劇場公開日 2025年6月13日

ラ・コシーナ 厨房のレビュー・感想・評価

全38件中、21~38件目を表示

3.025-077

2025年6月17日
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鑑賞方法:映画館

アメリカのど真ん中にいるけれど、
アメリカで働いているけれど、
アメリカ人女性と恋仲だけれど、
アメリカ人ではない。

濡れたネズミ、
濡れたメキシコ移民、
モロッコ、アルメニア、コロンビア、
移民の労働者は何者でもない。

仕事と食事があって、
それ以上に何を求める。
傲慢にも聞こえる言葉に
皆が沈黙する。

もっと人間らしく扱って欲しい。

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佐阪航

3.0モノクロでないと完走できない狂気がラストに待っているので要注意案件ですよ

2025年6月17日
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悲しい

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Dr.Hawk

3.5緑色の光

2025年6月16日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

驚く

斬新

いつものように 事前情報をシャットアウトして劇場へ。

ちょっと前に見た「We Live in Time この時を生きて」と同じ職種。

冒頭、アポ無しで知り合いのつてだけを
頼りに 携帯も持たずに面接に行く主人公。
レストラン事務所の面接シーン。
奥行きの有るパソコン・モニター(old MACか?)に懐かしさを覚える

ウエイトレスの制服デザインを見て
時代設定は現代じゃないと確信。

音響・照明、カメラワークが最高!
終盤に差し掛かるにつれて
なぜこの映画がモノクロームで
描かれたのかがわかる

ペドロ…
良いキャラだ
バカでチャーミングなロマンチスト

ジュリアのために作る
故郷のスパイスを効かせた
サンドイッチが旨そうだ。

今、私は国内有数の観光都市で
生活している。
職場で出会う人達の中にも
外国籍の名前がここ10年ほどで
増えてきて、
休憩時間の「国連会議」。
あのような情景が私の街でも見られる。

「面白かった」だけでは
すまされない、いろいろ
考えさせられる作品だった。

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虎吉

3.0あの冷蔵庫の肉は食べたくない、おえっ!

2025年6月16日
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鑑賞方法:映画館

圧巻の長回しとカメラワーク、台詞のかぶせ方、音響などに職人芸を感じる一方、内容は「ガール・ウィズ・ニードル」並にヘビーで、少々疲れる。
あのマッチの変てこなジョークは、「仕事と給料を与えているのに不満を言うな」と憤慨するオーナーが、解決のための根本的な事を解ってない(あるいは黙殺している)こととリンクしていたのね。上手い回収だな。
ラストの緑は裏通りの夢語りとともに(ささやかな)希望の象徴かも知れないが、グリーンカードを仄めかしているかも。

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ひろちゃんのカレシ

2.0濡れネズミ

2025年6月16日
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単純

難しい

タイムズスクエアのレストラン「ザ・グリル」で働く多国籍の人たちの話。

母親の知人が働いているというだけで、それを頼って自信満々に飛び込みで仕事を求めて少女がやって来る中、昨夜の売上のうち800$強が盗まれたと大騒ぎして始まっていく。

初っ端から道を聞いただけでタラタラ長い能書き垂れるヤツが現れるし、店も従業員も遵法精神ないしアメリカらしいなと…最近日本でも問題が取り沙汰されている地域もありますが…。

粗暴で自己中で自己主張が激しい人たちの夢だとか能書きだとか全開だし、レストラン映画としても特に食いたい!ともならないどころか汚らしいしw、仕事としても効率が良い様にみえないし。
こういうのみると日本の飲食店って凄いなと思うよね。

結局仕事に対するプライドってそういうものか?っていうドタバタで、とりあえずお花畑な日本人で良かったなと実感した。

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Bacchus

4.0一件のレストランの1日を通して描かれる、アメリカ社会の縮図

2025年6月15日
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悲しい

興奮

知的

【イントロダクション】
アメリカ、ニューヨークのタイムズ・スクエアにある一件のレストランを舞台に、様々な国籍の従業員達が織りなす1日を描く。
イギリスの劇作家アーノルド・ウェスカーによる1957年の戯曲「調理場」を原作に、現代アメリカ社会のリアルをモノクロと趣向を凝らしたカメラワークで鮮烈に映す。映画化は今回2度目となる(1度目は1961年、ジェームズ・ヒル監督による『The Kitchen』)。
監督・脚本は、メキシコ出身の新鋭アロンソ・ルイスパラシオス。

