「【AP通信取材班が命懸けでウクライナ・マリウポリが壊滅するまでの惨状を記録した緊迫感溢れる哀しきドキュメンタリー作品。今作により、ロシアの戦争犯罪が全世界に認知された画期的作品でもある。】」マリウポリの20日間 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【AP通信取材班が命懸けでウクライナ・マリウポリが壊滅するまでの惨状を記録した緊迫感溢れる哀しきドキュメンタリー作品。今作により、ロシアの戦争犯罪が全世界に認知された画期的作品でもある。】
■今作は、観ていて、非常に心理的にキツイ映画である。そしていつの間にか、哀しい涙が滲んでいる作品でもある。
だが、今作は現代世界の暗黒状態の縮図であり、国際政治もしくは人権に関心のある方は、機会が有れば観て頂きたい作品である。
◆感想<Caution!!内容に触れています。>
・冒頭、ロシアを統べる男は、あの能面の様な顔で、”一般人には危害は加えない。”と宣う。
・AP通信取材班による抑制したナレーションが効果的で、上映中、ドーンドーンという爆撃音が腹に響く。且つ、劇伴は一切ない。
・私たちが見るのは自宅を爆撃され泣いている老婆、サッカーをしている時に爆撃され両足を失い、死んだ息子の頭を慟哭しながら、抱きかかえて泣く父親の姿である。
・更に脳内が怒りに満ちたのは、ロシア軍が病院へ爆撃した後のシーンである。
産婦人科、小児科が被害に合い、血塗れで担架で運ばれる妊婦、心配蘇生も空しく亡くなる赤子の姿である。そして、泣き崩れる若夫婦の姿である。
ー このシーンだけで、ロシアの赦されざる戦争犯罪が明らかになる。
病院を爆撃するという事は”人道に対する罪”だからである。-
■そのような状況下、医師が自らAP通信取材班に申し入れ、メッセージを送る姿が心に響く。
- これが、現実だ!この惨劇を世界に伝えてくれ!!-
・ロシアは通信網を遮断するが、AP通信取材班は電波が届く僅かな場所から、情報を分割で本部に送る。
だが、それに対してロシアの報道は”フェイクニュースである。”と言う反応をし、やり過ごそうとする。”全て芝居だ。”とまで言う。被害者は演者だと言うのである。
ー 怒り心頭に発するシーンである。ー
・更に悲しいのは、マリウポリの民が同胞の店から品物を強奪するシーンである。
ー ナレーションでは、情報が入らない苛立ちが原因と言われるが・・。人間の尊厳を失わせる戦争の姿・・。-
・AP通信取材班がウクライナ特殊部隊に護られ、ロシア軍に包囲された病院からの脱出シーンは物凄い緊迫感である。
<この貴重な映像に対し、国際社会は託されたウクライナ・マリウポリの民の想い、希望を受け止めているのだろうかと思った作品である。
因みに米国共和党の大統領選候補者は、大統領になったらウクライナへの支援を打ち切ると明言している。
米国民の方々の、自国ファーストではなく、現代世界の状況を俯瞰した上で、候補者を選ぶ選択に一縷の希望を託したい。
日本もウクライナに対しお金の支援をしているが、他に何が出来るかを考えさせられた作品でもある。>
GWの渋滞を2時間半かけてミリオン座へ、開始ギリギリで「まだ間に合いますか」「本日は満席です」。って言われました。満席なんてこと想定外でした。上映期間中にリベンジしたいと思います。