「冬の訪れ」ソウルの春 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
冬の訪れ
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先日の韓国の非常戒厳がきっかけで各所で話題になっていたし、この機会にとずっと気になっていた本作を鑑賞した。
実話をベースにしているからこその迫真性に息を呑む、ポリティカル・サスペンスの良作である。日本人故、戒厳と言えば二・二六事件だが、今度は粛軍クーデターも連想しそうだ。
事件のあらましを調べてから観たので理解し易かったが、予習しておかなければ冒頭の経緯が分かりづらいのではないかと思う(韓国人にはすんなり理解出来るのかもしれない)。
大統領暗殺事件から全ては始まる。軍内部の対立構造や「ハナ会」なる秘密結社の存在などがテンポ良く描かれ、クーデターまでの出来事をスリリングに語る語り口が見事だった。
複雑極まりない構造を、チョン・ドゥグァン少将とイ・テシン少将の対決と云うシンプルなものにしている工夫も良い。
国の命運をかけた攻防戦に手に汗握った。イ・テシン首都警備司令官の奮闘虚しく反乱軍優勢へ傾いていく戦局。上層部の弱腰な姿勢や為政者の腰抜け具合に臍を噛む思いだった。
そしてついに、両者は直接対決の時を迎えたが、その結末とはなんとも重く、苦いものであった。春を望み、蠢動し始めた芽は無惨にも踏み躙られ、冬が訪れてしまったのである。
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