劇場公開日 2024年8月23日

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ソウルの春のレビュー・感想・評価

全131件中、1~20件目を表示

4.0改めて韓国映画の製作力に脱帽する

2024年8月26日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

興奮

知的

 実際の事件を基に、一部フィクションを交えながら、ノワールアクションの傑作「アシュラ」などのキム・ソンス監督が、ファン・ジョンミンとチョン・ウソンという実力派のスター俳優を再び主演に迎え、見る者の魂を揺さぶるエンターテインメント作品、荘厳な歴史大作に昇華させており、改めて韓国映画の製作力に脱帽します。

 独裁者の座を狙う男チョン・ドゥグァンを、特殊メイクを3~4時間かけて施した薄毛姿に変貌して演じたファン・ジョンミンの迫力は圧巻です。この男へ激しい怒りを抱くと同時に、人間としての欲望むきだしの暴走っぷりに引き込まれてしまうことでしょう。

 対するチョン・ウソンは、無欲で軍人としての使命感にあふれる信念を貫く男イ・テシンを好演し、彼を応援せずにはいられません。「アシュラ」でも共演をしたこの2人が新たなケミストリーを発揮している本作は必見です。

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和田隆

4.5韓国の現代史を学べる優れた社会派映画がまた1本

2024年8月25日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

興奮

知的

韓国の1970年代後半から四半世紀にわたる政治経済と民主化運動の激動期を題材にした社会派の劇映画が、ここ10年ほどコンスタントに製作され日本でも公開されている。もともと韓国史に関心を持ち続けているとか大学で専攻したとかの一部は別として、私も含む大半の日本人観客にとってはほとんど知られていなかった壮絶な権力闘争や社会的大事件を、サスペンスやアクションなどの娯楽作を通じて学べるのはありがたい。

邦題の「ソウルの春」とは、朴正煕大統領が暗殺された1979年10月26日の直後から翌1980年5月までの民主化の機運が盛り上がった時期を指すが、映画の主題はその期間中に起きた1979年12月12日の「粛軍クーデター」だ。この事件については、どんな衝突が起き、誰が死んだかといった結果はわかっていても、クーデターを起こした側と体制を守ろうとする側の間でどういったやり取りがあったのかなどの記録がほとんど残っていないそうで、そうした歴史の裏側を創作で補完し、実在の主要人物らも架空の名前に置き換えられている。対立軸となるのは、クーデターを率いるチョン・ドゥグァン保安司令官(ファン・ジョンミン)と、守る側の首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)の2人。そのうちの1人はのちに日本でも政治家としてよく知られるようになる人物がモデルなので、事前にもとの人物の名前を知らない方がスリリングな対決の成り行きをはらはらしながら楽しめるかもしれない。

こうしたジャンルの韓国映画の近年の充実ぶりには改めて感心させられる。この手の映画をあまり知らなかったがこれから観てみたいという方のために、扱った題材の年代順に主だった作品を並べてみる。

1. 1979年の朴正煕大統領暗殺事件を実録で描いた「KCIA 南山の部長たち」(2019年製作、以下同)
2. 民衆デモに軍が発砲するなどして多数の死傷者を出した1980年5月の光州事件を、庶民とジャーナリストの視点で描いた「タクシー運転手 約束は海を越えて」(2017年)
3. 軍事政権下の1981年に社会運動家らを弾圧した冤罪事件を担当することになった青年弁護士の奮闘を描く「弁護人」(2013年)
4. 粛軍クーデター、光州事件、1983年当時の韓国大統領の暗殺を図ったビルマ・ラングーン爆弾テロなどをフィクショナライズした数々の重大事件の裏で、韓国情報機関に入り込んだ北朝鮮スパイと摘発する側が繰り広げる命懸けの攻防を描く「ハント」(2022年)
5. 政治家で民主化運動家の金大中が国家権力により自宅軟禁された1985年の史実をフィクショナライズし、政治家と彼を監視する諜報員の正義を描いた「偽りの隣人 ある諜報員の告白」(2020年)
6. 1987年6月の大規模な民主化運動「6月民主抗争」の機運が高まる一因になった警察署内での大学生の拷問死と、真実を明らかにしようとする記者らの奮闘を描く「1987、ある闘いの真実」(2017年)
7. 1990年代に韓国軍情報部員が事業家に扮して北朝鮮に潜入し工作活動を行った史実をフィクショナライズして描く「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」(2018年)
8. 1997年に韓国で実際に起きた通貨危機の裏側を、危機を回避すべく対策チームで奮闘する女性主人公、危機を予見して大儲けを企む金融コンサル、ピンチに陥る町工場経営者という3者の視点で描く「国家が破産する日」(2019年)

