劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」のレビュー・感想・評価
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良作だと思うが、自分には合わなかった
なにやら賛々否両論という割合でいろいろ投稿されているようで、辛辣なレビューも多く、他者レビューに対して攻撃的なレビューが出てくる始末。そういったものも、いくつか楽しく拝見させていただいている。
私の感想はタイトルの通りなので是非とも私の粗悪な感性をご指摘していただきたいのだが、どうやってもコメントが有効化できない…。チェックを入れてもコメント無効設定になってしまうためこのまま投稿させていただく。本当に申し訳ない。
結論から申し上げると、個人的には良いところ7割、気になるところ3割くらいの良作だったなという印象。
良いところはファンの諸君らが他レビューにて熱く語ってくれているのでそちらを拝見されたし。一度しか観ていない私よりも鮮明かつ詳細に語られているので一読の余地ありだ。
なので個人的に気になったポイントを。
まず、非常に申し訳ないが、藤本女史の芝居の拙さだ。一部はとても素晴らしく、殆どの箇所は良いと思うが、一部においては確実に至っていなかった。脇役ならいざ知らず、主演であのようなお芝居がちらつくと気が散ってしまう。他の主演級の方々のお芝居にそういった点があまり見られなかったので、彼女だけ特に気になってしまった。どんなに良い構成・演出の映画であっても主演がこれでは満点はつけられない。良くて4.7だ。
次に、演出がやりたいことに対して、劇中での理由付けが曖昧な点だ。よく槍玉に挙げられるクリスタル?のようなもの。あのアイテムが心情を補完してくれていることはよくわかる。ジャングルポケットに至っては導入から中盤、終盤に至るまでこれでもかと見せてくれる。
その上で私が気になっているのは、なぜジャングルポケットとアグネスタキオンの2人が持っているのか、だ。私の推論から申し上げると、「ジャングルポケットとアグネスタキオンの2人が主人公で、それを暗喩するために持たせた」というストーリー外の演出側の都合であり、ストーリー上ではこの2人だけが持っている理由はない気がした。
これがジャングルポケットしか持っていないのなら理解できる。序盤から持っており、フジキセキが写り込むなど幾度となく彼女の心情のメタファーとして登場しているからだ。なので途中まであのアイテムは「ジャングルポケットにとって渇望などの心情を表す大事なアイテム」だと思って鑑賞していた。しかしアグネスタキオンも同じものを持っていたら「なぜ同じものをこの二人だけ持っているのか」と疑問が湧いてしまう。ジャングルポケットが手渡したわけでもない、流行りのアイテムという描写もない。所持している者の心情を表すという役割は理解できるが、あのアイテムがなぜ2人の手元にだけあるのかはついぞ語られることはない。あの二人の視点ではどういうアイテムなのかと掘り下げ始めると、演出側が主人公だから2人に持たせた、以上の理由が見当たらないのだ。そうなるとあのアイテムは「劇中のジャングルポケットにとって大事なアイテム」から「演出側が心情を表すメタファーとして主人公らにわざわざ持たせたアイテム」に成り下がってしまう。お話を楽しんでいるとそこが非常に気になった。
私個人の趣向であれば、ありていに言ってしまえば、タキオンにあのアイテムは必要ない。無くてもお話は通じるからだ。映画を通して鑑賞していればアグネスタキオンも主人公であることは問題なく読み取れるし、それまでのシーンで様々な悩みや葛藤があるのは容易にくみ取ることできる。だが演出側は、それでもあのアイテムをアグネスタキオンにとっても心情描写のアイテムとして持たせたかったし、彼女も主人公であると念入りに示したかったのだろう。加えて、きらきらと反射して雑多な部屋に光が差し込む絵、その後陽が当たらないようにカーテンを閉める絵をどうしても作りたく、そのために所持させたのだ。そのせいで、なぜアグネスタキオンも持っているか、その理由付けに劇中無理が出てきていると感じた。(実はアイテムは一つしかなく、ジャングルポケットが渡していた描写があったのであれば、大変申し訳ない、ただただ私が見逃していただけである。)
他にも、皐月賞後のアグネスタキオンの電車のシーン、こちらも同様に不要だ。あれだけ無理をしたという描写をして、足を気にする素振りのあとにレース場から去ろうとするのだから、すぐに引退の描写に入ってもなんら問題はない。逆にあのオシャレな描写を挟むことで「大きなレースと説明されていたG1開催日の電車が無人?」とか「勝負服着たまま帰るんだ」とか、余計なノイズが入り気になってしまう。もちろん理由はつけられるが、無駄に気になる。
そういった「やりたい演出に対してストーリー上の根拠が曖昧」なものが見られたように感じてしまった。
あとは、表現が重複している箇所も多かった印象だ。上記の2シーンもさることながら、スランプの表現をしながらクリスタルに傷が入っているシーンも被せるのは、同じ表現をしているので片方は無くても実際問題ない。この映画はウマ娘たちが表情豊かに表現されているので、十分読み取ることができるはずだ。
むしろここまでくどく描写されるということは、我々鑑賞側が演出側から信頼されていない証左なのかもしれない。君らでは1つじゃわからないでしょ、と。なんならオシャレ演出いれとけば「エモい!」とはしゃいでくれるとすら思われているのかもしれない。若干悔しい。
しかしその割には1シーンだけ説明されただけで、裏付けとして実感の薄い展開もあった気もする。強さや優しさ、抱擁さや不屈さなどはシーンをまたいで何度も描写することで厚みが増し、我々の実感として刷り込まれるので、そういった情報はシーンをまたいで何度も伝えてほしい。しかし私の印象としては、1シーンに1つでいいところが直後に重複しており、シーンを跨いで重ねてほしいところが1シーンしかなかったので、ちぐはぐさを感じたのかもしれない。
とはいえやはり100分では難しいのだろう。情報を詰め込み、感傷に浸らせる時間も確保するためには、ある程度の鑑賞側への信頼は不可欠だ。……やはり悔しい。そういった尺の都合で念入りに描写できなかったシーンもあったのだろうから、思い切って我々を信頼していただくか、いっそOVAなどの方がそういった無理はなかったかもしれない。なんとも難儀な話である。
以上が気になったポイントだ。
