ソウルの春のレビュー・感想・評価
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予習必須
役者、演出、脚本全て高いレベルにあるのはわかる。
クーデター当日の緊張感がひしひしと伝わってくる。
とても重厚で鑑賞しがいのある作品。
ただし、登場人物が多く、韓国の人名がなかなかスッと入ってこないし、殆どが軍服姿。
電話でのやりとりも多く、軍の階級や役職がさっぱりな自分には正直、情報量が多くて理解が追いつかない。
「粛軍クーデター」についての予習のほか、軍事の知識や実在の人物と役名をリンクさせる必要も。
ネタバレを避けたい人も、公式サイトに人物相関図があるので、其方は見といた方がいいかも。
日本人が楽しむには、なかなかハードルが高い作品だと思う。
まあ、深く考えずに、韓国史に残る事件における、二人の男の意地のぶつかり合いを描いた質の高いエンタメとして鑑賞するだけでも良いのかもしれない。
それでも十分な価値がある。
時系列的には朴正煕大統領暗殺の直後から映画がスタートするので
「KCIA南山の部長たち」を観てない人は、そちらを先に観た方が良いです。
きちんと映画で歴史の暗部を白日の下に晒し、活写する韓国映画界の底力には脱帽しますね
先ごろ12月3日深夜に韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳」(戒厳令)を布告、国会により解除を要求、わずか6時間ほどで解除されたニュースが記憶に新しいですが、今回同様に朴正煕暗殺事件後の1979年12月12日に起こった軍内部の粛軍クーデターを描いた『ソウルの春』(2023)が新文芸坐さんで上映されていたので訪館。
『ソウルの春』(2023)
「ソウルの春」とは1968年チェコスロバキアで起こったごく短期間んの自由化・民主化の「プラハの春」になぞらえたタイトル。1979年12月12日に、軍内親衛グループである秘密結社「ハナ会」メンバーと共に軍事クーデターを起こした第11₋12代大統領・全斗煥(チョン・ドゥファン)と第13代大統領・盧泰愚(ノ・テウ)とそれを阻止しようとした首都警備司令官・張泰玩(チャン・テワン)の対立を軸にした民主化を阻んだ反乱軍と鎮圧軍の9時間の攻防を描いたポリティカルサスペンス。
全斗煥大統領の軍事政権下の民主化運動を描いた『光州5・18』(2007)も圧巻でしたが、本作も実に衝撃的な作品。盧泰愚政権の1988年にはソウルオリンピックも開催され、ずっと民主主義体制の隣国というイメージでしたが、直接選挙が再開されたのはつい35年ほど前とは自分の無知もありますが驚きですね。
劇中の「勝てば官軍負ければ賊軍」のセリフが印象的ですが、時が過ぎ一部フィクションや実名を変えていますが、きちんと映画で歴史の暗部を白日の下に晒し、活写する韓国映画界の底力には脱帽しますね。
民主主義といっても国によって千差万別、コンディションはそれぞれなので、本作のような映画を通じて歴史や生い立ちを相互理解するには良いかもしれませんね。
自分が物心ついたころの韓国の大統領といえば全斗煥、その次が盧泰愚だ...
かくも赤裸々な私利私欲
緊迫感が途切れずダレない映画!
主演二人の素晴らしい演技によって、軍部内の学閥、同調圧力、腑抜けの大臣の様子が緊張、怒り、悲しみ、悔しさ、諦めと共にガツンと胸に来た。
悲しいかな、切れ切れの知識しかない。まずは人名問題なのだ。歴史の授業でも日本の報道でも、中国、台湾、韓国、北朝鮮の人名は漢字で書かれて日本語読みという時代だった。だから欧米の人と東洋の詩人や学者といった教養人や政治家の話をする時はまるで通じなくて辛かった。「同じ東洋人のくせにお前は何も知らないのか」と思われた気持ちがした。漢字で日本語読みで教育を受けたからと説明しても、彼ら欧米人は日本語のことを何にも知らない。
購入したパンフレットの「実際の時系列」には初出の人名には漢字表記が付記されているので助かった!ただその後の「劇中の組織図」と「人物相関図」はあくまで映画内のフィクションとしての氏名で漢字無し。「時系列」見ながら参考の為のメモ入れをした。
反乱軍トップのチョン・ドゥグァン(この人は全斗煥)役のファン・ジョンミンは憎々しくも子どもっぽく好演(内田裕也みたいな雰囲気)。彼と真逆のタイプのイ・テシン首都警備司令官演じるチョン・ウソンは温厚で謙虚で善と信頼の塊だった(三浦友和みたいな感じ)。
うーむ、軍隊は怖い。当時も北朝鮮との緊張関係はあるわけで内戦やってる場合じゃないことが映画からもよく伝わる。パク・チョンヒ(朴正熙)が大統領の時に大統領の三選を可能にする改憲案が国民投票で承認されてパク大統領は三選された。「シビル・ウォー」で最後は殺されるアメリカ合衆国大統領と同じじゃないか!「大統領」と「首相」は権力の大きさがまるで異なるにしても、日本の政治家も首相もヘナヘナ、というより国民は愚かでいてくれ、が前提?どこの国も多かれ少なかれ同じ?見応えがあった。時間をおいてまた見てみたいと思った。
