ソウルの春のレビュー・感想・評価
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恥辱の季節
ヤバ。まじでヤバ。
映画としてどうこう以前に、まずベースとなった史実がヤバすぎる。
韓国の歴史に疎い人間としては「KCIA」の大統領暗殺事件の後、そこから光州事件に至るだいたいの流れを知ることができて、なるほどなーと納得した。文字通り血まみれで勝ち取った民主化だもんなぁ。。
もちろん英雄譚として盛られてる部分はあるんだろうけど、いかに韓国が恥辱の時代を経て今の自由な空気を謳歌できるようになったのか、そのために少なからぬ血が流されたことも含めて、超ハードかつ誇り高い歴史の一端を垣間見ることができた。
観終わって劇場を出る人たちはみな、重いため息と沈黙に包まれていた。
そりゃそうだ、こんな題材をちゃんとスターを使って娯楽大作に仕立てちゃうんだから、韓国映画ヤバすぎるでしょ。。
内容は韓国における2.26事件であり、序盤は押井守の「パトレイバー2 」を連想した。そこにナウシカとしてのチョン・ウソンが舞い降りる…のだがしかし。
登場人物が多いしだいたい軍服なので敵味方の見分けがつかなくなるとか細かい問題はあるけど、後半に行くに従って解消するし、とにかくそれどころじゃない。
みんな大好きファン・ジョンミン、今回ふと松田優作みがあるなあと気づいた。顔が似てるというより、親しみやすいそのへんのニーチャンて感じなのに、なに考えてるかわかんなくて怖いとか、狂犬ぽい役が似合うとか、全体的に体型がヒョロっとしてるとか…長生きしてね!
帰り道、思わずその辺を歩いてる人に全員観て!と言いたくなった。ていうか観て!
上手いことやったのが全斗煥、下手打ったのが226?
タバコの本数と電話のなる音に負けず劣らず、情報量が多くて登場人物も...
権力暴走への危機感
クーデター発生から反乱軍と対反乱軍の対応攻防など、テンポよくスピーディーかつ緊迫感のある描写で面白かったです。
正直、スピーディー過ぎて名前とか所属とか位置関係とかきちんと把握しきれていませんが、実話モノらしい説明字幕などでおおむね状況は分かったように思います。
主要人物は対比的なキャラクターとなっており、上層部の事なかれ主義のクズぶりも際立ち、人物描写は分かりやすく見やすかったです。
クズぶりは戯画的過ぎるようにも感じましたが、もしかしたら実際にこんな感じだったかも知れませんが。
とは言え、一応この作品を観る前にクーデター事件の概要はネットで調べて把握していたので、全く知らない状態だとクーデター計画の流れとか理解しにくかったかもと。
チョン役のファン・ジョンミン、イ役のチョン・ウソン、それぞれのキャラクターがよく伝わる演技も良かったです。
チョンのアクの強い野心家ぶりも、イの真っ当な軍人としての信念を貫く様子も、それぞれに印象深いです。
最後の対比は、もうなんとも……
軍事力を持った権力が暴走することや、暴走を容認してしまうような体制への危機感がひしひしと伝わります。
これを繰り返してはいけないと。
日本も自衛とは言え軍事力を持った組織がありますし、費用を膨らませたり不祥事が発覚したりしている昨今、完全に大丈夫だとは言えないのではと思ってしまいますが。
韓国軍事政権の暗闇と正義の潔さ
韓国現代史の暗部を描く映画はハズレがない
映画「タクシー運転手」で市民を虐殺していった軍事政権が作られる過程が描かれる。また、映画「KCIA 南山の部長たち」で大統領が暗殺された直後の話でもある。
まず全斗煥(役名はチョン・ドゥグァン)を演じたファン・ジョンミンのなりきりがすごい。そして盧泰愚(役名はノ・テゴン)もなかなかそれっぽい雰囲気を出している。この時代の韓国の暗部を描く映画は意外とたくさん作られていて、軍事政権時代とはもう違うんだという韓国の決意を感じる。
