劇場公開日 2024年6月14日

「クリエーターの叫びが聞こえてくる」数分間のエールを bionさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0クリエーターの叫びが聞こえてくる

2024年6月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 新しい表現方法を果敢に切り開いていこうという姿勢がビンビン伝わってくる。光と影のコントラストでキャラクターを演出するかと思えば、情景たっぷりな絵画的背景に見惚れてしまう。
 アクリルタッチでキラキラとまぶしいラストを見ていると、前向きな気持ちが湧き上がってくる。

 スパイダーバースで始まったアニメーション革命の影響を受けているのは間違いない。スパイダーバースを全肯定し、咀嚼しきった上でオリジナルな表現に辿りついたように感じる。上から目線でごめんさい。全力で褒めてます。

 クリエーター賛歌でありながらも、過酷な現実も描かれる。
 20年前であれば、「世の中が俺の才能に気がついていないだけ」とうそぶいて、自分をごまかすこともできた。SNSではっきりとした数値で評価が見えてしまう現在では、誰かに届けたい歌が、ネットの海に漂っているだけの事実が本人に突きつけられる。
 周りからチヤホヤされる程度の才能では、一等星として輝く圧倒的な光の前に存在すらかき消されてしまう。

 何かを創らずにはいられない。そんなクリエーターの叫びが聞こえてくる。

bion
Mさんのコメント
2024年6月23日

何か背中を押してくれる作品でした。
「誰かに届けたい」
「自分は何のために作っているのか」
という原点に立ち返ることができたように感じます。

M