難しい、でもとても興味深い
人間という動物は、自分より強い誰かに導かれたいと願っている
今回の突然のユン大統領による非常戒厳の宣言にはびっくりした。
その前の非常戒厳は1979年10月のこと。
朴正煕大統領の暗殺事件を期に韓国全土に渡って宣言された。
その年の12月に起きた、全斗煥の軍事クーデターを「フィクション」と断って描いたのが、この「ソウルの春」。
非常戒厳は宣言されていたけれど、参謀総長や大統領をはじめ、民主的な手続きを大切にする人はいたのだという描き方をしつつ、全斗煥の無謀とも思えるクーデターが、事なかれ主義や保身第一の陸軍上官たちの判断の鈍さで、あれよあれよという間に成功してしまう様が描かれていた。
日和見で、年長者のハナ会のメンバーたちが、オロオロしながら全斗煥にくっついていく。本当に腹が座っているのは、全斗煥と盧泰愚だけ。
「人間は命令するのが好きだと思うか? 人間という動物は、自分より強い誰かに導かれたいと願ってるんだ」というセリフが刺さる。
思考停止の方が楽なのは事実。そして、代わりに差し出すものの大きさは、直接目には見えにくい。それゆえに、映画で描かれている、面倒なことを避けて保身を図ろうとする国防長官や参謀次長たちのような振る舞いは、「あなたの中にも存在しているでしょ?」と突きつけられる思いだ。
そしてそれが、今では当たり前になっている投票率の低さだったり、政治についての無関心さだったり、そしてどこの国でも次々と誕生しつつある極右的な政党への支持につながったりはしてはいませんか?…というのが、「ソウルの春」という逆説的なタイトルをつけて、この映画が一番訴えかけているところなのではと思った。
事実、今回のユン大統領の非常戒厳に反対して国会周辺に集まった市民たちの多くは、50代60代で、若者たちの政治離れは韓国でも進んでいると、韓国政治の研究者が指摘していた。
一人一人がどのように思想や信条の違いを持とうとも、権力者の暴走に歯止めをかける仕組みと民主的な仕組みへの賛同は、意思一致できるはず。
そこを無闇に手放してはいけないことを、強く感じさせられた。
ソウルの春は来なかった
2023年度韓国では観客動員1位の作品と言うことなので、韓国通の妻と観に行った。鑑賞後私が「正義が負け、結局ソウルに春はこなった。気分が悪い映画だなぁ」と言ったら、妻は「韓国の歴史の通り何だから仕方がない。そういう国だったのよ」と答え、その後の光州事件や「タクシー運転手」などの映画や色んな韓国ドラマについて講釈をしてくれた。
民主主義が万能だとは言わないが、どう考えても軍事政権下では国民は自由で豊かにはなれない。最近ではミャンマーが軍事政権になった時、私は絶望した(少し仕事で関わったこともあるので)。
この映画の主人公全斗煥は朴大統領暗殺事件後、合同捜査本部長となり捜査を指揮し、対立していた参謀総長の鄭昇和を逮捕し、ハナ会メンバーと共に粛軍クーデターを実行し、当時の大統領や国防長官までも恫喝し味方につけ政権の実権を掌握した。
それが史実なのだからどうにもならない話なのだが、もしこの粛軍クーデターが別の結果になっていたら、韓国の民主化は早まり「ソウルの春」は訪れていたかもしれないし、その後大統領になった全斗煥による粛清(社会悪を一掃する名目で数万人を逮捕し強制労働させたりの悪行)で命を落とす人々もいなかったはずである。
結局、全斗煥は不正蓄財や光州事件の罪で逮捕されたりの晩年で、死去しても国葬は行われず、国立墓地への埋葬も見送られた。これは、同期の同志であった次の大統領の盧泰愚が民主化運動弾圧に対し反省の意を示したのに対し、全斗煥は最後まで反省の意を示さなかった影響が強いとのことである。映画の中で「クーデターも成功すれば革命になる」と吠え立てた人間が反省などする訳はないと思う。
それにしても韓国映画流石です。そして、ファン・ジョンミンはやはり凄い役者です。これは紛れもなく彼の代表作となっていくでしょう。
失敗すれば反逆者、成功すれば革命だ!!
実際のクーデターの成功したのか?失敗したのかも全く知らなかったので、
悪役面をしたクーデターの張本人チョン・ドゥグァン役のファン・ジョンミンが
制圧されるものだと決め込んで観てました。
好感度満点のチョン・ウソン(イ・テシン役)が最後にはヒーローに
なるのだ・・・との思いは、儚くも消え去りました。
この硬派の韓国現代史とも言える誠治映画を1300万人が観たと聞くと
韓国人は自国の歴史や政治や社会に関心が高いのだなぁと思いました。
クーデターを成功させたチョン・ドゥグァンは1980~1988年まで
大統領を務めた全斗煥(チョン・ドゥファン)がモデルですよね。
広州事件で民主化運動をを武力で制圧した悪名高い大統領なので、
悪人面も当然なのでしょう。
映画は1979年12月12日の夜8時から翌朝の5時までの9時間を、
順を追ってリアルタイムで再現して行きます。
クーデターの成否も、常にひっくり返り、本当に結果がどう転ぶか?
