「映画では描かれない消えた250万ドルって、どこに行ったんでしょうねえ」ランサム 非公式作戦 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
映画では描かれない消えた250万ドルって、どこに行ったんでしょうねえ
2024.9.10 字幕 T・JOY京都
2023年の韓国映画(133分、G)
1987年に実際に起こった韓国人外交官誘拐事件をモチーフに作られたカーアクション映画
監督はキム・ソンフン
脚本はキム・ジョンミン&ヨ・ジョンミ
原題は『비공식작전』で「非公式捜査」、英題は『Ransapmed』で「身代金」という意味
物語は、外務省の外交官・イ・ジョンミン(ハ・ジョンウ)が、後輩に先を越されてやぐされるところから始まる
課長のパク・スンホ(パク・ヒョングォン)は彼を宥めるものの、大卒で出世が決まることに辟易していた
その後、ジョンミンは中東担当を任されることになり、慣れない業務に残業する日が増えてくる
そんなある日、仕事終わりに1本の電話を受けてしまう
それは、1年7ヶ月前に行方不明になっていた外交官オ・ジェソク(イム・ヒョングク)からのもので、彼は外交官だけが知る暗号を電話越しに伝えてきた
その後、その情報は外務省内外に波及するものの、外務省は省内で問題解決をしようと考える
部長(チェ・ジョンウ)は威圧的にそれを制するものの、ジョンミンはレバノン行きを志願し、それが受理されることになったのである
映画は、出世と引き換えに危険地帯に向かうジョンミンを描き、元CIAの中東情報通のリチャード・カーター(バーン・ゴーマン)、スイスのジュネーブにいる表向き美術商ヘイス・シャント(マルシン・ドロシンスキー)を経て、現地の武装勢力カリム(フェフド・ベンチュムシ)へと繋がっていく
映画の内容は2147年ぐらいまで秘密になっているようで、カーターとヘイスのモデルの人だけはわかっているようだ
物語は、ミンジョンが現地に行って、トラブルが起こる中で不正入国している韓国人タクシー運転手キム・パンス(チュ・ジフン)に助けられるという展開を迎えている
どこかで聞いたことのあるような設定になっていて、現地に訳ありの同胞がいて、それが信用できない人物として登場していた
そこから、誰を信じたら良いのかという駆け引きがある中で、ジョンミンは任務を全うするために全てを捧げる覚悟で臨むのである
映画は、史実ベースだが非公開情報のため、どこまで本当のことかはわからない
感覚的には情報の流れと外務省内のパワーゲームあたりはガチで、現地で起こったことは演出が多いように思えた
そのあたりの「どこまで本当か」はさほど重要ではないのだが、テロリストと金銭のやり取りをしたという事実は公表できないものだと思う
それは、次々に同じような事件が増える可能性があるからだが、おそらくはこの情報が世に出た段階で、韓国は中東から完全撤退をせざるを得なくなるのだと感じた
いずれにせよ、政府は関わっていませんよという設定で動く対テロ問題はたくさんあるが、本作はその王道を行く感じになっていて、事実かどうかはさほど関係ないように思える
五輪などの対外的なイベント、選挙に関わる動向などが優先され、国際政治の汚点は表面化させられない
そんな中でも、同胞を思う気持ちから無茶をする外交官がいた、という作品になっている
なので、そう言ったハラハラ感を堪能できれば良いのではないだろうか