こうしてまとめると、2017年以降に同ジャンルの映画が急に増えてきた印象を受ける。作り手側の激動の四半世紀をとらえ直して若い世代にも伝えていこうという思いから力作が生まれ、そうした思いが観客に共有されて大ヒットにつながり、興行的成功がまた新たな社会派映画の製作を後押しする好循環が続いているのだろうか。邦画でも現代の政治経済や国防・自衛隊などとリンクした意欲作をもっと観たいと願うが、お国柄の違いもあって当面は難しそうだ。

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高森 郁哉

4.0ひとりの男の危険な企ては一体どこへ、どこまで転がっていくのか

2024年8月25日
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鑑賞方法:試写会

本作を観ながら、かつて胸を引き裂かれた『ペパーミント・キャンディ』『タクシー運転手』『殺人の追憶』『1987、ある闘いの真実』『KCIA 南山の部長たち』などの映画の時代背景が蘇ってきた。それらと直接的に繋がっていなくとも、韓国の現代史を織りなすパズルの重要部として本作は存在する。あえてフィクションを交えることでよりリアルに、歴史の闇を明るみに引きずり出した怪作というべきか。何よりもファン・ジョンミン演じる独裁的な男の立ち振る舞い、刻一刻とうごめく内面、垣間見せる狂気的な側面に、鑑賞中はもうずっと歯ぎしりしっぱなし。対するチョン・ウソンが映り込むとその精悍な姿に安心感や正のパワーの広がりを感じるわけだが、それも束の間。みるみるうちオセロの石がひっくり返っていく状況の激変ぶりに唖然とせずにいられなかった。軍事サスペンスとしてのうねりといい、人間ドラマとしての骨太さといい、かなり見応えがある。

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牛津厚信

4.0軍政と民政

2025年5月5日
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どの国も抱える苦悩。

韓国は北海道を少し大きくしたくらいの領土で、未だ南北に朝鮮半島が分断されている。

それを考えると難しい気性になり、舵取りが困難なことはわかる。

それでも、世界で1番最初にに消える国と呼ばれているほど、危ういのであれば、内乱せずに何処よりも先進的且つ平和的に未来の形を示してほしい。

同じアジア人とは思えないぐらい、これだけバイタリティのある国なのだから、その力を国を残すことに尽力してほしい。

日本人は逆にどーしてこの政治で、暴動が起きないのか、不思議だけど。利権に走らない政治家はいないのか?

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大粒 まろん

3.0リアル・ジョーカー。

2025年5月3日
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支持。
リアル・ジョーカー。
無茶で杜撰で幼稚な悪をこそ
我々は欲し担ぐのか。
幾分は盛ったにせよ、
これが実話ベースとは。
自国の誇れぬ黒歴史を
エンタメ的自虐的露悪的に
検証する隣国。
一方で去勢され忖度まみれの
昨今の邦画の緩さと浅さを憂う。
要は度胸か。
ジョンミンまた良し。

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きねまっきい

4.5史実に沿った内容だけど、政治・軍事サスペンスとして無類に面白い仕上がりの一作

2025年3月29日
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表題の「ソウルの春」とは、1979年に韓国で起きた朴大統領暗殺事件ののちに生じた民主化に向けた動きを指し示しています。一般的にはその運動の進展を、市民側の民主化を要求する運動とそれを弾圧する政府側、という構図で捉える向きも多かったのですが、国軍内も決して一枚岩ではありませんでした。この混乱に乗じてクーデターを起こそうとする勢力と、それを阻止しようとする勢力に分かれ、激しい内紛が生じました。本作はその国軍内の内紛が頂点に達した、ソウルにおけるほぼ一晩の動向を描いています。

