ソウルの春のレビュー・感想・評価
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歴史の暗部を見つめようとする意志が伝わってくる
私は同時代を生きてきましたが、軍事独裁政権が続いていた韓国の内実は、新聞や雑誌「世界」などによって断片的にしかわかりませんでした。韓国の政治状況は日本にも影響があり、1973年には金大中拉致など日本の主権侵害が起きましたが、うやむやに処理されましたた。
1979年10月朴正煕がKCIA部長によって暗殺されたことは、日本人にとってもショッキングでした。韓国が民主化するかと思いきや、1980年5月光州事件と軍事政権は続いた。
70代以上の方の歴史認識の欠落を埋めるのに役立つと思います。どこまでがフィクションかは不明ですが。
全斗煥役のファン・ジョンミンはいい人過ぎて、権力欲まみれのサイコパスという雰囲気に欠けます。
当事者である全斗煥が2021年に亡くなったことも、この映画が製作された要因かもしれません。展開に勢いがあり、最後まで飽きさせません。歴史の暗部を見つめようとする意志が伝わってくる良い映画だと思います、
すごいモノを観た!
ファン・ジョンミン、チョン・ウソン。観ないワケにいかない! 「KCIA南山の部長たち」をおさらいしてから鑑賞。イ・ソンミンが大統領だったのに、今作では軍人だったから少し困惑。
ファン・ジョンミンが違う人みたい。気迫の演技。やはりすごい俳優である。チョン・ウソンもさすがである。
途中、似たような名前だったり、韓国映画あるあるの誰が誰だかよくわからん、、、状態に陥りかけたが、凄まじい緊迫感で見応え充分。
こんな映画を撮れる韓国、すごい。日本にもいろんな歴史があるからこんなすごいの作って欲しいなあ。
この後の話「タクシー運転手」を観なければっ!
重厚かつよくできた歴史エンタメ作品
一連の流れは教科書的には知っていました。
それを一本の映画としてどのように映像化するのか、それこそが一番の関心を持って観劇しました。
ただひたすら見事であり、悪役としての全斗煥や盧泰愚の行動に怒りを覚えつつも、民主的な手続きを踏まえた上での抵抗しかできない張泰玩らの頑張りには涙します。
このような骨太のエンタメ作品がきちんと成立してヒットする韓国映画業界は素晴らしいとしか言いようがありません。
様々な問題的をしてヒットした「ラストマイル」を蔑む意図はないですが、映画に求める表現のベクトルの違いには大きな差を感じざるを得ません。
「春」が潰える物語
この作品も、役者陣が素晴らしかったですね、
特にファン・ジョンミンは軽薄で深みはないのに諦めない男というキャラを見事に演じてました。
「戦死」という言葉が使われていました。なんとも言い難い気持ちになります。
恥辱の季節
ヤバ。まじでヤバ。
映画としてどうこう以前に、まずベースとなった史実がヤバすぎる。
韓国の歴史に疎い人間としては「KCIA」の大統領暗殺事件の後、そこから光州事件に至るだいたいの流れを知ることができて、なるほどなーと納得した。文字通り血まみれで勝ち取った民主化だもんなぁ。。
もちろん英雄譚として盛られてる部分はあるんだろうけど、いかに韓国が恥辱の時代を経て今の自由な空気を謳歌できるようになったのか、そのために少なからぬ血が流されたことも含めて、超ハードかつ誇り高い歴史の一端を垣間見ることができた。
観終わって劇場を出る人たちはみな、重いため息と沈黙に包まれていた。
そりゃそうだ、こんな題材をちゃんとスターを使って娯楽大作に仕立てちゃうんだから、韓国映画ヤバすぎるでしょ。。
内容は韓国における2.26事件であり、序盤は押井守の「パトレイバー2 」を連想した。そこにナウシカとしてのチョン・ウソンが舞い降りる…のだがしかし。
登場人物が多いしだいたい軍服なので敵味方の見分けがつかなくなるとか細かい問題はあるけど、後半に行くに従って解消するし、とにかくそれどころじゃない。
みんな大好きファン・ジョンミン、今回ふと松田優作みがあるなあと気づいた。顔が似てるというより、親しみやすいそのへんのニーチャンて感じなのに、なに考えてるかわかんなくて怖いとか、狂犬ぽい役が似合うとか、全体的に体型がヒョロっとしてるとか…長生きしてね!
帰り道、思わずその辺を歩いてる人に全員観て!と言いたくなった。ていうか観て!
上手いことやったのが全斗煥、下手打ったのが226?
朴大統領暗殺を描いた「南山の部長たち」で登場人物が本能寺前後の戦国武将と完全一致してるなと感じたが(主人公が明智光秀でうまく出し抜く全斗煥が秀吉)、この粛軍クーデターはその後の派閥台頭含めそのまま226事件を想起させる。ギリギリの賭けに勝ったのがハナ会、天皇を激怒させて下手を打ったのが陸軍皇道派というところか。時代が違えど同じ思考回路の民族なのかなあ隣国は。王道なら勧善懲悪のハッピーエンドになるはずが歴史的にヒールが勝つ事が分かっているので、観ていて理不尽感が半端ない。この後光州事件など暗黒の時代に進んでいくわけか。日本と自分がバブルに向かって浮かれていたあの同じ時に。
タバコの本数と電話のなる音に負けず劣らず、情報量が多くて登場人物も...
