ソウルの春のレビュー・感想・評価
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権力暴走への危機感
クーデター発生から反乱軍と対反乱軍の対応攻防など、テンポよくスピーディーかつ緊迫感のある描写で面白かったです。 正直、スピーディー過ぎて名前とか所属とか位置関係とかきちんと把握しきれていませんが、実話モノらしい説明字幕などでおおむね状況は分かったように思います。 主要人物は対比的なキャラクターとなっており、上層部の事なかれ主義のクズぶりも際立ち、人物描写は分かりやすく見やすかったです。 クズぶりは戯画的過ぎるようにも感じましたが、もしかしたら実際にこんな感じだったかも知れませんが。 とは言え、一応この作品を観る前にクーデター事件の概要はネットで調べて把握していたので、全く知らない状態だとクーデター計画の流れとか理解しにくかったかもと。 チョン役のファン・ジョンミン、イ役のチョン・ウソン、それぞれのキャラクターがよく伝わる演技も良かったです。 チョンのアクの強い野心家ぶりも、イの真っ当な軍人としての信念を貫く様子も、それぞれに印象深いです。 最後の対比は、もうなんとも…… 軍事力を持った権力が暴走することや、暴走を容認してしまうような体制への危機感がひしひしと伝わります。 これを繰り返してはいけないと。 日本も自衛とは言え軍事力を持った組織がありますし、費用を膨らませたり不祥事が発覚したりしている昨今、完全に大丈夫だとは言えないのではと思ってしまいますが。
韓国軍事政権の暗闇と正義の潔さ
民主化された現姿の韓国に至る負の歴史と対峙した見応えある作品でした。約45年前の出来事ですがよもやの内戦かと思われた私利私欲にまみれたトップを戴く軍事独裁政権誕生の裏側を私欲を露ほども持たない清廉潔白な司令官との対比でテンポよく描いてました。正義は弱くても矜持として行動として貫く姿に感銘しました。ラストシーンでは刻々と変わる緊迫感ある情勢変化をスクリーンを分割して観せる技法にも引き込まれました。なお登場する女性は正義感溢れる司令官の奥さんだけで一貫して男の様々な臭いが充満してますね。光州事件を描いた「タクシー運転手約束は海を越えて」にも通じる背景です。いつもながら韓国映画のパワーに感嘆です。
韓国現代史の暗部を描く映画はハズレがない
映画「タクシー運転手」で市民を虐殺していった軍事政権が作られる過程が描かれる。また、映画「KCIA 南山の部長たち」で大統領が暗殺された直後の話でもある。 まず全斗煥(役名はチョン・ドゥグァン)を演じたファン・ジョンミンのなりきりがすごい。そして盧泰愚(役名はノ・テゴン)もなかなかそれっぽい雰囲気を出している。この時代の韓国の暗部を描く映画は意外とたくさん作られていて、軍事政権時代とはもう違うんだという韓国の決意を感じる。 彼らが起こしたクーデターとそれを阻止しようとした首都警備司令官という構図だが、史実を元にしているからクーデターが成功することはわかっている。明るい終わり方でないことも予想はつく。だからこそちょっと驚いてしまった。クーデターを阻止することができたチャンスが何回もあったことに。あそこであいつが尻込みしなければとか、あんな優柔不断な先延ばしをしなければとか、反乱軍を甘く見ていた軍の上層部と大臣たちの判断がクーデターを成立させてしまったということだ。なんということ。これが後の光州虐殺を生み出すのかと思うと苦しくなる。 この映画を面白いと言っては不謹慎だが、最後まで続く緊迫感、重厚な人間ドラマ、とても観応えのある映画だったことは間違いない。ただ、空挺旅団の配置や動き、軍部内の関係性(それぞれがどちら側なのか)がとてもわかりづらい。当たり前ともいえるが。なので若干ハードルは高めだ。 この約7年後に映画「1987、ある闘いの真実」の民主化闘争が起こるということだ。終わりに感じたモヤモヤを解消するために、再度鑑賞したほうがいいかもしれない。
