっていました

現在はロシアが統治しているマリウポリ
破壊の限りを尽くされた市街地をこれから復興しようにも、瓦礫の下から名も無き犠牲者たちが次々と発見されることでしょう
名前が分からずただ数字のみが記されただけの粗末な墓標が建てられた丘、溝を掘って遺体をそのまま投げ込むしか手段がなかった集団墓地…

この映画が触れることがなかった、マリウポリ製鉄所で最期まで戦ったウクライナ兵士たちもいました

こんな悲劇がまだ何処かで繰り広げられてると思うといたたまれません

オパーリンブルー