殺人鬼の存在証明のレビュー・感想・評価
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殺人鬼の存在証明 直前に見た人間の境界同様こちらもまた観ていて疲れ...
殺人鬼の存在証明
直前に見た人間の境界同様こちらもまた観ていて疲れる作品であった。
前半は時系列が前後して描かれ少しトリッキーに描かれている。
数だけじゃなくその残虐な殺し方に強い不快感を与える殺人鬼ではあるものの同時に主役の刑事含め登場人物の多くにも不快な部分がストーリーが進むに連れて炙り出てきて、単純に殺人鬼を追いかけるだけではない展開に自然と持っていかれる。これが特徴的で印象に残る作品であった。
最後の展開はまぁ早い段階で察してしまい驚きは薄れたが、とても個性的な作品に出会う事ができた。
個人的な2024年洋画新作鑑賞ランキング
1 ネクスト・ゴール・ウィンズ 4.8
2 Firebird ファイアバード 4.8
3 コット、はじまりの夏 4.7
4 アイアンクロー 4.7
5 オッペンハイマー 4.7
6 クレオの夏休み(横浜フランス映画祭2024) 4.7
7 コンセント 同意(横浜フランス映画祭2024) 4.7
8 ARGYLLE/アーガイル 4.7
9 アリバイ・ドット・コム2 ウェディング・ミッション4.5
10 バティモン5 望まれざる者(横浜フランス映画祭2024) 4.5
11 システム・クラッシャー 4.5
12 デューン 砂の惑星 PART2 4.5
13 愛する時(横浜フランス映画祭2024) 4.5
14 ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ 4.5
15 アクアマン/失われた王国 4.5
16 ニューヨーク・オールド・アパートメント4.3
17 マリア 怒りの娘 4.0
18 異人たち 3.7
19 ミツバチと私 3.6
20 ブリックレイヤー 3.5
21 ネネスーパースター(原題) Neneh Superstar (横浜フランス映画祭2024) 3.4
22 オーメン:ザ・ファースト 3.4
23 RHEINGOLD ラインゴールド 3.3
24 12日の殺人 3.3
25 インフィニティ・プール 3.3
26 ゴーストバスターズ フローズン・サマー 3.2
27 プリシラ 3.2
28 コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話- 3.2
29 コヴェナント/約束の救出 3.0
30 僕らの世界が交わるまで3.0
31 ゴジラ×コング 新たなる帝国 3.0
32 ブルックリンでオペラを 3.0
33 ストリートダンサー 3.0
34 カラーパープル 2.9
35 弟は僕のヒーロー 2.8
36 RED SHOES レッド・シューズ 2.8
37 画家ボナール ピエールとマルト(横浜フランス映画祭2024) 2.7
38 Vermines(横浜フランス映画祭2024) 2.6
39 関心領域 2.6
40 タイガー 裏切りのスパイ 2.5
41 ジャンプ、ダーリン 2.5
42 人間の境界 2.4
43 エクスペンダブルズ ニューブラッド 2.3
44 けもの(仮題)La Bête(横浜フランス映画祭2024) 2.3
45 マダム・ウェブ 2.3
46 落下の解剖学 2.3
47 ダム・マネー ウォール街を狙え! 2.3
48 哀れなるものたち 2.3
49 殺人鬼の存在証明 2.3
50 エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命 2.3
51 ザ・エクスチェンジ 2.2
52 DOGMAN ドッグマン 2.2
53 パスト ライブス/再会 2.2
54 リトル・エッラ 2.2
55 パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ 2.2
56 ボーはおそれている 2.2
57 ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 2.2
58 瞳をとじて 2.2
59 ゴースト・トロピック 2.2
60 葬送のカーネーション 2.2
61 Here ヒア 2.1
62 美しき仕事 4Kレストア版(横浜フランス映画祭2024) 2.0
63 ハンテッド 狩られる夜 2.0
64 サウンド・オブ・サイレンス 2.0
65 ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ
66 ゴッドランド GODLAND 2.0
67 キラー・ナマケモノ 1.9
68 ザ・タワー 1.9
69 ポーカー・フェイス/裏切りのカード 1.9
70 マンティコア 怪物 1.9
71 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断(イタリア映画祭2024) 1.9
72 アバウト・ライフ 幸せの選択肢 1.8
73 サン・セバスチャンへ、ようこそ 1.8
74 デストラップ 狼狩り 1.6
75 No.10 1.5
76 VESPER/ヴェスパー 1.5
77 フィスト・オブ・ザ・コンドル 0.5
番外
ソウルフル・ワールド 5.0
QUEEN ROCK MONTREAL 5.0
あの夏のルカ 5.0
私ときどきレッサーパンダ 5.0
FLY! フライ! 5.0
犯罪都市 NO WAY OUT 4.5
DUNE デューン 砂の惑星 リバイバル 4.0
バジュランギおじさんと、小さな迷子 リバイバル 2.0
メメント リバイバル 2.0
π〈パイ〉 デジタルリマスター 2.0
貴公子 1.5
ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター版 1.5
ロシア映画の深遠な魅力に迫る ロシア映画は、その独特な美学とストー...
