「今」マリウポリの20日間 侍味さんの映画レビュー(感想・評価)
今
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過去でも未来でもなく、今を切り取った記録。
淡々とカウントダウンが進む中、キャタピラの振動と共にロシアがすぐそこまで攻めてくる。
あそこで上がった煙の下で誰かが死んでいる。
始まりは普通の日常。
地元ではそんな馬鹿なことが起こるはずもないと高を括っていた中、火の粉が降り注ぎ、少しずつ世界が壊れていき、気が付けば周りは瓦礫の世界。
クルーが病院に張り付いていた(唯一そこが安全だと誰もが思っていた)ため、奇跡的にも生き延び続けることができる。やがてその病院でさえも安全ではないと知る事になる。
マリウポリでは途中から情報が断絶し、何が起こっているかすら分からず、ただ明日を生きれるかすら不明の状況。
ニュースでカウントされる死者何名の現実がこの記録から炙り出される。
生半可なホラー映画よりも怖い。
息をする暇すらなく終わる。
このドキュメンタリーは人間性を問う記録である。
鑑賞後、何も起こらない日本の日常に戻されてから、我々の行動が問われる。
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