「クリエーターの叫びが聞こえてくる」数分間のエールを bionさんの映画レビュー(感想・評価)
クリエーターの叫びが聞こえてくる
新しい表現方法を果敢に切り開いていこうという姿勢がビンビン伝わってくる。光と影のコントラストでキャラクターを演出するかと思えば、情景たっぷりな絵画的背景に見惚れてしまう。
アクリルタッチでキラキラとまぶしいラストを見ていると、前向きな気持ちが湧き上がってくる。
スパイダーバースで始まったアニメーション革命の影響を受けているのは間違いない。スパイダーバースを全肯定し、咀嚼しきった上でオリジナルな表現に辿りついたように感じる。上から目線でごめんさい。全力で褒めてます。
クリエーター賛歌でありながらも、過酷な現実も描かれる。
20年前であれば、「世の中が俺の才能に気がついていないだけ」とうそぶいて、自分をごまかすこともできた。SNSではっきりとした数値で評価が見えてしまう現在では、誰かに届けたい歌が、ネットの海に漂っているだけの事実が本人に突きつけられる。
周りからチヤホヤされる程度の才能では、一等星として輝く圧倒的な光の前に存在すらかき消されてしまう。
何かを創らずにはいられない。そんなクリエーターの叫びが聞こえてくる。
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