もちろん韓国の人々や韓国近現代史に詳しい人であれば、この内紛がどのような帰結を辿ったのかは周知のことですが、それでも物語の吸引力は一切弱まらないだろうと断言できるほど、クーデターを策謀する側とそれを阻止しようとする側の攻守は目まぐるしく入れ替わります。

最も主要な登場人物が仮名であることも、驚愕の結末の後で「あの登場人物が実はあの人だったのか!」とさらに驚かされるというサプライズにつながっています。

時系列で言えば本作の直前、朴大統領暗殺事件を題材とした『KCIA 南山の部長たち』(2021)、そして本作でわずかに言及のある光州事件を扱った『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017)は本作との関連作としても、やっぱり無類に面白い韓国映画としてもおすすめです!

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yui

4.0見応えあり。

2025年3月10日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

知的

韓国近現代史を映画で学びたい!と思い、「KCIA~南山の部長たち~」の続きとして観ました。KCIAでは、朴大統領が暗殺されるお話でしたが、今作はその後の混乱から全斗煥が権力を掌握する軍事クーデターの話。
いやー、見ごたえありました。
まるで自分がクーデターの場にいるような臨場感。分刻みで状況が変わる緊迫感。かの「24」のようなドキドキ感。
見終わったあとはグッタリです。
結末の理不尽さも。。
「勝てば官軍」て日本でもよく言うけど、こんな風に歴史って動いちゃうんだなーとなんとも言えない無力感にとらわれました。
負けた方の将軍がかっこよくて、清廉ないい人だから、余計に落ち込みます。
でも、勝った方はずうずうしくてふてぶてしくて卑怯なんだけど、その図太さに感心します。
二人とも魅力的な役者さんでした。

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ナイト

3.5ファン・ジョンミンが演じる全斗煥のキャラクターが何とも魅力的な悪人だった

2025年3月2日
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鑑賞方法:映画館

興奮

難しい

ちょっと違和感があったけど、なかなかの力作。
日本でこんな映画は作られないと思った。まあここまでの政治的な動きは日本ではないよね。

1979年12月、韓国ソウルで発生した軍事クーデターをフィクションを交えて描いている。
この時代は、ちょうど学生時代だったので良く覚えている。
この映画の違和感は、のちに大統領になる主役の全斗煥(映画では名前を変えている)があまりにも悪人に描かれている点。

対立軸を明確にしてわかりやすくしたせいなのか。
その上、よく知られている役者を使って、キャラの設定もかなりカリカチャされているように見える。
善、悪という二元論的なのはどうかと思う。
(もう一方の主役の首都防衛司令官は善人で軍人の鑑のような描き方)

全斗煥を全くの悪と決めつけて描くのは、それだけ韓国国民にはこの大統領に嫌悪感があるのかもしれない。

彼は何を思って軍事クーデターを起こしたのか。その点がわからなかった。ただただ権力奪取のためにクーデターを行ったのか?ならばそこまでになる意思はどこで作られたのか。
事実だったから、そう描いた、のではなく、何を考え、何を思って、あれだけの無謀な政権奪取をしたのか、その点が知りたかった。

ただ、ファン・ジョンミンが演じる全斗煥のキャラクターが何とも魅力的な悪人だった。

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mac-in

4.0知らないことばっかり

2025年2月14日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

最初は淡々と同じ様な画面が続き意味が分からなかったが、ずっと見てるとこのあとどうなるんだと気になる展開になる。歴史を知るきっかけになる映画だと思いました。

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コーヒー甘党

4.5緊迫感

2025年2月8日
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鑑賞方法:DVD/BD

緊迫感があって面白かったです。バッドエンドなのは残念でしたが。

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hide1095

5.0独裁者

2025年1月2日
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1979年におきた「12・12粛軍クーデター」を描いた作品だ。「12・12粛軍クーデター」とは、後に大統領として8年もの軍事独裁をしくチョン・ドゥファンのクーデターをえがいている。こいつは罪のない人々を後に何人も殺す恐ろしい独裁者となる。