全く余談を許しません。
チョン・ドゥグァンの用意周到な狡猾さ、それが勝因でしょうね。
ともかく粘る粘る諦めない‼️
真面目一方のイ・テシンなんて赤子の手を捻るようなものでした。
電話戦略で一人一人の将校を寝返らせたり、武力で脅さずに
絡め手で人心を操る。
ドゥガァンは本当に頭の働くやり手でした。
自国の歴史を掘り起こして検証する、そんな映画に多くの予算が
かけられて国民も映画館で観る。
韓国は映画に関しては、自由で元気がありますね。
ちょっと羨ましいです。
平凡な悪の怖さ
今同じような事が韓国で🇰🇷おきてるがな😵💫
つうか 本当にこんな事起きたんだなあとか思ってたら2024年12月4日にまんまのやつ勃発してるし🥹
歴史音痴な自分は結果を全く知らないから最後はビックリ‼️こんなにテンポ良く攻防戦が延々と繰り広げられて最後のオチというかラストには唸らされました🥹
事実とはいえハッピーエンド原理主義の人に大嫌いとか言われるやつですねえしかし🤣
まあこういう作品のクオリティの高さは相変わらずで
韓国🇰🇷やはり凄いわ🫡
異常に疲労して🤮このあと違う作品観るつもりだったけど❌ですはい😮💨(映画を見終わった後の疲労度は今年1番🥇)
ある意味ずーっとクライマックスみたいな内容だから濃厚過ぎて草🌱 こんな好物過ぎる作品も珍しいってくらいよく出来ていてハラハラドキドキ💓ワクワクガックリ出来ましたよ🤮❤️🔥🥇👍
史実を知らない人ほど手に汗握る大活劇
1. 予備知識不要のエンタメ
韓国の近代史を知らなくても、いや寧ろ知らない人程、のめり込める大エンターテインメント。オチ(史実)を知っている韓国の観客向けの作品だけど、前日譚にあたる「KICA」以降の史実に不案内だからこそ、終盤までどちらが勝つか分からず、ドキドキし通しだった。
🇰🇷
2. 事件は司令室で起きてるじゃないっ!
実話ベースとは言えフィクションなので、誇張も多そうだが脚色の仕上がりは最高。現場の深刻さを把握できない上司の決断や、橋の封鎖の失敗が事態を悪化させる件はそれこそ「踊る大捜査線」。
🇰🇷
3. ピエール瀧? 張本勲?
韓国の俳優さんに精通してないので、時々どっち側の人だか見失いガチでした。どっち側にも角度や表情によって、P瀧さんに見える人が居るのが可笑しかった。張本勲さんそっくりの軍人さんが喝を飛ばしてるのも面白かった。
🇰🇷
日本も第二次大戦で負けるまで軍事政権だったけど、1970年後半には暗殺で「春」を迎える国じゃなくかったのは幸運。政権交代は純粋に選挙で、血を流す必要ない世界であり続けたい。
正直、韓国大嫌い人間・・・ですが
韓国には本当にいいイメージが一つもない、アンチ韓国派に
属する私ですが、映画に関してはいつも「すごいなぁ」と
思わされる。正直、日本映画は負けていると感じることの方が多い。
私は、韓国の歴史にそんなに詳しくはないが、韓国自身が
この「負の歴史」をこれだけ力強く描けることに感動した
日本人たる我々が見ても、これらの物語が「事実」であることに
また同じ悔しさや怒りや悲しみを映画から共感できることに感動した。
だが韓国国内での大ヒットを受けての日本での上映館数やその話題性に
落差があるのは今は仕方ない事か・・・
日本を事あるごとに批判してくる韓国のイメージだが、その韓国は
日本に負けないほどの壮絶な歴史を持っている事を、日本はもっと
知る機会を持ってもいいように思う。
逆に、はたして日本でこれほどに自国の歴史の暗部に迫れる映画を
作れるだろうかと思った。どんなバットエンディングでも、どんな
悪役が最後に勝利するとしても、それが事実ならそれを隠さず、
強烈なエンタメとして昇華して作品として作り出すエネルギーがあるだろうか
また、日本人はそれを受け入れる度量が持てるだろうか
近い将来、日韓共同でお互いの国の絡み合う歴史を双方が双方の
視点と理解を共有して映画化できる日がくれば、きっと何かが変わる
きっかけになるかもしれないなぁと、映画を見終えた後の私の正直な感想
ファン・ジョンミンさん、すげー役者さんだ。映画を見ている間ずっと
ムカムカして「こいつ大っ嫌いだ」と思わせられるのだが、それほど
この役作りが迫真だという証明なのだ どこまでも憎々しさを身にまとい
主役?たるチョン・ウソンさんが霞むほどだった。ファン・ジョンミンさん
勘違いされて日常生活で卵投げつけられたりしないだろうか心配になるわ
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