ここまで語っておいてなんだが、総じて楽しかったし、ポップコーン片手に観ることの出来る最高の映画だと言えるだろう。ファンなら観に行ってなんら問題ない。是非劇場でご鑑賞いただきたい。そしてここにレビューをしていただけると盛り上がってなお嬉しい。
余談だが、感じ方は人それぞれなので、自身と異なる感想をいただいた他人を攻撃するのはナンセンスだ。好きなものは好きと言ってよいし、微妙だと感じたならそれでよいと思う。数多の感性を否定するべきではない。低評価レビューに対してお気持ち表明している高評価レビュアー諸君は、マウントを取りにかからず、この映画が素敵な作品でありウマ娘は魅力的なコンテンツであると伝える活動の方にいそしんで欲しいと強く願う。
以上。
ちぐはぐな表現が目立つ、妄想を見るのはやめよう
この文章にはアニメ1期のネタバレが含まれます。
率直な感想として「伝えたいことは分かるが、それを活かして心を動かすには尺が足りていない」を挙げたい。
全体として比較的低い評価になるが、まずはこの映画の勧められる点を挙げる。
まず、レース表現としての豪華さは映画館で鑑賞することも相まって相当な迫力となっている。煌びやかなレース演出、固有スキルの再現のような表現は大画面で見るのに最適で圧巻だった。
また、110分という短い尺の中にこれでもかとウマ娘を詰め込んでおり、自分の推しが映画に出ているという事実をファンに与える分にはいいことだと感じた。
また、全体として話の構成は競馬やウマ娘に詳しくない人でも理解しやすい、比較的平易なものになっていたと感じる。そのため、映画をきっかけにウマ娘コンテンツに触れてみよう、という人は見て楽しめるものだと思う。
一方で、この映画には大小さまざまな構造的問題を孕んでいると考えている。
まず、キャラクターの心情を言動に落とし込むのがかなり不十分だと感じた。タキオンに関してはこれの例外で、Bプランに移行した後でも抑えきれない自らの走りへの欲求を様々な点から精緻に表現し、最後にはA'プランに向かうという昇華が出来ていると感じた。ポケットに関してもある程度の表現がなされており、例えばレース後のどこか虚しさを感じる咆哮や心の奥底にへばりついた諦めから来る影の自分など、ライバルと自分の能力に板挟みにされながらも成長していく心情をよく表していると感じた。
しかしながら、それ以外のキャラクターの心情は多少表面的には示されていようとも、それが言動に表れることが少なく感情移入することが出来なかった。全体としてセリフは少なく、今回新たに出たダンツフレームに至っては「自分には武器はないけど諦められない」以上の表現がなされていなかった。これでは、「そうなんだ」以上の感想は得られないだろう。
対極の例としてここではアニメ1期のサイレンススズカを挙げるが、スズカが故障後に最初に行ったレースで選んだ脚質は追込で、その心中も細やかに表現されていた。私はここに、史実を超えあの大ケヤキの向こう側に生き残り、仲間に支えられながら新たな世界に進む様を見出して大いに感動した。今回はそのような表現は(タキオン以外に)特になく、「走りへの想い」一辺倒というのが残念なところだった。
次に、タイトルにあるように表現がちぐはぐ過ぎた。例えばマンハッタンカフェの弥生賞は、あれだけヘロヘロな走りの表現をして史実ベースの順位だと4着である。5位以下のウマ娘は散歩でもしていたのか。同キャラの話をすれば、夏合宿期間から調子を上げて菊花賞に間に合わせたという表現だが、出走枠獲得のためのレースには出ていないようだった。この世界、もしかして6人くらいしか走っていないのではないか(ジャパンカップは沢山走っていたのでそんなことはないが)。
それだけならまだ描写の都合で省いたと言えるかもしれない。個人的に最も大きな問題として挙げたいのはジャパンカップの所謂モブウマ娘の所作である。作中、全員が勝つために全力を尽くしていることの表現かは分からないが叫び声を上げ始めるシーンがある。しかしその場面のレースは第二コーナーを抜け向こう正面に入ったばかりである。一体どこで本気を出し始めているのか。レースの演出を良くするのは分かったが、謎の場所で謎の気合を見せつけられても、観ている側からしたら困惑するだけである。
そして最後に突然歌い踊り始める。ウイニングライブであることはゲームやアニメを通じて当然理解しているが、何を伝えたいか分からぬまま歌が始まり、終わる。インド映画ならいいが、ウマ娘に求めているのはそれではない。GIRL's LEGEND Uと共に実装されたグランドライブシナリオであれば表現されていた歌に込める想いもそこにはない。アニメ1期であったスペのライブ失敗から来る、ちゃんとファンに感謝を伝えるための練習をしていたんだなという描写もない。一体何を伝えたいのかが分からないライブ映像だった。
この件に関する総評は、映画全体として存在するこのちぐはぐさが、没入感と高揚感に針を刺ししぼませて来るせいでテンションが上がることもなく、ただ困惑しながら豪華な演出を見ていた、と言える。
最後の問題点としては、とにかくウマ娘ファンを楽しませようとしたのかは分からないが、無駄に登場するキャラクターが多すぎた。足りない尺の中、二桁のキャラクターにセリフが付き十数秒の描写が大量に入るのであれば、もっと人数と時間を削りメインストーリーに(映画自体も客側も)集中できるようにするべきだと感じた。時たまその足りない尺を脳内で補間して無限のストーリーを生み出す方々もいるようだが、あくまで映画館では映画を見るのであって妄想を見るのではない。ストーリーを際立たせてのめりこませられるよう、いらぬ要素は削り前述の問題点であるメインキャラの心情描写を増やし、誰もが(妄想以外で)楽しめるようにするべきだと感じた。
総評として、まず尺が足りないこと、演出は豪華だが内容が軽薄でちぐはぐであることが目についた。ストーリー自体も焼き増しされた内容(これ自体は悪いとは思っていないが)であることから特に機微な内容に目が行き困惑した。妄想を見て無い内容を生み出せれば楽しいかもしれないが、映画を見に行ったのでそれらの記述には納得がいかず、それらがまた映画のちぐはぐさを思い起こさせた。決して手放しでお勧めは出来ないが、映像としてのクオリティは高いのでそちらに注目してみるのが正解なのかな、と思う。
望外の傑作!「作画演出による心理描写」に全てを懸けるスタッフの心意気に胸が震える。
本当はあまり観るつもりがなかったのだが、20時からの映画に間に合わず、せっかくの水曜サービスデーなので何か観て帰ろうと、ウマ娘を選んだ次第。
率直にいって、想像以上の完成度でびっくり。
すげえ面白かった!!
