「「黒人さんごめんなさい」を連発してくる白人は、もううんざり。」アメリカン・フィクション ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)
「黒人さんごめんなさい」を連発してくる白人は、もううんざり。
テレビデビュー当時、「じゃないほう芸人」のオードリー若林が、
濃すぎるキャラクターだった相方の春日に対して、自分のキャラの弱さを
「人見知り芸人」や「小物MC芸人」としてカバーし立ち向かい、悪戦苦闘していたわけだが、
仕事をこなすにつれて、
肝心の「人見知り」が治ってしまった、というエピソードがある。
それは人間関係的とても良い克服なのだけど、周囲の人間は未だに、
「人見知り」の若林として接し扱うし、「人見知り」の代表格として浸透しすぎた為、
本来の自分を出すことができず、自分ってどういう人間だったっけと、
なんだか、よくわからなくなってしまったそうだ。
一度定着してしまった「先入観」や「固定観念」を、覆すことは意外と困難だ。
これは、キャラクターのお話だけれども、
この作品は、人種、とりわけアメリカ合衆国内における「黒人」という属性に対する、
一般的な「ステレオタイプ」のイメージに、悩み苦しむ、黒人作家の物語。
「俺は黒人をステレオタイプにはめ込んだチンケな物語は書かねえぜ」とハスってる黒人作家が、
あまりに自分の文学作品が売れない為に、やけくそで、偽名でステレオタイプな黒人文学を書いたら、
皮肉なことに大ヒットしてしまう、という皮肉に富んだお話。
設定が極めて面白い。
「黒人らしさ」を求めているのは、実は白人側のほうで、
人種差別への罪の意識に、日頃から苛まれている白人が、
贖罪意識の成れの果てとして、差別に苦しむ黒人を描いた、本だの映画だのを作っている事への、
社会風刺になっている。
実際、映画を観てると、やたらと黒人がどうだのこうだのという作品ばかりで、
日本人として、うんざりする時がたまにある。
もうお腹いっぱいだよ!と叫びたくなる。だから洋画って嫌なんだよって思う時がある。
黒人を差別する白人も悪いと思うが、
「黒人さんごめんなさい」を連発してくる白人にも、うんざりするのだ。
結果、洋画を観てると白人が心底嫌いになる。
「ごめんねごめんね~」はU字工事の専売特許なんだよ!!!
(=゚ω゚)ノ
そういえば、U字工事も栃木やら北関東へのライバル心やら、
お国自慢という名の「地域差別」の漫才ネタをやってる芸人であることに、たった今気づいた次第。
あら不思議。繋がってるんだなぁ~。
黒人差別がテーマの映画ばかりでうんざりする人でも、
この作品だけは、別扱いで好きになれるんじゃないだろうか。