【ストーリー】
ニューヨーク、タイムズ・スクエアにある一件の高級レストラン“ザ・グリル”。オーナーのラシッド(オデッド・フェール)は、アラブ系アメリカ人の起業家として成功した人物。ウェイトレスは白人のアメリカ人が多くを占めているが、客から見えない厨房では、ラテンアメリカ人やアラブ系の不法移民が従業員として多く働いている。

英語を話せないヒスパニック系移民のエステラ
(アンナ・ディアス)は、コックのペドロ(ラウル・ブリオネス)のツテを頼りに、単身ニューヨークへ渡り店を訪ねる。英語を理解出来ない彼女は、デザートコックのノンゾ(モーテル・フォスター)の案内で面接室前にやって来る。エステラは面接の事前予約すらしていなかったのだが、運良く事前予約をしていた他人と勘違いされ、店で働くことになる。ペドロは粗暴ながら陽気で料理の腕も良く、前日にアメリカ人従業員のマックス(スペンサー・グラニーズ)との喧嘩も、料理長(リー・セラーズ)の計らいで不問とされた。しかし、優秀ながら風紀を乱すペドロの行動に、料理長は「警告は残り3回だ。3回目は容赦なく追い出す」と念を押す。

ペドロはウェイトレスのジュリア(ルーニー・マーラ)と交際しており、ジュリアはペドロとの子を孕っていた。しかし、「出産後は故郷のメキシコのビーチで家族3人で暮らそう」と夢を語るペドロに対して、ジュリアは中絶の意思を伝える。また、ジュリアは電話で誰か愛しい相手に繰り返し連絡を入れている様子だ。ペドロは、ジュリアに出所不明の中絶費用約800ドルを渡す。

時を同じくして、監督責任者のルイス(エドゥアルド・オルモス)は、帳簿係のマーク(ジェームズ・ウォーターストン)から、「前日の売り上げ金が823ドル足りない」と報告を受け、ラシッドの怒りを買うまいと、彼らはウェイトレスや従業員を次々と面接し、犯人探しを開始する。

いよいよ「午前の部」の店が開店し、従業員やウェイトレスは猛スピードで料理を作り、次々とテーブルへ運ばれていく。エステラはロクに指導を受ける事もなく、店の荒っぽいやり方に着いて行かざるを得なくされる。
ラシッドは犯人探しを含めて厨房の様子を見物に訪れ、ペドロに「ビザの申請に協力する」と口約束をする。しかし、それは従業員のやる気を促し、店の売り上げを保つ為の体の良い嘘でしかなかった。

チェリーコークの自販機が壊れ、厨房が水浸しになるという惨事にも拘らず、客のオーダーに合わせて次々と料理が作られては運ばれてゆく。ペドロの夢、ジュリアの中絶、翻弄されるエステラ、犯人探しに躍起になるルイスetc.様々な人物達が入り乱れる混沌とした空間の中で、“ザ・グリル”の長い1日が幕を開ける。

【感想】
本作にコメントを寄せている著名人含め、他の方も散々指摘している事だが、これはまさに「資本主義社会の縮図」だ。元の戯曲、及び1度目の映画化の舞台であるヨーロッパから、本作では舞台をアメリカへと移し、様々な登場人物達が織りなすドラマ、クライマックスの怒りの爆発に「現代アメリカの縮図」を見せる。

移民問題や人種差別、そして資本主義社会の搾取構造。一件のレストランの1日を舞台に、それぞれの登場人物達の抱える問題を浮き彫りにしていく。
グルメを題材にしつつ、登場する料理がその殆どに魅力を感じないという“逆フード映画”なのが凄い。但し、私は作中2度、登場する料理を「美味しそう」だと感じた。それは、ペドロがジュリアに振る舞うサンドイッチと、ホームレスに振る舞うロブスターの弁当だ。それはどちらも“相手の為を思って”振る舞われるものである。ベタではあるが、そのようにさり気なく“料理の本質”を描いている抜け目なさがニクい。