混乱!でも最後まで見入る
特に歴史の知識もなく鑑賞。そっちかい。 韓国のカタカナ名と、第2とか第8とか30とか33とか、何がなんだか。初めは追いかけて理解しようと思ったけど、途中から諦めた。この人は敵だっけ?味方?混乱しますが、まあ、大筋大丈夫でしょう。 40年以上前とはいえ、軍隊でこんなに命令が上書きされることってあるんですね。命令をその度に正義は?とか考えたら持たないでしょう。ある意味人間っぽいと言えば人間っぽいですが。 橋渡ったり戻ったり。ちょっと滑稽。 てか、橋落とせば良かったのに。 どうせ大嫌いな占領国が作った橋だろうし。 残念な人はとにかく残念。
正義が勝つのでは無い、勝った方が正義なのだ
韓国のいわゆる「粛軍クーデター」を描いた映画ですが、私は韓国の歴史、文化、政治、民意に詳しいわけではないので、的確なレビューは書けそうにありません。 全斗煥(後の大統領)役のファン・ジョンミンさん、見事です。 何よりもすごいと思ったのは映画の終わらせ方です。一切、救いを入れていない。 日本映画だったらこうは描かない(描けない)と思います。 ただし、全斗煥側を「悪」、首都警備司令官側を「正義」と単純明快に割り切った描き方は演出としては良いのでしょうが、本当にそれで良いのか分かりません。 その意味で「正義が勝つのでは無い、勝った方が正義なのだ」
ファン・ジョンミンの魅力がたっぷり味わえる
後に大統領となる全斗煥のクーデターを描いた作品であり、結末がわかっていてもハラハラドキドキしておもしろかったし、文民統制は重要だなぁと思った。 全斗煥を演じるファン・ジョンミンと対立する首都警備司令官役のチョン・ウソンの二人が「アシュラ」以来の共演と話題になった。アシュラは好きな作品だが、悪徳市長のファン・ジョンミンが強烈で、今作でもまくし立てる全斗煥役がすごい。 映画の冒頭には、朴正煕を暗殺した金規泙KCIA部長が拷問を受けるシーンもあり、「KCIA 南山の部長たち」のイ・ビョンホンが演じていたらなぁと思ったのだが、今作で描かれた軍部による光州虐殺が「タクシー運転手~約束は海を越えて~」で描かれ、その後の民主化運動は『1987、ある闘いの真実』と続くので、どれも見返したくなってしまう。
正義は勝つ...
1.韓国が中々発展しなかった理由がここにある 2.正義は勝たなければいけない 3.私の職場でもそうだが、お役人は命令に弱い 4.「人は命令されたがっている」は正解 5.結局ずるい人が勝つ 6.ズルい人は、どうしたら勝つか?ばかり考えているから、それに勝つにはお人よしでは負ける 7.善人はバカを見る 8.リーダーは善人で勝負に勝てる人でないと 9.でも、そういう人はいない 10.日本のリーダーはどうなるんだろう?
韓国現代史に残る事件をうまく映画化
光州事件、朝鮮戦争等を映画化したものは元々好きであり今作も絶対間違いないとの心意気で拝見。 観客は若者少なめ、大体40後半以上のおじさんが大半をしめていました。 この作品は、韓国現代史(70〜80年代)の最低限の知識を入れておいた方が楽しめると思います(ただし、大枠のオチがそうぞうできてしまうのが難点ですが‥) 中盤の、反乱軍(ハナ会)と政府軍の攻防は圧巻ですね。展開がコロコロ変わるし、あいまいまの人間模様もテンポよく丁寧に書かれています。緊張感の合間に滑稽さもだされており、見ていて飽きませんでした。(これはどこかでみたことある‥と思えばシンゴジラでした) ファンジョンミン、チョンウソンの役もしっかりハマっており、韓国映画が韓国現代史をうまくエンタメ化していました。
果たしてどちらが民主主義国なのか?