テレビシリーズは1~3期とも視聴済み。アニメとしてはいずれも良い出来だったと思う(とくに一期)。
ただし競馬には1ミクロンも関心なし(調布に15年住んでいるのに府中競馬場にも行ったことがない)。ゲームもやったことがない。馬の名前も活躍した時代もまったくわからない。
要するに、美少女スポコンアニメとしては愉しんで観ているが、正史がどうだったかとか、各キャラへの思い入れとかはまったく無い、筋金入りの「ニワカ」のしがない感想です。
何が良かったかというと、とにかく「作画」と「演出」で全てを表現したいという姿勢が、全編を通じて貫かれていたこと。これに尽きる。
意地でも、台詞では説明しない。
心の声でああだこうだとしゃべらせない。
込み入ったストーリーやキャラ立てを用意しない。
ただ、ヒロインの姿を映す。動かす。それだけ。
そこに込められた視覚情報だけで、
心理描写を丹念に彫り込んでゆく。
監督には、「演出」で全てを語らせようとする覚悟がある。
表情の細やかな変化、瞳孔の開け閉め。
しぐさ(とくに指)、足の震え、口元のおののき。
立ち位置の演出、カメラアングルの演出。
横からか撮るか、前からか撮るか、後ろから撮るかで、場面の意味合いが劇的に変わる。
光と影、順光と逆光、空模様、ターフの重さ。
感情の変化と背景描写が常に密接にリンクしている。
そういった映画的なギミックと手管と情報を徹底的に練り込むことで、ヒロインのその時その時の感情を、「視覚的に」表現しようとする強固な意志が感じとれる。
おそらく、ジャングルポケット自身も、自分がどうして「ダービーに勝ったのに」いつしかダウナーな思考に絡めとられて、どんどんと追い詰められることになってしまったのかは、正直よくわかっていないはずだ。この精神的な不調は、言語化不能、論理化不能のあいまいな何かによって引き起こされているからだ。
結局、アグネスタキオンに直接対決で勝てなかった現実。
目の前でタキオンに仕掛けられたスパートによって、自分が気圧されて心が折れてしまったという自覚。自分が「負け犬(負けウマ)」になってしまったという屈服感。
勝ち逃げのように、自分には理解の出来ないロジックでタキオンが目の前から消えてしまった巨大な喪失感。
その後、人生で一度しか巡ってこないダービーでの勝利によってもたらされた、突き抜けた歓喜の感情と、しばらく続くふわふわとした昂揚感。トレーナーと先輩の期待に応えられた安堵と充足。そんな達成感のすきまに忍び寄って来る、曰く言い難い目標を見失ったような空虚な感覚。しだいに出過ぎたアドレナリンとドーパミンは、脳をめぐりめぐってダウナーな鬱感情を引き起こす。自分は結局タキオンには勝てていないではないか。どれだけ頑張っても、タキオンが残した戦慄の光芒を超克することはできないのではないか。次第に追い詰められていくなか、速く走る訓練よりも、自分に負荷をかけるようなウェイトとローラー牽きの特訓に明け暮れ、ひたすら身体を苛め抜くポッケ。それでも、マイナス思考の連鎖はとめどなく、調子はどんどん落ちてきて、レースでも勝てなくなってくる。
もがいても、もがいても、前に進めない、抑制のかかった重くて身動きのとれない感覚。
彼女を押しとどめ、リミッターをかけているのは、実は彼女自身の心に他ならない。
一流のアスリートたちは誰しも、常に「調子」と「メンタル」という、自分の意志だけではコントロール出来ない変動パラメータに振り回されている。
努力したからといって、すべてがうまくいくわけではないし、勝ったからといって、調子が持続するわけでもない。プロとアマが対決すれば九分九厘プロが勝つくらいの力量差はあるけれど、プロ対プロの戦いでは、常にそこの数パーセントの「調子」と「メンタル」で、勝ち負けが大きく左右される。
野球のピッチャーにしても、140キロの球をだいたい狙ったところに投げることは「毎回出来る」が、それ以上の細かなコントロールや球威は「その日に投げてみないとわからない」。そのくらいぎりぎりのところで戦っている。
ウマ娘も、「訓練」や「戦略」だけで勝敗が決まっているわけでない。
とにかく難しいのは、「勝った後のモチベーションの持続」と、「負けた時に身体に染みついた負け犬感覚の払拭」であり、勝てる状態にまでメンタルを持っていくそのイメージの醸成方法であり、メンタルの良い状態を身体の神経と筋肉に伝えて高い能力を発揮させるためのメカニズムの整備である。
今回のウマ娘は、そういったアスリートの繊細であいまいな心の揺れと、心と身体の関係性、直結して左右される調子の上がり下がりを、とにかく丹念に追いかけて、映像的に実体化させようとしている。そこの粘っこいアプローチが実に良い。
この方法論は、「見せ方」に違いはあるにせよ、京アニ出身者、とりわけ山田尚子監督の演出方針にとても近しいところがあって、個人的には大変好ましく感じる。
キャラクターの一挙手一投足、1ショット1ショットのアングル設定、各シーンごとのレイアウトに何らかの「意味」をもたせようとするコンテワークこそが、僕はアニメの醍醐味だと思うし、そのあたりをいろいろと考えながら観るのがたまらなく愉しい。
アニメは実写と違って「描き込まれているものは、すべてわざと描き込まれている」以上、惰性やお約束ではなく「意図」をもって本気で描き込めば、実は実写以上の「演出」を仕掛けることが可能だ。
二人の並ばせ方、動きのシンクロ度合い、目線の交錯ぶり。これだけの作画演出で、アニメは100の心情が描写できる。今回のウマ娘は、とにかく日常描写(特にポッケを曇らせる描写)において、アニメならではの表現方法を必死で模索しているのがしっかり伝わってきた。
だから僕にとっては、とても愉しいアニメ体験だった。
そういうわけだ。
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「ウマ娘」コンテンツの最初の「映画化」として、作画や演出の方面では本当によく頑張っていたと思う一方で、この手の「黒目部分が小さめで瞳孔が縦に開いている」タイプのアマゾネス系の外観&口調のヒロインを主役にもってきたのは、ずいぶんと冒険だった気もする(少なくとも通常のアニメやゲームだと、サブキャラにはいても主役を張ることは絶対にないタイプ)。
敵役のタキオンも、目がいっちゃってる完全な厨二キャラのサイコ系で、ぜんぜん可愛くないし。で、ふたりともいっちゃった顔で、妄言を吐いたり叫んだりし合ってて、ずっとガチャガチャやり合っているので、まあまあ絵柄が汚い(笑)。狂暴系クレイジーサイコ●ズ同人みたいな……。
萌えアニメのWヒロインとしては、かなりとっつきの悪いキャラだったのでは?