彼らが起こしたクーデターとそれを阻止しようとした首都警備司令官という構図だが、史実を元にしているからクーデターが成功することはわかっている。明るい終わり方でないことも予想はつく。だからこそちょっと驚いてしまった。クーデターを阻止することができたチャンスが何回もあったことに。あそこであいつが尻込みしなければとか、あんな優柔不断な先延ばしをしなければとか、反乱軍を甘く見ていた軍の上層部と大臣たちの判断がクーデターを成立させてしまったということだ。なんということ。これが後の光州虐殺を生み出すのかと思うと苦しくなる。
この映画を面白いと言っては不謹慎だが、最後まで続く緊迫感、重厚な人間ドラマ、とても観応えのある映画だったことは間違いない。ただ、空挺旅団の配置や動き、軍部内の関係性(それぞれがどちら側なのか)がとてもわかりづらい。当たり前ともいえるが。なので若干ハードルは高めだ。
この約7年後に映画「1987、ある闘いの真実」の民主化闘争が起こるということだ。終わりに感じたモヤモヤを解消するために、再度鑑賞したほうがいいかもしれない。
混乱!でも最後まで見入る
正義が勝つのでは無い、勝った方が正義なのだ
ファン・ジョンミンの魅力がたっぷり味わえる
後に大統領となる全斗煥のクーデターを描いた作品であり、結末がわかっていてもハラハラドキドキしておもしろかったし、文民統制は重要だなぁと思った。
全斗煥を演じるファン・ジョンミンと対立する首都警備司令官役のチョン・ウソンの二人が「アシュラ」以来の共演と話題になった。アシュラは好きな作品だが、悪徳市長のファン・ジョンミンが強烈で、今作でもまくし立てる全斗煥役がすごい。
映画の冒頭には、朴正煕を暗殺した金規泙KCIA部長が拷問を受けるシーンもあり、「KCIA 南山の部長たち」のイ・ビョンホンが演じていたらなぁと思ったのだが、今作で描かれた軍部による光州虐殺が「タクシー運転手~約束は海を越えて~」で描かれ、その後の民主化運動は『1987、ある闘いの真実』と続くので、どれも見返したくなってしまう。
正義は勝つ...
韓国現代史に残る事件をうまく映画化
光州事件、朝鮮戦争等を映画化したものは元々好きであり今作も絶対間違いないとの心意気で拝見。
観客は若者少なめ、大体40後半以上のおじさんが大半をしめていました。
この作品は、韓国現代史(70〜80年代)の最低限の知識を入れておいた方が楽しめると思います(ただし、大枠のオチがそうぞうできてしまうのが難点ですが‥)
中盤の、反乱軍(ハナ会)と政府軍の攻防は圧巻ですね。展開がコロコロ変わるし、あいまいまの人間模様もテンポよく丁寧に書かれています。緊張感の合間に滑稽さもだされており、見ていて飽きませんでした。(これはどこかでみたことある‥と思えばシンゴジラでした)
ファンジョンミン、チョンウソンの役もしっかりハマっており、韓国映画が韓国現代史をうまくエンタメ化していました。
果たしてどちらが民主主義国なのか?
ファン・ジョンミンの高笑いが耳にこびりつく
ホントに息つく暇がなかった。
クーデターを仕掛けたハナ会側が、一時、絶対絶命のピンチに陥り、大混乱に陥る。反クーデター側の精鋭部隊が、先にソウルに到達するという情報を入手したからなのだが、このときのチョン・ドゥファンの開き直りというか、腹の括り方が運を自分に引き付けてしまう男のそれで、国を乗っ取ってしまうだけのことはある。
この作品で描かれるチョン・ドゥファンは、ヴィランとして惹きつけてやまない魅力に溢れている。『南山の部長たち』では、小悪党として描かれていたが、この作品では、自分の弱さを見せる人たらしでもあり、いざというときの腹の据わり方が尋常でなく、敵も味方も圧倒してしまう。
ファン・ジョンミンの高笑いが耳にこびりつく。そんな作品でございます。
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