面白かった。緊迫感あるし次から次への攻防戦は見事えあり。韓国映画界の躍進は物凄く、日本は完全に負けた状況だと思う。映画の作り方や描き方、俳優力は物凄い迫力さを感じる。皆が一つの方向に向かう様を描くやり方に感服、製作者、監督ともに見応えある作品を残してくれた。映画って最高ですね。

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ken

4.0予習必須

2025年1月2日
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役者、演出、脚本全て高いレベルにあるのはわかる。
クーデター当日の緊張感がひしひしと伝わってくる。
とても重厚で鑑賞しがいのある作品。

ただし、登場人物が多く、韓国の人名がなかなかスッと入ってこないし、殆どが軍服姿。
電話でのやりとりも多く、軍の階級や役職がさっぱりな自分には正直、情報量が多くて理解が追いつかない。
「粛軍クーデター」についての予習のほか、軍事の知識や実在の人物と役名をリンクさせる必要も。
ネタバレを避けたい人も、公式サイトに人物相関図があるので、其方は見といた方がいいかも。

日本人が楽しむには、なかなかハードルが高い作品だと思う。
まあ、深く考えずに、韓国史に残る事件における、二人の男の意地のぶつかり合いを描いた質の高いエンタメとして鑑賞するだけでも良いのかもしれない。
それでも十分な価値がある。

時系列的には朴正煕大統領暗殺の直後から映画がスタートするので
「KCIA南山の部長たち」を観てない人は、そちらを先に観た方が良いです。

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うまぶち

5.0きちんと映画で歴史の暗部を白日の下に晒し、活写する韓国映画界の底力には脱帽しますね

2024年12月22日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

知的

先ごろ12月3日深夜に韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳」(戒厳令)を布告、国会により解除を要求、わずか6時間ほどで解除されたニュースが記憶に新しいですが、今回同様に朴正煕暗殺事件後の1979年12月12日に起こった軍内部の粛軍クーデターを描いた『ソウルの春』(2023)が新文芸坐さんで上映されていたので訪館。

『ソウルの春』(2023)
「ソウルの春」とは1968年チェコスロバキアで起こったごく短期間んの自由化・民主化の「プラハの春」になぞらえたタイトル。1979年12月12日に、軍内親衛グループである秘密結社「ハナ会」メンバーと共に軍事クーデターを起こした第11₋12代大統領・全斗煥(チョン・ドゥファン)と第13代大統領・盧泰愚(ノ・テウ)とそれを阻止しようとした首都警備司令官・張泰玩(チャン・テワン)の対立を軸にした民主化を阻んだ反乱軍と鎮圧軍の9時間の攻防を描いたポリティカルサスペンス。

全斗煥大統領の軍事政権下の民主化運動を描いた『光州5・18』(2007)も圧巻でしたが、本作も実に衝撃的な作品。盧泰愚政権の1988年にはソウルオリンピックも開催され、ずっと民主主義体制の隣国というイメージでしたが、直接選挙が再開されたのはつい35年ほど前とは自分の無知もありますが驚きですね。
劇中の「勝てば官軍負ければ賊軍」のセリフが印象的ですが、時が過ぎ一部フィクションや実名を変えていますが、きちんと映画で歴史の暗部を白日の下に晒し、活写する韓国映画界の底力には脱帽しますね。

民主主義といっても国によって千差万別、コンディションはそれぞれなので、本作のような映画を通じて歴史や生い立ちを相互理解するには良いかもしれませんね。

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矢萩久登

4.5自分が物心ついたころの韓国の大統領といえば全斗煥、その次が盧泰愚だ...