なんか、1期も2期も3期も特別編もやって、可愛い系きれい系はやり尽くしたからじゃあ今度はワイルド系でってことなのだろうが、一本のアニメ映画としては、どうもW主演させるにはクセが強すぎるコンビである気はしないでもない。
話の組み立てとしても、完全にジャングルポケットVs.アグネスタキオンという図式が全編にわたって徹底されているがゆえに、他のウマ娘が添え物のような扱いになっている感は否めない。
ダンツフレームは、異形の主演二人が毒気をまき散らすなかで、「オーソドックスなウマ娘」像を差しはさむ一服の清涼剤のような役割を果たしていて良いと思うが、マンハッタンカフェとテイエムオペラオーに関しては、若干扱いを持て余している感じがある。
結局、最も意識し合っているふたりは、前半で交錯するだけ。
後半のジャングルポケットはずっと、マンハッタンカフェと走った菊花賞も、オペラオーと走ったジャパンカップも、実際のところは「タキオンの幻影」と戦い続けている。
たった一度目にした「タキオンの光芒」だけを追いかけ続けている。
彼女が意識しているのは、ずっとタキオンだけなのだ。
そこはわかって観ているつもりではあるのだが、やはり「なんで最強を目指しているはずのジャングルポケットが、現役最強で最多記録を更新している最大の敵テイエムオペラオーに対して、超どうでもよさそうな塩対応なのだろう?」というのは、素朴な疑問として残ってしまう。
「刃を交えはしたがそのまま眼前から消えた幻のライバル」
「戦えないがゆえにどんどん肥大していくライバルの幻影」
「最大の敵は影におびえてセーブをかけてしまう自身の心」
というマニアックな設定のせいで、最初に見せ場が来たあとは、ずっと鬱々とした展開が続き、残る二度のレースでも他のライバルキャラが目立たない。
このへんは、痛し痒しといったところか。
あと、個人的に残念だったのがライブの演出。
全体にヒキのアングルで、あまり熱がこもっていない。
せっかくいくらでもグルグル視点は動かせるんだから、
もっとヨセで、アップで、ガンガン煽っていこうよ。
どうしても前例としてトウカイテイオーとナイスネイチャの神ライブがあるので、今回の醒めた演出は若干拍子抜けだった。
シリアスな内容に合わせて、途中にもライブは差しはさめず(あれだけギスギスさせると、戦ったあとのライブはたしかに入れづらい)、最後の最後だけ入れてはみたが演出は出来るだけ抑えたってことなんだろうけど……せっかくの映画版なのにライブにリソース全振りで盛り上げないでどうする??ってつい思っちゃうな。
とはいえ、総体で見ると充分に愉しめる素晴らしい映画でした。
改めてレビューコメントをいくつか遡って見ると、褒めるにせよ叩くにせよ、いつになく暑苦しい空気感で、そのくらい濃ゆいファンがしっかり付いているコンテンツなんだなあ、と(笑)。
叩くレビューにしても、それだけ「ウマ娘」に対して「理想」があって「期待」があることの裏返しなわけで、どこまでも真摯で、はらわたから声が出ていてほほえましい。
こんなにガチのファンがいるのなら、当分コンテンツは安泰なんだろうな。
以下、備忘録。
●フジキセキの勝負コスが変態紳士すぎる。
●緒方賢一はさすがにちょっと老け込んできたな……。
●タキオンがほとんどウソしかしゃべってないってのはミソだよね。
●パンフで監督が「ジャングルポケットは矢吹丈でタキオンは力石徹」みたいなこといってて笑う。ジャングルポケットのキャラ付けは江戸前で、下町のヤンキーらしい(笑)。
●ジャングルポケットがレース中やレース後に「吠える」のって、史実どおりなんだな。こういう正史の活かし方って、「ウマ娘」のコンテンツってホントうまい。
●タキオンとフジキセキの復帰エピは、個人的には別にやらなくてもよかったかなと。
●レース演出が期を重ねるごとに激しく過剰になってくのって、アニメーターの負けん気ってのもあるんだろうなあ。「誰だれの描いたアレには負けたくない」みたいな。
●作画スタッフに、昔懐かしい吉成鋼や恩田尚之の名前が。
●やっぱり、テレビやノーパソで観るのと違って、映画館の大スクリーン(しかもシネスコ。シネスコですよ!皆さん!!)で観るウマ娘は、迫力が違う。マジで全然違う。
横長の画面で、巨大なウマ娘たちがコンマ一秒を競い合う様は圧巻。
ぜひ皆様も映画館でお楽しみください。
2010年代や昔のジブリを思い出すような凝った作りの作品
レビューが非常に長いことはご了承ください
※6/1に2回目の視聴、6/11に3回目の視聴、7/14に追記
先ずは作品がクロスメディアコンテンツとしての体裁故の注意事項、6/13にゲーム版にジャングルポケットが実装されましたが"本映画とは全くシナリオが違う"ので、"本作品は本作品の中でしか完結出来ない"ことを念頭に置いてください
現在、7月一杯までは冒頭の7分公開をYoutubeにて配信されていますので、そちらを見てから見るのを判断されるのが一番かと思われます
また初見でしか味わえない部分もありますので、その部分が損なわれるのは嫌な方はここで引き返してください
あまり言いたくはありませんが、曲解や虚偽、いやがらせなレビューが多く、コメントを閉じてまでファンに擬態したレビューも少なくないので他レビューを見る際はご注意ください
少なくともウマ娘を全く知らない連れを連れていっても作品を楽しんで貰えるくらいには分からない部分はありません、分からないとしたら子供ぐらいなので、大の大人が分からないと言ったら、だいぶマズイくらいには深く入らなければシンプルなレベルです
会話には用語が1割満たないレベルでしか出てきません
一応、補完も込めた小説版も販売していますので、舞台裏やより細かい心理面とかも知りたい方は角川文庫出版の小説版を是非
アニメ映画として見た場合のレビュー
本作の製作スタジオであるCygames Picturesは映画事業は全くの初
しかし、初とは思えない作りの良さ、アニメ映画としてはまるで2010年代の名作達や昔のジブリを思い起こす様な映像からも心理を読み取らせようとする演出もあり、昨今のアニメでは失われつつある絵や音による心理描写が非常に多くあり、音響も素晴らしくシリーズを見てきた自身ですら驚くレベル、五感を総動員して楽しめます
中にはちょっとした背景での立ち位置や部屋の変化で登場人物の心理が見え隠れしたり、それぞれの立場が分かるような意図した作りを入れています、これはウマ娘作品でもここまで多く入れたのは初めての試み
また、タイトルがタイトルなので中々、視聴に抵抗がありそうですが、ここら辺も2010年代からある「見た目・タイトル詐欺」レベルの少年漫画的演出やシナリオ、展開だったりしますし、作り込みはそれを遥かに上回るレベル
ヤングジャンプでコミカライズ展開している別作品・"ウマ娘 シンデレラグレイ"の雰囲気に近い作風だったりします
作画も動と静がハッキリしている作り込み、表情の変化も非常に細かく「あれ?何だか様子が?」って意識させる作りが非常に多いです
しかし、シナリオは至って王道、小難しく考える必要もないが、演出における解釈を加えて、心理を深く見ても面白くなる様な作りにはなっています
物語のイントロを少しだけ
主人公のジャングルポケットが友人と気まぐれに見にきたレースで「お嬢様学校の連中」とたかを括っていたら、フジキセキのとんでもない走りに惹かれて自分もそのレースシリーズである、トゥインクル・シリーズ出場を目指し、その惹かれた走りのような強いレースで時代の最強を目指すところから物語は始まります
このように言わばジャンプ漫画みたいな分かりやすく、熱血王道的な導入から始まり、ここから主人公のスポ根的成長物語ともなります