開店後の慌ただしい店内の様子をワンカットで捉えて見せたカメラワーク、作中数少ないネオンライトの青い“色”のある肉の冷蔵室内でペドロとジュリアが語り合うシーン等、魅力的で印象的なシーンは数多く存在するのだが、やはり特に印象的なのは、ペドロをはじめノンゾやサルバドール(ベルナルド・ベラスコ)、ネズミ(エステバン・カイセド)やサミラ(ソンドス・モスバ)といった様々なルーツや価値観を持つアメリカン・ドリームを夢見る移民達が、休憩時間に店の裏でそれぞれの夢について語り合うシーンだろう。

本作を語る上で重要なのが、この時にノンゾが語った“2度の緑の光”についての話だ。
とある移民が、入国審査で隻腕である事を理由に檻に入れられてしまう。強制送還を待つのみだった彼は、宇宙人に緑色の光線によって連れ去られ、離れた街で発見された。彼は生涯悲しみを背負いながら生きたが、そんな中でも確かに輝いている瞬間があったそう。
話が終わり、ネズミは「2回目は?」と尋ねるが、ノンゾは「そんな事言ったっけ?」と覚えていない様子。

この2回目の光こそが、ラストでペドロが照らされる緑色の光に繋がる。ラスト、ペドロは自らが破壊した厨房のオーダー機の緑色のライトに照らされ、1人緑に輝く(僅かにエステラも)。
もしかすると、ペドロはこの先、アメリカへやって来て夢に敗れた悲しみ、ジュリアとの恋に破れた悲しみ、そうした様々な悲しみを背負って生きていくのかもしれない。しかし、ノンゾの話にあるように、緑色の光に照らされた事で、悲しみの中でも彼なりの輝きを放ちながら生きていけるのだとしたら、彼の行く末は決して暗いばかりではないようにも思える。

クライマックスでジュリアの中絶、そしてその理由を知ってしまうペドロが切ない。
ジュリアが作中度々連絡を入れていた相手、それは、本命の恋人等ではなく、10歳程の息子だったのだ。シングルマザーである事を周囲に隠し(もしかすると、ウェイトレス仲間には知っている者も居たかもしれないが)、育てていたからだ。彼女が冷蔵室で語った「18歳の時の妊娠」。その時の感覚を忌避している様子から、てっきり過去にも中絶したのだと勘違いしていたが、彼女は子供を産んでいたのだ。だから、ペドロの子供を産む事も、共にメキシコへ行く事も出来ないのだ。
全てを知ったペドロは、茫然自失となってしまい、ウェイトレスとの口論を皮切りに、厨房やレストラン内で暴れ回り、店を機能停止に追い込む。

私には、この自暴自棄となるペドロの気持ちが痛い程分かった。それと同時に、一種の痛快さも感じた。それはまるで、ラストでエステラが僅かな笑みを浮かべてペドロを見つめていたように。
ペドロは、ラシッドの下で3年間勤め上げてきた。未だビザの取得も叶わず、しかし恋人との夢が彼の支えとなっていた。それが崩壊した以上、彼には暴れ回る事で「俺は此処に居るぞ!」と存在証明する他なかったのだろう。それは、彼に出来る唯一の無情な現実への叛逆である。そして、あの瞬間、彼は確かにこれまで自分を搾取してきたラシッドの世界の時を止めて見せたのだ。
その様子に、私はカタルシスを感じずにはいられなかった。

【資本主義社会における、搾取する側・される側】
ペドロが売り上げ泥棒の疑いを掛けられた際、面接室でルイスに語ったベトナム戦争下での小話が印象的かつ本作を象徴するものである。

「どんなに親しくしていても、俺たちはアメリカ人にはなれない」

それは、アメリカン・ドリームを夢見てやって来て、その果てでビザの取得を盾に、ラシッドの下でこき使われるあの厨房の移民全員が感じている本音だろう。だからこそ、彼らは「神の次に偉い(意訳)」と豪語するラシッドの、「これ以上何が望みだ?」という問い掛けに沈黙で答える。暴れ回ったペドロを止めに入りつつも、彼に笑みを向けたエステラのように、何処かで彼の行動に賛同する気持ちを抱えていたのではないか。私には、そう映った。