ロシア映画の深遠な魅力に迫る
ロシア映画は、その独特な美学とストーリーテリングで、世界中の映画愛好家を魅了しています。特にサイコスリラーのジャンルでは、その予測不可能な展開と複雑なキャラクターが、観る者を物語の世界へと引き込みます。今回は、ロシア映画の魅力と、その複雑性について探ります。
ソビエト時代からの影響を受けたロシア映画は、しばしば社会的リアリズムと深い感情的な層を組み合わせています。これは、観る者にとって非常に心地の良い体験を提供すると同時に、ロシア社会の厳しい現実を反映しています。CG技術に頼ることなく、強力な表現力と演技力で物語を語ることが多いのも、ロシア映画の特徴の一つです。
物語の展開においては、時間を行ったり来たりするストーリーテリングが特徴的で、観る者を惹きつけ、真相に迫る過程を楽しませます。このような展開は、観る者にとって挑戦的かもしれませんが、物語の終わりにはすべての点が繋がり、満足感を与えるのです。
ロシア映画は、その芸術性と複雑さで、世界中の映画ファンにとって重要な位置を占めています。その独特なスタイルと深い感情表現は、映画を通じてロシアの文化と歴史を理解する手助けとなります。ロシア映画を観ることは、ただの娯楽を超えた経験であり、多くの人々にとって価値あるものです。
特に注目すべきは、サイコスリラー映画『殺人鬼の存在証明』です。この映画は、旧ソビエト連邦史上最悪の連続殺人鬼を追う刑事の物語を描き、実在の犯罪者をモデルにしています。そのリアリズムは観る者の心に強く訴えかけ、深い道徳的問題を提起します。
映画は、1991年の冷たい森で襲われた女性が保護されるところから始まり、彼女の証言が過去の事件との類似点を浮き彫りにします。捜査責任者イッサは、新たな容疑者アンドレイ・ワリタさんを追い詰め、尋問を通じて彼が真犯人であると確信に至りますが、ワリタさんから明かされる真実は予想を超えるものでした。
『殺人鬼の存在証明』は、サイコスリラーとしての要素を超え、観る者に道徳的な問いを投げかけます。真実とは何か、そして正義とはどのようにして実現されるのか。これらの問いは、映画を観た後も長く心に残るでしょう。
実在のシリアルキラーたちをモデルにしており、特にアンドレイ・チカチーロさんという人物が主なモデルとなっています。彼は1970~1980年代に54人を殺害したとされる「ソ連の赤い切り裂き魔」として知られており、映画は関係者への緻密な取材や様々な連続殺人事件のリサーチを基に、犯人像を構築しています。
『殺人鬼の存在証明』は、サスペンスとスリラーの要素を巧みに組み合わせ、観る者を最後の最後まで翻弄します。実際の連続殺人事件からインスパイアされたこの作品は、リアルと先読みできない脚本の妙を持ち、観る者に強い印象を残すことでしょう。
ロシア映画の世界に足を踏み入れることは、映画というメディアを通じて異文化を体験する旅です。もしまだ観たことがないなら、ぜひ一度ロシア映画の深遠な世界を探索してみてください。あなたにとって新たな発見と感動が待っているかもしれません。
マッドサイエンタム
ダ〜ッ!ダ〜ッ!ダ〜ッ!
1991年に10年以上に渡る連続殺人犯として逮捕された男を巡る捜査官の話。
1988年の事件の様から始まりそのまま1991年、女性を気絶させた後に刺して目を覚まさせて殺人を犯す犯人から逃げ延びた女性の証言から、どんな捜査をしたかわからないけれどあっという間に真犯人逮捕。
既に犯人とされて捕まり有罪となって投獄中の人物がいるとか…。
そんな序盤から時系列を遡り、過去と今を行ったり来たりしながらみせていくけれど、あらすじ紹介や冒頭で犯人がわかっている中で、ポンコツ捜査官達のヤサグレと迷走&暴走三昧で何をみせられているのか…しかも初めての生きた被害者の証言と犯人の姿違わね?