基本的には見易く、取っ付きやすい物語の作りではあると思います、また登場人物が学生なので合間に日常シーンで緩急をつけたりして上手くメリハリが効きながらも、しかし要所要所の演出による心理描写や表情に伏線があったりと五感全てで楽しめる作品になっていると思いました
世界観どうしても細かい設定が気になるって方はウマ娘 公式ポータルサイトまたは映画の公式HPや映画Xでの公式アカウントで用語集を調べてから見るのが良いかと思います
実際の競馬や競走馬等に基づいたエピソードはありますが、知らなくても分かるレベルでしか入っていません
ここら辺はあくまでも"作品の世界観の独自性"も維持するために物語のノイズにならないよう上手く取り捨てしています
では、ここからは作品シリーズのファン目線で
実質的な前作で前日譚でもあるROAD TO THE TOP(以下RTTT)からより進化した作品でありながら、シナリオの作り自体はナリタトップロード(以下トプロ)の二人三脚で頂点を目指す物語とは異なった作り
トプロの物語は群像劇スタイルで主役3人にフォーカスを当てる視点に対して、今作はジャングルポケットを中心に同期のライバルであり友人達との成長物語を描いているので、シリーズファンに言えば別スタジオの作品であるTVアニメ1期の様に見せつつも、実際はアプリのメインストーリーの様なスタイルと作風を意識した作りで展開しているいわば、メインストーリーEXと思えば良いと思います
ただし、作風自体は同じサイピク作品であるRTTT味は健在、迫力のある作画やさらに進化したカメラワーク等には圧倒されました
また、BGMも新しい試みがあり、タキオンという異質な存在をアピールさせるための曲調にしたり等と、RTTTとはまた違った良さがありました
皆が期待しているであろう00年有馬記念のテイエムオペラオーは想像以上に凄かった、PVでは映像のみだったが、実況は「当時のモノの方が凄みが伝わる」との脚本家の采配でまさにほぼ同じものだったので更に迫力がよりありました、演出面も「これからとんでもないことが起きますよ!」と言わんばかりの派手さ
基本的にはレースシーンはRTTT以上にエンタメ的迫力を重視しつつも、想いの心理は全く変わらずでした
強いて言うならレースの展開やポッケの内面的成長が物語の中心なこともあってか、戦略的な面はRTTTと比べて少なめ、一応最初のレースでポッケ自身のレーススタイルは本人が触れているが、セリフからして"天性のレースセンス"と持ち前のフィジカルで行くタイプ
しかし、勝利への執念を見せるべく想いをぶつけ合うような描写もあり、モブにも「勝ちたい」という強い意志を見せたりとこれまでの集大成的な作りが見受けられました
とにかくレースでの内面心理描写は過去一まであるかもしれません
また物語も最強を目指すポッケが同期のライバルが離脱して目標を失いつつも世代最強を目指し、さらにはタナベTとフジの夢を受け継ぎ、より強く目指そうという意志を持つものの、世代最強になっても「タキオンには勝っていない、勝つことはない」という事実に悩まされ、虚しさとも戦っていく"アスリートは常に自分との戦いでもある"という側面をも描いています
他ライバルであるタキオンやダンツにも心理面をかなり描いています、特にタキオンは裏主人公とも言えるポジションなので、アプリでタキオンファンになった人は感慨深いかも
フジキセキももう一人の裏主人公orヒロイン的ポジションであり、史実ルートに行ってしまった時の掘り下げがたくさんあります、いつもの寮長としてのフジではなく、1人の先輩アスリートとしての側面を見せてくれるのでイメージが変わるかと
そして、ポッケ以外にもこの裏主人公2人の物語でもあることが分かってきます
タナベTもRTTTの沖田Tと同様に欠かせない、二人三脚をする、夢と想いを託す人物としては大事なキーパーソンの一人でした
ここまで長々と話しましたが、RTTT同様に登場人物がそれぞれの役割を持ち生き生きとしています
また、結構な数のキャラクターが1シーンだけでも出てきたりしますので、楽しい部分も多し
さらにアプリ出できたあのキャラクター達も
ではここからは悪かった点に
・完全初見向けの世界観説明が冒頭以外にない、ただし尺の都合もあり、潔くカットしているのとシナリオ自体は初見でも問題ない内容だが、ファン向けな部分も少なくはないのでここら辺は公式ポータルや映画のX公式アカウントで用語等を事前に調べてください
・マンハッタンカフェが物語の展開上、レースシーンが少ない
クラシック期がほぼ全休に近かったことからレースシーンが少ない、出番自体はあるものの、ポッケ中心の物語である以上は仕方ない側面もある
監督からも雑誌にてコメントがあり「物語上、出番が少なめになってしまったのはごめんなさい、代わりではありませんが、出てくるシーンは一層気合いを入れて作りましたのでご容赦ください」とのこと
ただ、遅咲きであり、これから覇王に引導を渡したり、世代の頂点を奪い取るので、カフェの為の後に展開がありそうな切り方ではある
カフェ自体の心理的な面はアプリユーザーでも見たこと無い部分や表情を描いているので、また新しい一面が見えるかも、ちゃんと役割もあるのでいなくても変わらないなんてことはありませんでした
・テイエムオペラオーは"最強という概念"的象徴のため、物語にはほぼ絡んでこない
あくまでポッケが目指す"最強の称号"を持つの1人の目標
序盤で時代背景をアピールをしただけで存在感がありすぎるので反って目立たせ過ぎなくて正解かなと、RTTTとは違う"世紀末覇王"としての姿には感動してしまうかも?
・プリズムのサンキャッチャーの意味が人によっては少し分かりにくいかも?ポッケの大事なアクセサリー的な立ち位置としての解釈でも十分だと思われるが、実際はポッケやタキオンの精神状態を端的に表しているモノでもあったりする
非常に長くなりましたが、総じては
・作品ファンなら映画館で見て欲しい、物語もポッケにふさわしく、キャラクターの新たな一面に推しが増えてしまうかも、少なくとも大半の人がモルモットで光輝いていたりやポニーちゃんになってしまうくらいには魅力的な描かれ方をしています
・シリーズ作品始めてでも入ってきやすいシナリオ、小難しく考えず正面から純粋に受け取るのが一番良いでしょう、されどコアなアニメ作品好きを唸らせるような演出描写が多彩
・競馬ファン向けに言うと史実に沿うだけがこの作品の良さではないことも証明しています、時にはこれをいれてしまうと物語のノイズになってしまうという取り捨てをしっかりしています、例を上げるとクロフネはポッケの物語である以上は絡ませにくい&クロフネの名称使用許可がない為、シリーズによくある苦肉の策・代名であるペリースチーム(ペリーの黒船をもじっている)で代用している等と決してクロフネの存在を無視してはいません
脚本の方も何度も元になったレース映像を見直したり、エピソードを拾ってきて物語を作る上で取捨選択をする努力をパンフレット内でインタビューしていました
この世界観の独自性を失わずに元の題材を大事にしている姿勢が両者の原作をしっかりと尊重しているシリーズトップクラスの名作です
長々と見辛い部分もあると思いますが、レビューを見ていただきありがとうございました
少しでも見たいと思える様になれば幸いかと思います
何だかんだ5回見ていますが、未だに新しい発見があるくらい情報量が膨大にある作品です
物語自体は1回見れば誰でも分かるくらいシンプルなの反面、一瞬たりとも目をを反らしてはいけないくらい物語りが常に動いている作品でした
実馬フジキセキに夢を見たおっさんの感想
娘がウマ娘好きで、映画館に連れられ初めてウマ娘を見ましたが面白かったです。
私がこの映画が好きになった理由を2点紹介します。
一つ目はウマ娘という存在、概念がしっかりと理解できたこと。