2024年12月22日
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鑑賞方法:映画館

自分が物心ついたころの韓国の大統領といえば全斗煥、その次が盧泰愚だったわけだけどこんな悪い奴だったのかと改めて知らされたが、ファン・ジョンミンが上手いのでカリスマ性があって魅力的に見えてしまうのが何とも言えない。最後のトイレで高笑いは今年観た映画の中でも屈指の名シーン。

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teraox

3.5かくも赤裸々な私利私欲

2024年12月22日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

興奮

70年代末の粛軍クーデターを描いた作品。映画チックではありますが、実際の政治もかくやと思われスピード感のある展開も相まって眠くはなりません。それにしても一国の幹部がおそらくではありますがこれほど私欲のために権力奪取に動き、首班にまでなってしまうことにもしその国の国民ならどう感じるかと考えてしまいます。主人公の将軍の「軍人として、人間として失格」という言葉が国民の心に刺さる評価なのかもしれません。

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FormosaMyu

4.0緊迫感が途切れずダレない映画!

2024年12月20日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

難しい

主演二人の素晴らしい演技によって、軍部内の学閥、同調圧力、腑抜けの大臣の様子が緊張、怒り、悲しみ、悔しさ、諦めと共にガツンと胸に来た。

悲しいかな、切れ切れの知識しかない。まずは人名問題なのだ。歴史の授業でも日本の報道でも、中国、台湾、韓国、北朝鮮の人名は漢字で書かれて日本語読みという時代だった。だから欧米の人と東洋の詩人や学者といった教養人や政治家の話をする時はまるで通じなくて辛かった。「同じ東洋人のくせにお前は何も知らないのか」と思われた気持ちがした。漢字で日本語読みで教育を受けたからと説明しても、彼ら欧米人は日本語のことを何にも知らない。

購入したパンフレットの「実際の時系列」には初出の人名には漢字表記が付記されているので助かった!ただその後の「劇中の組織図」と「人物相関図」はあくまで映画内のフィクションとしての氏名で漢字無し。「時系列」見ながら参考の為のメモ入れをした。

反乱軍トップのチョン・ドゥグァン(この人は全斗煥)役のファン・ジョンミンは憎々しくも子どもっぽく好演(内田裕也みたいな雰囲気)。彼と真逆のタイプのイ・テシン首都警備司令官演じるチョン・ウソンは温厚で謙虚で善と信頼の塊だった(三浦友和みたいな感じ)。

うーむ、軍隊は怖い。当時も北朝鮮との緊張関係はあるわけで内戦やってる場合じゃないことが映画からもよく伝わる。パク・チョンヒ(朴正熙)が大統領の時に大統領の三選を可能にする改憲案が国民投票で承認されてパク大統領は三選された。「シビル・ウォー」で最後は殺されるアメリカ合衆国大統領と同じじゃないか!「大統領」と「首相」は権力の大きさがまるで異なるにしても、日本の政治家も首相もヘナヘナ、というより国民は愚かでいてくれ、が前提?どこの国も多かれ少なかれ同じ?見応えがあった。時間をおいてまた見てみたいと思った。

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talisman

4.0迫力

2024年12月10日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

興奮

知的

私は韓国の歴史は知らない。なので正規軍はどっちなんだ?などと思いながら見ていましたが、チョン・ドゥグァンの憎々しげな言動に歯ぎしりする思いがしました。一方で彼を阻止すべく、絶対的に不利でも一人立ち向かうイ・テシンの軍人魂に感動しました。大俳優等の共演は圧倒的迫力を放って観てる側を釘付けにしました。

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Yosshy

3.5難しい、でもとても興味深い

2024年12月10日
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鑑賞方法:VOD

韓国の歴史に明るくないため、話についていくのが大変。なかなか理解しきれず、人物の判別も難しいので、半分も捉え切れてないと思います…。
それでも近代史を真正面から映画として描き出し、エンタメとしても成り立たせる韓国映画の実力はやっぱり凄い。国が乗っ取られていく様、トップが変わっていく様が、緊迫感が続く長い夜として映し出されていました。

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まだまだぼのぼの

4.5人間という動物は、自分より強い誰かに導かれたいと願っている

2024年12月7日
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鑑賞方法:VOD

今回の突然のユン大統領による非常戒厳の宣言にはびっくりした。
その前の非常戒厳は1979年10月のこと。
朴正煕大統領の暗殺事件を期に韓国全土に渡って宣言された。
その年の12月に起きた、全斗煥の軍事クーデターを「フィクション」と断って描いたのが、この「ソウルの春」。

