劇場公開日 2024年12月20日

「リアリティ溢れるアイドルの作り方がGOOD」【推しの子】 The Final Act 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0リアリティ溢れるアイドルの作り方がGOOD

2024年12月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作漫画未読、アマプラでやっているらしい配信ドラマも未見で、予告編だけを観て鑑賞しました。「推しの子」というタイトルや、予告編やチラシ写真で見られた秋元系のアイドルが歌っているシーンからは、ゴリゴリのアイドル映画かなと思いつつも、アイドルっぽい女の子が玄関先で刺されるシーンも予告編にあったことから、一体どんな話なんだろうと思いながらの鑑賞でした。

そしてまず感心したのが、「推しの子」というタイトル。単純にアイドルを”推し”ているファンの”子”の話かと思ったら、推していたアイドルの子供に転生するという話で、この原作者のネーミングセンスは群を抜いているなと思ったところでした。また、人気アイドルが誰に何故刺されたのかというのが本作最大のテーマであることも分かり、鑑賞前の謎が氷解し、その点だけでも満足出来ました。

良かった点は、劇中のアイドルグループ「B小町」のリアリティ。”転生”というファンタジー全開の大技を使いつつも、本作が何となくあり得そうな話だと感じたのは、この劇中アイドルグループのキャラクター設定が実によく出来ていたことであり、彼女たちを演じた齋藤なぎさ、原菜乃華、あのちゃんの3人が、秋元系アイドルにピッタリ嵌っていたからでしょう。実際劇中の歌も良かったし、振り付け◎。自分で歌ってるんだか歌ってないんだか分らないような雰囲気もそれっぽくて最高でした。

一方イマイチ腹に落ちなかったのは、真犯人の動機。生い立ちとか現在のメンタリティの説明があったけど、それだけで人を平気で殺すってのがどうも理解できませんでした。勿論サイコキラーみたいなのがいることは分かりますが、本作は登場人物の感情の襞を丁寧に描き出していることが良いところなので、真犯人も同様の描き方をして欲しかったと思いました。いずれにしても、原作ではもっと真犯人の人物像を深く描いているのかも知れませんが、少なくとも本作での描き方は足りなかったように思いました。

そんな訳で、本作の評価は★3.2とします。

鶏