だが、あの店で搾取されているのは、何も移民達だけではない。監督責任者のルイスや帳簿係のマーク、果てはあの店で25年勤め上げてきたという料理長すら、ラシッドからクビを切られる事を恐れ、彼に支配されている。特に料理長に至っては、調子に乗ったペドロに囃し立てられた他のシェフやウェイトレスに求められれば、国家を披露してお尻を出す事でその場を収めるしかない。

ラストのペドロの自暴自棄は、支配する側の傲慢さを浮き彫りにさせ、そんな支配者側は支配しているはずの一個人の叛逆によって、自らが築き上げた世界を止められてしまうのだ。

【総評】
現代における資本主義社会の縮図を、モノクロによる映像で痛快・痛烈に描いてみせる。
ペドロの行く末が、ノンゾの語った話のように、悲しみの中にも確かな輝きを持つものである事を願うばかりだ。

ところで、勤務中にあれ程皆でビール缶を開けて乾杯し合っている厨房はどうなのだろうか?(笑)少なくとも私は、あの店で食事をする気にはなれない。

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緋里阿 純

3.5【”ロブスター。”今作は白人優位のアメリカ社会は、低賃金の不法滞在者達の劣悪な労働条件有りて循環している事実を、有色人種もしくはプアホワイトで回すレストランの厨房を舞台に強烈に皮肉った狂騒曲である。】

2025年6月15日
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悲しい

興奮

幸せ

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NOBU

2.5見えない者たちの怒り?

2025年6月15日
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興奮

難しい

驚く

ほぼ全編がモノクロの映像で映されたニューヨークの中心街にある飲食店の厨房。
そこで働く多数派は移民たち、黒人たち。
オーナー以外は誰一人として裕福な人は居ませんが、ビザも滞在許可も不要な「アメリカ人」はある意味特権階級です。

店の客席と厨房、そして厨房内での格差が、ある一日の風景に被せて描き出されます。
従業員たちの何気ない雑談、雑談、雑談。この話が何処に行き着くのか見えないままに映画は進行して…
ちょっとびっくりするクライマックスへ。

う〜ん、多民族国家の抱える問題点が間接的に示されたようにも思いますが…
実はよく分かりませんでした。

ピーク時の厨房の喧騒と緊迫した雰囲気が見どころです。

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さとうきび

2.5こんなにまとまってなくてみんなが勝手な感じの厨房で これだけの席数...

2025年6月15日
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こんなにまとまってなくてみんなが勝手な感じの厨房で

これだけの席数の店(←見える限りでの想像だけど)が回るはずない

ってとこが気になったら

ずっと入れないまま

そして最後は呆気に取られたまま終わってしまった

期待しすぎてたのかな?

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jung

3.0レストラン=アメリカ合衆国

2025年6月14日
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興奮

舞台のレストランがアメリカ合衆国の縮図になっていて、劣悪な環境で働くのはほぼ中南米の移民、そしてオーナーは白人でした。カトリックだと労働は罰だから適当で良し。恋愛とセックスの方が100万倍大切。感情表現も情熱的だから、日本とは人種が違いますねえ。

アメリカは俺ら移民が支えてるんじゃねえか。オーナー(資本家)ふざけんじゃねえ。俺らがいなくなったらアメリカなんて回んねえぞ。

ペドロの大暴れっぷりと破壊っぷりが今のカオスなアメリカを観ているみたいでした。デモもこんな感じなんでしょうか。日本人は嫌がりますが、何をされても怒らない日本人は世界的にはおとなしすぎて論外か。

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ミカ

3.0ビザか人権

2025年6月13日
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久々のルーニー・マーラ出演作品 ウエートレスのユニフォーム可愛かった(昔のアメリカン?)
今度はモノクロでワチャワチャ感演出
すごく大所帯の厨房 移民はきっと給料安いのか、大して話も聞かず直ぐ採用してる様子 NYのタイムズスクエア、アメリカンドリームぽい場所なのに現在の🗽の縮図のようでした メキシコ→アメリカは簡単ではないのだね
正直ペドロさんは粗暴過ぎて、折角の料理も敢えての?不味そうな演出だったし全く感情移入できませんでしたが、オーナーの言い分にはあんた何も分かっちゃいねぇよと気の毒になった

