劇場公開日 2024年11月22日

「無名大物YouTuber「syamuさん」のスケールダウンな映画」ドリーム・シナリオ ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)

1.5無名大物YouTuber「syamuさん」のスケールダウンな映画

2024年12月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

自分のあずかり知らぬ所で、
見ず知らずの人から憎悪を向けられ、命を狙われるという設定は、
今年の映画だと、cloud(クラウド)の菅田将暉がやっていたが、

この映画の場合は、主人公が不特定多数の夢の中でミーム化され、
よくわからないまま有名になり、
そこから憎悪を向けられるという設定を、一枚嚙ませている。

一旦「持ち上げてから落とす」というのは、
インターネットが普及してから度々みられる光景であり、
素人ストリーミング配信で有名になった人が、
有名になり過ぎた為に批判され、どん底に落ちていくのと同じ構造の中に主人公はいる。

つまり、無名YouTuberの、syamu_gameさんの話だなと思った。

syamuさんを大学教授の設定にしただけなんだなと。

なるほど確かに、この教授は平凡で何も無い凡人だが、
凡人なりに、著書論文を出版したいという小さな我欲を持っている。
凡人のくせに、しょうもない自己顕示欲は隠せない。

もうそれだけで、憎悪を向けられる資質は「ある」ような気がする。
syamuさんは、雑談も面白くない、何のスキルも持ち合わせていない、
つまらないYouTuberだったからこそ、あれだけ有名になり、そして叩かれたのだ。

ミーム化された凡人の栄枯盛衰物語。時代に即したという意味では、
目の付け所の良い映画だったのだが、
これは脚本のせいなのか、テンポが悪く、鑑賞中は眠気との闘いになってしまった。

いや、すでにこの手の、ミーム化された凡人の栄枯盛衰物語は、
ネット上で散々観てきてしまったが故、それらと比すると、
そちらのほうが面白い人生だったのだろう。

ニコラス・ケイジの髪型で出オチピークであり、もっとこう、
持ち上げ<尽くして>から落としたほうが、
ダイナミックな人生となり、面白くなったのではないだろうか。

持ち上げ部分のフリが弱い。なので、オチも弱くなる。

そんなことならsyamuさん主役の設定でも良かった。

ソビエト蓮舫