正直ウマ娘の最初の印象はただ人間に耳がついた女の子が走っているという考えでした。
しかし実際映画を見てみたら、人間と走り方が全然違う。足の出し方、走る体勢が異質。
そしてスピード感が異常。
ここはアニメを作った方が上手に表現しているのだろうが、人間とは別の生物ということが
よく理解することができた。
またウマ娘たちの走る、走りたいという感情表現がよかった。
実際の馬は走るために生まれてきた生物、その宿命、運命を引き継いで彼女たちが走る(娘が言うにはウマソウル?)ということが表情、セリフ、行動からよくわかった。その表現から
彼女たちは人間じゃない馬を模した生き物なんだと感じて見ることができ非常に見やすく話
しに入り込めた。
そして二つ目は個人的な理由で大変恐縮なのですが、フジキセキの物語を描いてくれたこ
と。映画を一緒に見た大きな理由が映画にフジキセキが出演するからでした。
私は実馬フジキセキが大好きで、彼の走りに魅了され3冠は取れずとも、クラシックそしてシニア級で活躍してくれたのではないかと今でも考えています。
その大好きなフジキセキがどんな風に描かれるのか少し気になり映画館に行きましたが、非
常によかったです。
正直ジャングルポケットが主役でフジキセキの出番はあまりないのではないかと考えていま
したが、まさかフジキセキの弥生賞をやってくれるとは思わなかったです。
先ほど書いた通り、レース、走る表現は素晴らしいので、過去のことを思い出しながら見れ
ました。フジキセキの性格も非常に好きでした。ジャングルポケットのいい先輩でありながら、ケガで走れなくなっても走りたい、勝ちたいという気持ちがある。そしてジャングルポケットが挑むジャパンカップ前のお話には少し涙腺が緩んでしまいました。
実馬フジキセキはもういないけれど、こちらの世界では楽しく走れている、多くの方に知ってもらえると思えると非常に幸福感が溢れました。フジキセキをこのようなキャラクターにしてくださった製作者の皆様に感謝申し上げます。またフジキセキに興味を持ってくださった皆様には他のレースも見ていただけると幸いです。
最後に、私は最初ウマ娘をあまり好ましく思っておりませんでした。
しかし今回映画をみて少し印象が変わりました。連れてきてくれた娘にも感謝です。
私のように少しでも引っ掛かりがあるなら一回でもいいので、見てみてください。
私の偏見を消してくれた、この映画に感謝を。
そして多くの方が私のようにこの映画を楽しめますように。
評価は星5にしたかったのですが、フジキセキの勝負服が破廉恥だったので、4.5とします。
長文失礼いたしました。
映画にする必要性を感じなかった
約2時間は映画の内容自体を考えると長い。
ウマ娘、競走馬を知らないとやっぱり厳しい内容。
要は、今回は「競馬ファン、ウマ娘のファンに贈る映画」なのだとよく分かった。
今回主役を張るキャラ、サブキャラで推しがいる方は見に行っても良いかも。
フジキセキが好きなので、たくさん出てきて嬉しかったです。
自分はジャングルポケットという馬がいたことを知らなかったので、事前に下調べをして行った。下調べをしておいてよかったと思った。調べずに行ったら、間違いなくジャングルポケットが「いかにすごい馬だったのか」を知ることなく見ることになってしまったと思う。
どうしても設定(例えば、ポッケとフジキセキが同じ厩舎だったとか)やキャラクターの力だけに頼ってしまっている気がして、ストーリーに厚みを感じない。
ストーリーはどこか飛躍、飛び飛びのような感じも否めず。
今回主役を張るキャラクターの誰か/ウマ娘、モデルとなった競走馬を好きな人には楽しいだろうし、ゲームをしている人からすれば知っているキャラがたくさん出てきて楽しい。
自分はゲームを途中でやめてしまったので知っているキャラがいたことで何とか楽しめたが、今回映画を共に見たウマ娘は存在を知っているけど詳しくない友人は、全く何が何だかという感じだった。
ナリタトップロードのときのような短編アニメを連ねる構成でよかったボリュームです。
一緒に居た友人はウトウトしている場面も。
実在した競走馬がモデルになっているがゆえに、その馬がいかにすごかったのかを調べなくてはならないことや、そもそもウマ娘を知らないと厳しい、ストーリーも何だか単調ということで、見ても見なくても感がありました。いろいろ惜しい。
せめて、ジャングルポケットが世紀末覇王・テイエムオペラオーを倒したことがいかにすごいか。これを感じるのには、正直不十分な演出。物足りなかった。オペラオーがもう少し出るのかと思ったら、そうでもなく。
あと、入場特典に入っているシリアルナンバー特典。
iphoneユーザーでは特典が受け取れないようでした。
DMMか、googleストアのみ。ちょっとこれもどうなんでしょう…
ファン必見!ようこそウマ娘沼へ!
1.はじめに
2.良かった点
3.気になった点
4.最後に
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1.はじめに
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Cygamesのアプリゲームであり、TVアニメ2期で大成功を収めた「ウマ娘」。俗に言う擬人化系作品であり、本作はタイトル通り競走馬×美少女を組み合わせ、競馬の史実に準拠しつつ要所要所でオリジナルのストーリーを織り込んだドラマチックなシナリオが高い評価を得ている作品だ。
今回の映画はウマ娘「ジャングルポケット」を中心に2001年の競馬をモチーフにしている。
・2000年に年間無敗を達成し、2001年のジャパンカップで戦ったテイエムオペラオー
・同期の皐月賞ウマ娘アグネスタキオン・菊花賞ウマ娘マンハッタンカフェ・ダービーで鎬を削ったダンツーフレーム
・史実で同じ渡辺栄調教師の管理馬だったフジキセキ
これらの面々を中心にストーリーが展開される。
タイトルを読んで貰えればわかる通り、私はこの作品を視聴しとても感動した。本当に素晴らしい作品である。その理由をいくつかの観点から書いていく。
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2.良かった点
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①競馬へのリスペクト
私はウマ娘を知る前から競馬が好きである。
そんな私から見てもこの作品は競馬へのリスペクトを強く感じる。
例えばジャングルポケットのトレーナーを務める「たなべ」という人物、これは渡辺調教師からきていることがはっきりわかる。実際の名前は使わず、上手く作品にそれとわかるように組み込む工夫が素晴らしい。
また、描かれる一つ一つのレースは展開がそっくりそのまま史実のレース展開である。誰がいつどのように前の馬を抜いたのか、その時実際の実況はどんな言葉を使ったのか、そういった感動の場面をアニメーションで完全に再現している。
特に私が驚いたのが最初の方に描かれるテイエムオペラオーの有馬記念だ。このレース映像にはキングヘイローがしっかりと映っている。
キングヘイローは確かにこの有馬記念に出走し4着になっている。しかしアニメの中で実況はキングヘイローの名前を呼ばないのである。極端な話、別に描かなくても今回の映画の展開には全く影響しない。それにも関わらずレースを忠実に描くためにキングヘイローをはっきりと描いたのである。
「可能な範囲で史実に忠実」、これを徹底している(のは一人の競馬ファンとしてとても好印象であった。
②キャラクターへの愛
各キャラクターの個性をしっかりと活かせていた。