タバコの本数と電話のなる音に負けず劣らず、情報量が多くて登場人物も多いのだけど、事実や登場人物のキャラクター性を前提としてみたらまた違う感想になるのか。ラスト、その後を伝える字幕スーパーと実写?が映されてハッとなる。家に帰って『KCIA』をネフリで観てしまった。
権力暴走への危機感
クーデター発生から反乱軍と対反乱軍の対応攻防など、テンポよくスピーディーかつ緊迫感のある描写で面白かったです。
正直、スピーディー過ぎて名前とか所属とか位置関係とかきちんと把握しきれていませんが、実話モノらしい説明字幕などでおおむね状況は分かったように思います。
主要人物は対比的なキャラクターとなっており、上層部の事なかれ主義のクズぶりも際立ち、人物描写は分かりやすく見やすかったです。
クズぶりは戯画的過ぎるようにも感じましたが、もしかしたら実際にこんな感じだったかも知れませんが。
とは言え、一応この作品を観る前にクーデター事件の概要はネットで調べて把握していたので、全く知らない状態だとクーデター計画の流れとか理解しにくかったかもと。
チョン役のファン・ジョンミン、イ役のチョン・ウソン、それぞれのキャラクターがよく伝わる演技も良かったです。
チョンのアクの強い野心家ぶりも、イの真っ当な軍人としての信念を貫く様子も、それぞれに印象深いです。
最後の対比は、もうなんとも……
軍事力を持った権力が暴走することや、暴走を容認してしまうような体制への危機感がひしひしと伝わります。
これを繰り返してはいけないと。
日本も自衛とは言え軍事力を持った組織がありますし、費用を膨らませたり不祥事が発覚したりしている昨今、完全に大丈夫だとは言えないのではと思ってしまいますが。
韓国軍事政権の暗闇と正義の潔さ
民主化された現姿の韓国に至る負の歴史と対峙した見応えある作品でした。約45年前の出来事ですがよもやの内戦かと思われた私利私欲にまみれたトップを戴く軍事独裁政権誕生の裏側を私欲を露ほども持たない清廉潔白な司令官との対比でテンポよく描いてました。正義は弱くても矜持として行動として貫く姿に感銘しました。ラストシーンでは刻々と変わる緊迫感ある情勢変化をスクリーンを分割して観せる技法にも引き込まれました。なお登場する女性は正義感溢れる司令官の奥さんだけで一貫して男の様々な臭いが充満してますね。光州事件を描いた「タクシー運転手約束は海を越えて」にも通じる背景です。いつもながら韓国映画のパワーに感嘆です。
韓国現代史の暗部を描く映画はハズレがない
映画「タクシー運転手」で市民を虐殺していった軍事政権が作られる過程が描かれる。また、映画「KCIA 南山の部長たち」で大統領が暗殺された直後の話でもある。
まず全斗煥(役名はチョン・ドゥグァン)を演じたファン・ジョンミンのなりきりがすごい。そして盧泰愚(役名はノ・テゴン)もなかなかそれっぽい雰囲気を出している。この時代の韓国の暗部を描く映画は意外とたくさん作られていて、軍事政権時代とはもう違うんだという韓国の決意を感じる。
彼らが起こしたクーデターとそれを阻止しようとした首都警備司令官という構図だが、史実を元にしているからクーデターが成功することはわかっている。明るい終わり方でないことも予想はつく。だからこそちょっと驚いてしまった。クーデターを阻止することができたチャンスが何回もあったことに。あそこであいつが尻込みしなければとか、あんな優柔不断な先延ばしをしなければとか、反乱軍を甘く見ていた軍の上層部と大臣たちの判断がクーデターを成立させてしまったということだ。なんということ。これが後の光州虐殺を生み出すのかと思うと苦しくなる。
この映画を面白いと言っては不謹慎だが、最後まで続く緊迫感、重厚な人間ドラマ、とても観応えのある映画だったことは間違いない。ただ、空挺旅団の配置や動き、軍部内の関係性(それぞれがどちら側なのか)がとてもわかりづらい。当たり前ともいえるが。なので若干ハードルは高めだ。
この約7年後に映画「1987、ある闘いの真実」の民主化闘争が起こるということだ。終わりに感じたモヤモヤを解消するために、再度鑑賞したほうがいいかもしれない。
混乱!でも最後まで見入る
特に歴史の知識もなく鑑賞。そっちかい。
韓国のカタカナ名と、第2とか第8とか30とか33とか、何がなんだか。初めは追いかけて理解しようと思ったけど、途中から諦めた。この人は敵だっけ?味方?混乱しますが、まあ、大筋大丈夫でしょう。
40年以上前とはいえ、軍隊でこんなに命令が上書きされることってあるんですね。命令をその度に正義は?とか考えたら持たないでしょう。ある意味人間っぽいと言えば人間っぽいですが。
橋渡ったり戻ったり。ちょっと滑稽。
てか、橋落とせば良かったのに。
どうせ大嫌いな占領国が作った橋だろうし。
残念な人はとにかく残念。
正義が勝つのでは無い、勝った方が正義なのだ
韓国のいわゆる「粛軍クーデター」を描いた映画ですが、私は韓国の歴史、文化、政治、民意に詳しいわけではないので、的確なレビューは書けそうにありません。
全斗煥(後の大統領)役のファン・ジョンミンさん、見事です。
何よりもすごいと思ったのは映画の終わらせ方です。一切、救いを入れていない。
日本映画だったらこうは描かない(描けない)と思います。
ただし、全斗煥側を「悪」、首都警備司令官側を「正義」と単純明快に割り切った描き方は演出としては良いのでしょうが、本当にそれで良いのか分かりません。
その意味で「正義が勝つのでは無い、勝った方が正義なのだ」
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