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ゆう

3.0異文化共生の難しさ

Kさん
2025年6月13日
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店の売り上げ金が消えたことから
スタッフ全員が疑われ犯人探しへ。
ただでさえ忙しい厨房がさらに混沌化。

移民問題を凝縮させた作品で
圧巻の長回しに魅了されました。

上司が従業員の士気を上げるために
期待させる言葉を言ったまま約束を守らないところは
日本の労働環境にも通じる部分があると思いました。

人間関係と卑猥なジョーク、偏見が強烈!
大暴れするシーン大好きです。

モノクロ映像のなか、スクエア型の水槽に
ロブスターが落とされ閉じ込められるシーンと
緑の光が印象的でした。

上司の「何が欲しい?」の問いかけに
ちゃんと人間として扱ってほしいと
心の底から願いました。

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K

4.0「夢と希望を持って生きる」ことを妨げるのは、過度な労働

2025年6月13日
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笑える

悲しい

知的

モノクロである理由が最後でわかる。スルメを噛むようにどんどん味が出てくる映画だ。終わりまで見ることができてよかった。そうしなければこの映画が伝えたいことを掴めなかったろう。

原作の戯曲「調理場」は約70年前のものなのに、今も、いや、もっと尖鋭化し分断された社会が怒りと暴力で描かれている。自分と異なる存在を匿名で陰険にチクチクと虐める国も、移民による多様性が強みだったはずが世界の流れに逆行する言動を繰り返すトップ政治家(なのか?そもそも)ゆえに頭脳流出している国も、どっちもどっち。

いろんな罵り言葉を言い合って笑って盛り上がる厨房でのシーンは楽しそうだった。でも仕事が始まると同僚を名前で呼ばずに「○○○人」と、相手の出身国で呼びかけるのはとても嫌だった。モロッコ出身の女性は「カサブランカ」と呼ばれていたけれど嬉しくもなんともないだろう。自分の母語で自分の感情を吐き出せないのはどれだけ辛いか、と言うペドロの言葉に心が痛んだ。複雑な人間で、すぐ頭に血がのぼるけれど、困っている仲間には優しくてジョーク好きのペドロは、この映画の芯だ。ペドロの最後の暴れまくりの意味をレストラン・オーナーのラシッドは理解できない、というより他者への共感と想像力を既に失っている。彼ら移民を人間だと思っていないから。でもペドロを頼ってメキシコから来た新入りのエステラの表情に希望が少し見えた気がした。

ルーニー・マーラの輝きに癒される。サウンドデザイン、映像、音楽よかった。

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talisman

3.0小難しい会話劇ながら混沌を楽しめる

2025年6月13日
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原作は、 A.ウェスカーの戯曲「調理場 The Kitchen」(1959年初演)。
戯曲なだけに、ちょっと小難しい会話劇。
基本モノクロームの画面が時代を曖昧にしてくれていて、普遍的な物語にしてくれている。
レストランの厨房を舞台に、過酷な労働条件で働くさまざまな人種の従業員の人間模様。
あわよくばVISA取得を狙って働く移民に、その心情を利用する経営者。
サボったり、いちゃついたり、自分の持ち場を主張する割には…
自分の仕事を全うしようとして被害を被るウエイトレスが気の毒になってしまう。
そして、次々起きるトラブルに厨房がカオスと化し、ヒリついていく臨場感 ったら!
諍いや喧騒がメインなせいで残念ながら、料理が美味しそうじゃない 。
怒涛のラストで、見ている方が、呆気にとられて虚無になった

レストランで働くって、大変ですね。

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kinako-cat

3.5演劇ファン見るべし!