「シルミド」でも思ったが、近現代史で長く軍事政権下で隠蔽されてきた負の歴史を映画化して、あの時、何があったのかを明らかに出来る韓国は、今の日本よりは表現の自由度が高く、遥かに民主主義国家の体を成していると、改めて思わされた作品。 それでいて、ハリウッド作品並みに、エンターテインメント性を持たせ、観客を惹きつける技術にも、日本は敵わない。 対して、森達也監督の「福田村事件」制作に、大手が何処も手を挙げず、クラウドファンディングで資金を調達しなければならなかった日本は、果たして表現の自由は守られているのか?と思わざるを得ない。
ファン・ジョンミンの高笑いが耳にこびりつく
ホントに息つく暇がなかった。 クーデターを仕掛けたハナ会側が、一時、絶対絶命のピンチに陥り、大混乱に陥る。反クーデター側の精鋭部隊が、先にソウルに到達するという情報を入手したからなのだが、このときのチョン・ドゥファンの開き直りというか、腹の括り方が運を自分に引き付けてしまう男のそれで、国を乗っ取ってしまうだけのことはある。 この作品で描かれるチョン・ドゥファンは、ヴィランとして惹きつけてやまない魅力に溢れている。『南山の部長たち』では、小悪党として描かれていたが、この作品では、自分の弱さを見せる人たらしでもあり、いざというときの腹の据わり方が尋常でなく、敵も味方も圧倒してしまう。 ファン・ジョンミンの高笑いが耳にこびりつく。そんな作品でございます。
全斗煥
遂に出た。完璧なまでの役作り。陽キャラで上下関係構わず空気を飲み込んでいく。日本でいえば秀吉か?野心がコントロール網を次々と破っていく。一方で、体制は無理解と保身により綻ぶ。刻々と変わる情勢の変化をよく伝える手際の良さ。最後の対峙でみせる緊張と緩和。それは事実か?笑いはしたが。 便所で高笑いして小便する。実に悪い男だ。
春の終わり
韓国の近現代史をエンタメとして見せてくれるから勉強になる。 権力を求め新たな独裁者になろうとする男とそれを食い止めようとする男。 正義を貫こうとするものが倒れていくやるせなさ。上の指示に逆らえない軍という体質が歯止めを効かせなくなっている。 まさかの結末に怒りを覚えた。
韓国でこんな事が起こってたんですね。
大統領暗殺後のクーデターを描いてるのですが、私は全く知りませんでした。 史実を元にしてるのですが、何処までが本当の事なのでしょうか? たった45年前の話だけど、韓国の歴史を知るには良い映画です。 ※ チョン・ドゥグァンが漫才のななまがりの人に見えて仕方なかったです…
ファン・ジョンミンの卑劣さと酷薄さ愛敬と情けなさ
1979年の粛軍クーデターに基づいた、刻一刻と状況が変わる手に汗握る政治スリラー。 地位と面子の保全にのみ汲々とする軍人たち(結局は彼らの怯懦が国を滅ぼす)を背景に、「権力を奪取する」VS「国を守る」という明確な意思を持った人間たちが対峙する。 この対比を際立たせるおじさんたちの熱演、とりわけファン・ジョンミンの卑劣さと愛敬と情けなさが入り混じった怪演が素晴らしい。 ただし、このタイトルで民衆が不在なのは気になった。 色々な点で共通の要素を持つ『日本のいちばん長い日』が『肉弾』とセットで観られるべき映画だとしたら、『ソウルの〜』は『タクシー運転手』とセットで観られるべき映画なんだろう。 『南山の部長たち』→『ソウルの春』→『タクシー運転手』→『1987』という第六共和国建国史を、濃いキャラクターが活躍し最後は民衆が圧政を覆すぶち上がるエンターテイメントに仕立て上げる、韓国映画界の自省力とクリエイティブ能力に圧倒される。
生きて守れ、死して忠誠。
息つく暇もない緊迫の2時間半。 実話を元に、硬派な、大人の作品を、トップスターたちの競演で、エンタメとして作り、それが大ヒットする。 韓国映画ってさすがだなと思う。 作り手もすごいし、面白い作品、良い作品はヒットするって観客を信じているんだと思うし、観客もしっかり応えている。 ファン・ジョンミンはいつもながら野卑な感じの人たらしで怖いし、チョン・ウソンは生真面目な悲劇の主人公。 ほかの作品では気弱な脇役などでよく見る俳優さんたちも軍人を演じると見違えるほどに格好いい。 みんな軍隊経験があるから様になるんだろうな。 ファン・ジョンミン演じた男が、実際に大統領になるんだからなぁ。日本人の我々はよく出来たエンタメとして観ているけど、韓国の人たちの思いって複雑だろうなぁ。 「光州518」「1987」「工作」「KCIA」等の韓国現代史を描いた作品にまたひとつ傑作が加わった。 韓国一般国民の視点から描かれた現代史「国際市場で逢いましょう」を観てから韓国映画を観る目が変わりました。
ええええ!?
韓国映画の新たな展開が見えた気がする。 物語は実話なのである程度は分かってはいるつもりだったが、ラストがこんな裏切られ方したのは久しぶりだろう。 前半は良く説明されていて分かりやすかったが、中盤は部隊編成など予習しないと全く分からないと思う。しかし迫力はある映像の連続だが、慣れてくると同じ映像の連続で飽きる。 そしてラスト!衝撃としか言えないラストでビックリ通り越して口を開けたまま。 そんな終わり方して映画って良いんだっけ?。 韓国映画の新境地を観た。
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