「暴君ほどよく眠る」ソウルの春 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
暴君ほどよく眠る
1979年10月、独裁者とも言われた韓国大統領が暗殺されたのを機に、新独裁者となるべくクーデターを決行した保安司令官チョン・ドゥグァンと、それを阻止しようとする首都警備司令官イ・テシンとの攻防戦。ドゥグァンは元大統領の全斗煥(チョン・ドゥファン)がモデルである事からも、本作は実際に起きた事件にフィクション要素を加えたメタフィクションとなっている。
韓国の俳優についてはホントに知識ゼロなので(テシン役を『スティール・レイン』で大統領を演じた俳優だと後で知ったぐらい)、申し訳ないが出てくるキャストが皆同じ顔に見えてしょうがないし、名前を覚えるのだけでも大変だし、ランニングタイムも長めなので観る集中力も途切れそうになった。
そんな中でも、顔の分別がハッキリ付くドゥグァンの暴君ぶりが全てをかっさらっている。なんでもモデルとなった全斗煥は本国でも史上最悪の大統領と云われているらしく、その描き方は正に『悪い奴ほどよく眠る』だ。
架空の人物にしているとはいえ、実在した政治家を題材に映画を作れる韓国は実に度量が広い。観ながら「日本に置き換えたらどの首相を映画化しやすいかな…」と考えるも、最悪な首相として思いつく輩はいっぱいいるから困ったものだ。
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