「劇場を支えてきた家族の物語」BAUS 映画から船出した映画館 Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)
劇場を支えてきた家族の物語
新宿の武蔵野館と吉祥寺のバウスシアターでインディペンデント系の映画を観ることを学んできた私にとって、2014年のバウスシアター閉館はとても大きな出来事だった。そんなバウスシアターを運営してきた本田家の家族愛と劇場の歴史を描いた作品。
作品は三幕構成で、第一幕が戦前から戦中の井の頭会館時代で、ハジメとサネオの兄弟がメイン。第二幕は戦後期のMEG時代で、サネオと妻のハマ、そしてこども時代のタクオが描かれる。そして第三幕で大人のタクオがバウスシアターの閉館を迎える迄が描かれる。
井の頭会館時代から映画のみならず、音楽や芸能も上演し、サブカルチャーを支える場であり、常に自由を追い求める人々の拠り所であった。その跡地が現在はROUND 1かと思うと若干の寂しさを感じてしまう。
MEG開館の際のスピーチでサネオが述べた「食べ物は体を作り、勉強は頭を作り、映画は心を作る」ということばが胸に響く。
プロットとして面白いかというとバウスシアターに何ら思い入れのない人にとってはそんなに面白くはないかも知れないが、思い入れのある人間にとってはこの上なくエモい作品だ。
余談だが、橋本愛(と染谷将太)の井の頭公園といえば、2017年の『PARKS パークス』が思い出される。
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