例えばアグネスタキオンというキャラクターは所謂「マッドサイエンティスト」なのだが、作画と相まってかなりの狂気を感じた。正直凄すぎて背筋がゾクゾクするほどだった。
また主要なキャラクターはもちろん、おまけで登場するキャラクター達も特徴を意識して描かれている。
カレンチャンは「インフルエンサー」として写真を撮る場面が、ハルウララは「天真爛漫」でおっちょこちょいな場面が、オグリキャップは合宿所の米を残らず平らげてしまう「食いしん坊」な場面が…といった具合にそのキャラクターらしさが随所で描かれている。
ヲタクという生き物は推しがちょっとでも出てきていれば嬉しい気持ちになるものだ。そこをキチンと理解していることが嬉しかった。ライスちゃんとっても可愛かった。本当にありがとうございます。
③ストーリー展開
史実が既にネタバレなのだが、今回のシナリオを端的に表現すれば「最強を目指していた主人公が苦難を乗り越えて本当の最強を目指す」という内容である。
苦難を乗り越えて強くなるという非常に単純明快なスポ根、そこに史実とオリジナル要素を組み合わせて非常に熱くなるストーリーに仕上げている。
とてつもなく大きな壁、先輩からの激励、仲間やライバルとの絆…とてもわかりやすく、だからこそ誰でも胸に刺さる内容になっているのだ。
今回は一応ジャングルポケットが主人公となってはいるが、レースに出る全員が主人公であるという各キャラクターへのリスペクトも感じられた。各キャラクターはもちろんだが「競馬」そのものが面白いと思わせるような内容にしているのは胸が熱くなった。
④作画と音楽
とにかく作画がエグい、これに尽きる。
単純に可愛いだけではない。レースの時の真剣な表情、狂気じみた笑み、本当に悔しい時の涙…圧倒的な表現力で見ている我々の心に訴えかけてくる。
(なので単純な萌えを求めてきた人は「なんか思ってたより暑苦しい」となってしまうかもしれない…)
ネタバレはもう史実でされているのだが、それを知っていてもつい「いけ…!いけ…!!」となってしまうほど鬼気迫るレースシーンは必見である。
またその作画を引き立たせるような音楽もまた素晴らしい。特にEDの「うまぴょい伝説」、やはりEDはこれ以外ありえない。なんであの歌詞と曲調で感動してしまうのかわけがわからないが何故か泣けてしまう。これは私の脳がやられているのだろうか。
⑤アグネスタキオンの存在
最初に「本作はジャングルポケットを中心に〜」と書いたが早速訂正する。あれは半分嘘だ。
本作の中心は間違いなくジャングルポケットとアグネスタキオンである。おそらく本作のストーリーを考えた人はタキオンに脳を焼かれた人だろう。そう思えるくらい圧倒的な存在感があった。
タキオンは史実ではたった4戦で現役を引退し、その全てに勝利。そしてその4戦で戦った相手が後に大活躍をすることで「それら全てに勝った」という伝説を残した馬である。どのくらい伝説かというとCMになるくらい伝説である。「その馬の名は…」のフレーズで知った人もいるかもしれない。
本作でも史実同様、登場人物は軒並み「タキオンに負けた」という現実と向き合うことになる。常に付き纏うタキオンという存在が彼女達を時に突き動かし、時に立ち止まらせ、時に奮い立たせるのである。ジャングルポケットは特に顕著であるが、すべての人物に影響を与えたという意味ではタキオンこそ、このストーリーの中心と言っても過言ではない。
そしてそれらの乱高下が高クオリティな映像と音楽で我々の脳に流し込まれるのである。当然我々視聴者の脳もタキオンに焼かれることになる。
…のだが、クライマックスでそのタキオンの脳を低温加熱からの超強火で焼くのがジャングルポケットなのである。ジャングルポケットが主人公である所以はまさにここだろう。視聴者の脳を2方向からの超加熱で焼き切っていくCygames、恐ろしい会社である。
と、ここまで良かった点をひたすらに書いたので、次は気になった点についても書いていこうと思う。
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気になった点
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①息をつく暇がない
これは良かったと感じる人もいるかも知れないが、個人的には展開を詰め込み過ぎていたように感じた。
基本的なストーリー展開が「レース→イベント→レース→イベント→レース→…」という単調な流れなことに加えて、描かれているレースの数がとても多い。そこにキャラクターを数多く描いているとなれば必然的にイベントパートの内容はギチギチになる。
10分前と10分後で感情が乱高下するジェットコースターである。内容自体はすごく良かっただけに、もう少し丁寧な説明や描写も欲しかったが…まぁこればっかりは尺の都合がある以上仕方がないのかもしれない。
②目がやられる
これも個人的なものかもしれないが、非常に目が疲れた。凄まじい作画と表現力で展開の早いストーリーを描いているので画面がピカピカと光るシーンが多く、目への負担が大きいように感じた。
これもある意味尺の都合上仕方ないのかもしれないが、観終わったあとは疲れがドッときた。
そういう意味でもこの映画はやはりジェットコースターなのかもしれない。まぁ表現力の代償と言われればそれまでなので、これもやはり好みの問題だろう。
③ウマ娘・競馬を知らない人向けではない
これは気になったというより、気をつけたほうがよいかもしれない点である。
この作品は全体的に競馬とウマ娘への愛と熱意が非常に強い。一人の競馬好きとしても、ヲタクとしても大いに楽しめた。しかしそうでない一般人が視聴した場合、楽しめない部分が多いように感じる。
代表的なのはアドマイヤベガである。
詳細は省くが重い過去を背負っている1999年のダービーウマ娘である。本作での彼女はメインの登場人物ではないが度々その姿が描かれる。
しかしその姿は「夏祭りで綿あめをやたらとプッシュする」「合宿所の布団のフワフワ具合を真顔でレビューする」といった、重たい過去を全く感じさせない珍妙なものなのだ。
もちろんアニメ「ROAD TO THE TOP」を見ていれば「あんなことがあったのに、それを乗り越えて素になれたんだな…」「あのアヤベさんがみんなと一緒にはしゃいでる!」と感動できるのだが、何も知らない人から見たら「フワフワ好きのおもしれぇ女」である。
他にもそういった要素が多数散見され、気になった点①②で書いた部分と合わせて、何も知らない人が何もわからないまま終わってしまいかねない。
劇場版をわざわざ観に来る人は基本的にウマ娘大好きなので大した問題ではないかもしれないが、恋人や友人がウマ娘を知らない場合、置いてけぼりを食らうかもしれない。最低限「TVアニメ2期」と「ROAD TO THE TOP」は視聴しておくことをオススメする。
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最後に
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この映画への私の印象をまとめると「ウマ娘好きを更に沼に叩き落とすファンサービス映画」だろうか。
ジャングルポケットやアグネスタキオンなどの主要人物が好きな人は勿論、多くのファンに刺さるようなリスペクトや趣向が光る作品だ。
その一方、尺の都合でやや駆け足な展開にファンでなければ置き去りにされかねない。ウマ娘のように我々も精一杯走って追いつく必要があるだろう。
…などと散々書いたが、結局は自分の目で見なければ意味がない。気になっている人は是非自らの脚で劇場に行き、その先にある感動を目指してほしい。
萌ゲームがスポ根の映画に!まるで本物の会場でのレースをするウマ娘の姿を大スクリーンで!
