「奥底にあるルッキズムを暴かれる」顔を捨てた男 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
奥底にあるルッキズムを暴かれる
顔が変形した男エドワードが、新たな人生を歩もうと過激な治療で新しい顔を手に入れるも、かつての自分にそっくりな男オズワルドが現われ…
顔にコンプレックスを抱える男が整形でイケメンになるというお話といえば、ミッキー・ロークの『ジョニー・ハンサム』が思い出深い。でもこちらはかつての自分とソックリな男が登場し、それもドッペルゲンガーや妄想でなく実在の人物として現れるというのがミソ。監督のアーロン・シンバーグ自身が両唇⼝蓋裂の矯正治療を受けた経験に基づいているとの事だが、観る者に誰しもが奥底に持っているであろうルッキズムを突きつけ、「多様性が叫ばれる昨今だけど、はたして本当にそうなのか?」と問いかけられた気分になる。
とにかくオズワルド役のアダム・ピアソンが本作全てを持っていってしまっている。エドワードを演じたセバスチャン・スタンがゴールデングローブ賞を獲得したけど、ここはアダムが受賞すべきだったのでは(セバスチャンの演技自体に文句はないけど)。アダムは『エレファント・マン』の再映画化に主演が決まっているが、これは期待せずにはいられない。ちなみに、本作の原題『A Different Man』は『The Elephant Man(エレファント・マン)』のもじり。
終盤で登場する某俳優が本人役でカメオ出演しているが、いかにもなキャスティングで笑ってしまった。
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