劇場公開日 2024年4月26日

  • 予告編を見る

「遥かに想像を超えた惨状から受け止めるべき事」マリウポリの20日間 mayuoct14さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0遥かに想像を超えた惨状から受け止めるべき事

2024年5月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

映画仲間からの「強烈」「見るべき映画」とのコメントにインスパイアされ、終わる前に確実に見なければ…との思いで見て来ました。

ニュースや報道の特集番組である程度見て来たつもりでしたが、マリウポリの惨状がここまでとは思っていませんでした。また、こんなに死体や人間の傷ついた身体が多く、生々しく出てくるドキュメンタリーはおそらく初めてでした。
たった20日間でマリウポリの街がほぼ壊滅状態になる過程は「残酷極まりないもの」ですが、事実として見ておく必要は絶対的にあると思います。
その理由は、以下に記すような、平和ボケにならないよう己れの意識を持つことができるようになると思うからです。
この作品を見ることで、
(1)今ガザで起きていることへの想像力も働くと思います。
(2)今のところ平和な日本で暮らせることへの感謝が強く心に湧くと思います。
(3)その日本の平和も、戦争が始まれば、どこかの都市でマリウポリと同じような惨劇が一瞬で起こる可能性がある…という恐れを感じることもできる思います。

私自身も、今も「ポレポレ東中野」等で上映中の『戦雲』という映画への思いが、このマリウポリのあまりの情況を見ることで再び湧き上がって来ています。
沖縄の先にある宮古島や石垣島では、私たちの知らないうちに着々と軍備が進められているということをこの『戦雲』という映画で知ることになりました。日本も「有事」という大義の下、こんなことが起きています。

この作品に話を戻すと、第96回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したとのことです。
カメラが捉えた紛れもない事実の力(空爆の生々しい爆音や人々の表情や涙も力を増大させる役割を果たしています)、その事実を届けるために命懸けで取材したAP通信のジャーナリストの力を、映画を見てその目で確かめれば、それは当然と感じざるを得ないでしょう。

「戦争が起きたらどうなるのか」。私たち一人ひとりが映画の中からこのことをできるだけ正しく知り、受け止めることからでしか、人間の愚かな性(さが)を止めることはできないし、平和を維持することもできないと思います。

mayuoct14