2025年6月9日
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原作が1959年初演のアーノルド・ウェスカーの戯曲「調理場 The kitchen」だと知らずに鑑賞。冒頭から映画ならではの鮮やかなカメラワークに見惚れるも、しばらくすると「あ、これは舞台劇だ」と気づく。台詞こそ巧みに翻案されてはいるものの、コトバの端々に舞台特有の“匂い”が多く残る。鑑賞後に確認してわかったのだが、全体構成も戯曲に準じている。これは案外、原作に忠実な映画化といってよいのでは。その意味で演劇ファンにぜひ見てもらいたい一作だ。

原作は、多様な人種が働く過酷な労働現場をベースに、資本主義が抱える矛盾、人間の尊厳破壊、階級社会、人種差別などをあぶり出す。この映画は、それらを現代にも通じる普遍的問題としてとらえ、主な舞台を「現代ニューヨークにある大型レストラン裏の厨房」としたうえで、その場所を「移民問題に揺れる米国社会の縮図」のように描いてみせる。テーマ的には、移民が抱くアメリカン・ドリームの果てを描いた『ブルータリスト』や移民問題を裏モチーフとした『パディントン 消えた黄金郷の秘密』など、昨今の洋画の時流に沿った1本ともいえるだろう。

そんな本作の、映画として最大の見どころはカメラワークと編集の巧さだ。冒頭のスタイリッシュな畳みかけや、劇中のワンシーンワンカットかと見紛うような語り口などは、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を彷彿とさせる。また、陰影に富んだモノクロ画面はアルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』のようでもある。

狭い厨房に立った料理人たちと調理台の合い間を縫うように動き回るカメラは、スリリングそのもの。また、従業員を面接したり皆で賄い飯を食べたりするシーンなどでは、効果的にクローズアップや切り返しが重ねられる。一種の群像劇でもある本作は大人数がかなり激しく出入りするが、映画の強みを活かし、脇キャラに至るまで見事に印象づけることに成功している。

調理中に飲酒、喫煙はもとより、口角泡を飛ばして下ネタやレイシスト・ジョークに興ずる。あるいは、ピークタイムにドリンクサーバーからチェリーコークが止めどなく溢れ出し、厨房の床全体が水浸しになってしまう——そんな不潔、不快な料理描写の数々は、どこかコラリー・ファルジャ監督作『サブスタンス』における調理風景や終盤の血しぶきブシャー(笑)を連想させる。
こうしたピークタイムの厨房のカオスは、まるでがなり立てる現代音楽の狂騒のようであり、チャップリン主演『モダン・タイムス』の非人間的な流れ作業の記憶ともダブって見えて、思わず体に力が入ってしまう。

このように本作は「映画」として大健闘しているのだが、一方で台詞の応酬や大仰なアクションがいかにも演劇的に響き、ダレてしまう瞬間も何回かあった。映画ファンとして「上映時間139分は長かったなぁ」というのが率直な感想だ。

最後に一つ、つけ加えると、パティシエの黒人が「奇跡の緑の光線」にまつわる悪夢のことを語る劇中シーンがある。この印象的なエピソードは後に、心の折れてしまった主人公が緑色に染まる(?)ラストショット(無声映画のパートカラーのように画面全体が緑色になる)へとつながっていくのだが、ここでふと思い出したのがエリック・ロメール監督の『緑の光線』。劇中に語られる緑の光線の逸話と多幸感あふれるラストが心を打つ名作だ。

本作のラストシーンはとにかく救いがなく、解決への糸口も示されない。しかし先のロメール作品を本作に引き寄せて考えることで、自然とナットクできたというか、一種の救いのようなモノを画面から感じ取ることができた。それは、主人公と同郷の女性が緑色の彼を見つめて微笑むところからも見て取れる。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のラストで、病室の窓から身を乗り出したエマ・ストーンが空を仰ぎ見ながら微笑むシーンに相通ずるモノが、本作の笑顔からもうかがい知れるのだ。なかなか鮮やかな幕切れだった。

以上、試写会にて鑑賞。

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いたりきたり

3.5カオスカオスをたのしめるか?

2025年6月6日
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alvo

3.5カメラワークが好き過ぎる

2025年9月8日
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笑える

楽しい

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ゆたかちひろ

3.5緑の光線

2025年6月13日
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日本もこうなりつつあるなあと思いながら見た

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m m
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