非常戒厳は宣言されていたけれど、参謀総長や大統領をはじめ、民主的な手続きを大切にする人はいたのだという描き方をしつつ、全斗煥の無謀とも思えるクーデターが、事なかれ主義や保身第一の陸軍上官たちの判断の鈍さで、あれよあれよという間に成功してしまう様が描かれていた。
日和見で、年長者のハナ会のメンバーたちが、オロオロしながら全斗煥にくっついていく。本当に腹が座っているのは、全斗煥と盧泰愚だけ。
「人間は命令するのが好きだと思うか? 人間という動物は、自分より強い誰かに導かれたいと願ってるんだ」というセリフが刺さる。

思考停止の方が楽なのは事実。そして、代わりに差し出すものの大きさは、直接目には見えにくい。それゆえに、映画で描かれている、面倒なことを避けて保身を図ろうとする国防長官や参謀次長たちのような振る舞いは、「あなたの中にも存在しているでしょ?」と突きつけられる思いだ。
そしてそれが、今では当たり前になっている投票率の低さだったり、政治についての無関心さだったり、そしてどこの国でも次々と誕生しつつある極右的な政党への支持につながったりはしてはいませんか?…というのが、「ソウルの春」という逆説的なタイトルをつけて、この映画が一番訴えかけているところなのではと思った。
事実、今回のユン大統領の非常戒厳に反対して国会周辺に集まった市民たちの多くは、50代60代で、若者たちの政治離れは韓国でも進んでいると、韓国政治の研究者が指摘していた。

一人一人がどのように思想や信条の違いを持とうとも、権力者の暴走に歯止めをかける仕組みと民主的な仕組みへの賛同は、意思一致できるはず。
そこを無闇に手放してはいけないことを、強く感じさせられた。

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sow_miya

4.5ソウルの春は来なかった

2024年12月5日
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鑑賞方法:映画館

2023年度韓国では観客動員1位の作品と言うことなので、韓国通の妻と観に行った。鑑賞後私が「正義が負け、結局ソウルに春はこなった。気分が悪い映画だなぁ」と言ったら、妻は「韓国の歴史の通り何だから仕方がない。そういう国だったのよ」と答え、その後の光州事件や「タクシー運転手」などの映画や色んな韓国ドラマについて講釈をしてくれた。
民主主義が万能だとは言わないが、どう考えても軍事政権下では国民は自由で豊かにはなれない。最近ではミャンマーが軍事政権になった時、私は絶望した(少し仕事で関わったこともあるので)。

この映画の主人公全斗煥は朴大統領暗殺事件後、合同捜査本部長となり捜査を指揮し、対立していた参謀総長の鄭昇和を逮捕し、ハナ会メンバーと共に粛軍クーデターを実行し、当時の大統領や国防長官までも恫喝し味方につけ政権の実権を掌握した。
それが史実なのだからどうにもならない話なのだが、もしこの粛軍クーデターが別の結果になっていたら、韓国の民主化は早まり「ソウルの春」は訪れていたかもしれないし、その後大統領になった全斗煥による粛清(社会悪を一掃する名目で数万人を逮捕し強制労働させたりの悪行)で命を落とす人々もいなかったはずである。
結局、全斗煥は不正蓄財や光州事件の罪で逮捕されたりの晩年で、死去しても国葬は行われず、国立墓地への埋葬も見送られた。これは、同期の同志であった次の大統領の盧泰愚が民主化運動弾圧に対し反省の意を示したのに対し、全斗煥は最後まで反省の意を示さなかった影響が強いとのことである。映画の中で「クーデターも成功すれば革命になる」と吠え立てた人間が反省などする訳はないと思う。

それにしても韓国映画流石です。そして、ファン・ジョンミンはやはり凄い役者です。これは紛れもなく彼の代表作となっていくでしょう。

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アベちゃん
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