終盤になってやっとこ話しにひねりが見えてそれっぽくなったけれど、写真見て呟いた時点で既に答えはみえみえだし、時系列弄らないで順を追ってみせた方が面白かったんじゃないっすかね。
なかなか珍品
前半は時制の往き来と、馴染みのない捜査手法 (自白させてから面通しするってどうよ?) のためにいまひとつ飲み込み辛いが、後半俄然面白くなってくる。
「本物の○○」という言葉で??となり、妹の果たす役割が分かってくると…
旧ソ連時代を描いた地味な事件捜査ものかと思ってたら、なんのなんの、なかなかの珍品でした!
タイトルも納得。いないと困るもんね。
これ、韓国映画が得意なやつ!韓国で現代風の味付けでリメイクして欲しいわ!
自白に至る過程を章立てにして、1991年と1981年を交互に見せる難易度高めのミステリー
2024.5.7 字幕 T・JOY京都
2021年のロシア映画(138分、G)
10年前の事件の再捜査を強いられる捜査員が事件の全容に辿り着く様子を描いた犯罪映画
監督はラド・クバタニヤ
脚本はラド・クバタニヤ&オルガ・ゴロジェッツカヤ
原題は『Казнь』で「実行」、英題は「The Execution」で「処刑」という意味
物語の舞台は、ロシアのモスクワ郊外
数々の難事件を解決し、昇進を果たしたイッサ(ニカ・タバゼ)のもとに、ある一本の電話が入る
それは、彼が10年前に解決したはずの事件と同様の手口による被害者が出て、それによって「真犯人」の存在が浮かび上がってきたからだった
昇進パーティーも中断され、署に向かったイッサは、そこで被害者の女性キラ(アグラヤ・タラソーバ)から話を聞くことになった
キラは犯人に抑え込まれ、口の中に土を入れられて窒息させられそうになっていて、その手口がかつての事件と酷似していた
イッサはキラに見覚えがあり、それは彼女の姉ヴェラ(ユリア・スニギル)の葬儀の場であることを思い出す
彼女もまた非業の死を遂げていて、イッサはその捜査に関わっていたのである
イッサは再捜査を始め、犯罪現場の記録係イワン(エフゲニー・トゥカチュク)とともに、過去の事件を洗い直すことになった
そして、当時の捜査資料などを読み解き、アンドレイ・ワリタ(ダニール・スピバコフスキー)を容疑者と断定する
彼の住処を包囲し、逮捕したイッサは、警察ではなく、彼の家で取り調べを始めようと考える
部下たちは戸惑いを見せるものの、そこでワリタを拷問する形で、取り調べは進行していくのである
映画は全7章の構成で、「Важняк(ボス)」「Отрицание(否認)」「Гнев(怒り)」「Торг(交渉)」「Депрессия(鬱病)」「Принятие(受諾)」「Казнь(実行)」という感じに進んでいく
「否認」以降は劇中でも語られる「事実関係の認知の心理過程」になっていて、最終章は文字通り「処刑の実行」という感じで結ばれる
ワリタは自白をすることになるのだが、彼はひとつだけ「否認」を貫く
それが、ヴェラの殺害に関するものだったのである
物語は、1981年と1991年が交差して描かれる構成になっていて、1991年は時系列で再捜査の流れを描き、1981年〜1986年までは前回の事件の真相を順を追って示していく流れになっている
この構成に早めに気づければ混乱はしないものの、全7章内全てで2つの時間軸の話が展開するので、時系列の変化は合計12回ほどあったりする
それゆえに頭の中でシーンのパズルを作ることになるのだが、それがハマる瞬間というのは爽快なものがある
それでも、難易度高めの映画なので、繰り返し観ることで面白さがわかるタイプの映画であると言えるだろう
ワリタが自白を強いられる過程は、同時に真犯人が自白を強いられる過程にも似ていて、捜査が進むにつれて浮かび上がる事実というものは罪深いものがある
犯人を通して見えてくるものが、そのまま跳ね返ってくるようにも見えるところが面白くて、それゆえに知的好奇心をくすぐる内容になっているのではないだろうか
いずれにせよ、原題や英題では意味がわからないのだが、邦題は言い得て妙という感じになっていた
原題は7章のタイトルになっている言葉で、そこで英題の処刑が行われるのも趣がある
とは言え、かなり地味な作品で、人物の判別もかなりつきにくいので、精神的に疲れる映画であるというのは間違いないと感じた
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