元々原作のゲームを途中からしていたので、楽しみにしていましたが、予告を見たときは不安でした。
原作のかわいいデザインがアニメよりも目玉ギョロギョロ、巨大な大口、現実なら舞台演劇に見えてしまうほどのオーバーリアクション。そしてお笑い芸人ジャングルポケットの不倫した方のゲスト声優。大丈夫なのかこれ?が予告をみたときのリアクションでしたが、、、、、、
そんな不安は映画が始まってすぐ吹き飛んでしまいました。
ゲームでは味わえない疾走感、立ちはだかる壁による葛藤、先輩と後輩との友情、師弟の絆、そして好敵手とのしのぎを削り合う戦いとライオンかクマか恐竜を思わせる鬼気迫るウマ娘の迫力。気づけばもう終わってしまって、まだ終わらないでくれー!と思わず考えてしまいました。
あまり競馬には詳しくないですが、史実を参考にしたシーンなのだろうか、と感じさせるものもたくさん散りばめられている気がします。
ポッケちゃんとタキオンの変顔がちょっと作画崩壊レベルでありましたが、ギャグだと受け流せるレベル(を少し過多ですがww)なので見てて不快になることは少ないかと思います。
ジャンポケ斎藤さんはコメンテーターみたいな役割だったので、ストーリーを邪魔するほどの演技ではありませんでしたし、むしろリアリティーが出たと思います。付かず離れずの立ち位置のゲストだったのでそれもよかった気がします。
あとヘビーユーザーのトレーナーさんたちにとっては背景にたくさんのウマ娘や登場人物が登場するので何度見ても楽しめると思います。個人的には理事長がセリフありきの登場をしなかったのが少し残念でした。
追記
先日4DXでリピート。
やはり面白い。2回見ることによって再確認できることがいくつもある。
走り終わったウマ娘から発する湯気(現実の馬は動物界で唯一は人間以外で汗を掻く生き物)のリアルさや背景の美しさ、ポッケのスランプの時系列、ポッケとタキオンの関係性。
『待ってくれ。』『先に行くぜ。』
待つのではなく、タキオンが目指したそのさきで待っている、と目で伝えるのがエモかったです!
そして自分はやっぱフジキセキが好きすぎることを再認識させられました。
(長文注意)2回観に行きましたが、期待外れでさめました。
TVアニメ1期でファンになり、それがきっかけで競馬の現地観戦も嗜むようになり、先日に欧州アイルランドを旅行してそこでのGⅢ競走も観に行くほどに至ります。
アニメ版は全て一周はしています。
私個人としましては、残念ながら全体として及第点ではないと感じられました。
「ウマ娘シリーズ初の劇場版作品」として物足りない箇所が多く、悪い意味で既存の一部ファン向けになってしまっておりました。
・説明不足が過ぎる。
本作品では、ウマ娘達によるレース、その学生リーグであるトゥインクルシリーズ、養成機関のトレセン学園の他、レースの上位入着選手によるウイニングライブの存在、そして彼女達の指導者であるトレーナー職について丁寧な説明が皆無でした。
劇場版である本作品は元々一定の視聴者層に限定したOVAや配信アニメではありませんし、地上波の民放でも大体的にCMを流しておいてこれでは新規ファン開拓の機能が果たしません。
作中で登場するレースについても、ただでっかく会場やコース距離などのテキストを出すのはお粗末です。
特に日本ダービーとジャパンカップは、実際の競馬競走として我が国でも格式の高い歴史ある存在です。
コースの形態や試合展開の傾向についても簡潔な概要でもいいので、トレーナー職やスタート前の実況に説明をさせるべきでした。
TVアニメ版で共に東条ハナトレーナーが率いるチームリギル所属であったフジキセキとテイエムオペラオーが本作品ではそうではなかったため、これまでのアニメ版とは異なるパラレルワールドの話である事が観に行ってから確実に判明しました。
フジの担当だというタナベトレーナーの存在が公式メディアに発表された時点でなんとなく「そうだろうな」とは思ってはいましたが、開発とリリースが難航していたアプリ版に先駆けて放送されたTVアニメ版第1期は全体として高評価を受けてアプリ版ユーザーとなるファン獲得に大貢献したとされており、そのオールドファンへの配慮として公開前の案内で大体的に説明して欲しかったです。
これまでのアニメ版ではトレーナーの執務室やチームの部室は校内にあり、練習場も校内にきちんと整備されたものを使用しています。
本作品でタナベTの執務室兼チームの部室がなぜ多摩川の河川敷にある木造のボロ小屋で、なぜか河川敷の草むらに設けられた練習コースもなぜよく使っているのかについてもスルーされていました。
本作でも駿川たづな役の方によるナレーションが序盤のみにありましたが、その内容は作中世界での神話の一つのようなものでふわふわしたものです。
その後もたづな役としての出演はありませんでしたので、どうせなら
「この世界には「ウマ娘」と呼ばれる女性の人達がいます」
↓
「その人達の身体能力に特化した芝やダートコースのレースがあり、「トゥインクルシリーズ」という中高生リーグがあります」
↓
「トゥインクルシリーズではレースだけでなく、ウイニングライブも重視されます」
↓
「そんなウマ娘達を指導するトレーナーという職種があり、彼らの多くは親・兄・姉のような感情をもって、教え子と一緒にレース活動に臨んでいます」
↓
「東京都府中市にはこの学生リーグの選手養成期間である通称トレセン学園があり、今日も生徒とトレーナー達が切磋琢磨をしております」
……というような語りでの導入部があって良かったと考えます。
中盤の集団夏合宿につきましては、実際の国内競馬事情に合わせて芝のGⅠレースのない時期に行われている、という設定の描写がなく、他の方のレビューで「ウマ娘を知らない同行の友人が「唐突に始まってついていけなかった」」などの意見も見受けられました。
・主要キャラの掘り下げが浅いorない。
アプリゲーム版で育成未実装であったジャングルポケットを主役をするのであれば、彼女のパーソナリティの根幹となる幼少期や家庭の話などのバックグラウンドに触れるべきでした。
なぜTVアニメと配信版のRTTTでもやってきた流れを踏襲しなかったのかが疑問です。
またポッケがお守りのように持っていた水晶のようなアイテムについて一歳触れられなかったのは、創作全般としても論外です。
今作でポッケと共にメインキャラとしてパンフ絵などに描かれたアグネスタキオン、マンハッタンカフェ、ダンツフレームについても物足りなませんでした。
ポッケの因縁の好敵手となったタキオンについてはある程度の出番や見せ場はありましたが、アプリ版で僅かながら言及されていた家庭環境やサイエンティスト気質については触れられていません。
カフェにつきましては、タキオンの皐月賞、ポッケのダービーと共に菊花賞でクラシック三冠を仲良く分け合った大功績者のはずなのに、本作で菊花賞の栄冠はあっけなくダイジェストとして流されたため何の余韻もございませんでした。
「おともだち」というイマジナリーフレンズ?の存在についてもスルーされており、ポッケとは決して仲違いはしていないが特に友情を思わせるようなやり取りもありません。
ダンツに至ってはアプリで育成未実装のためポッケと同じく丁寧に紹介されるべきであったのに、結局ウマ娘としてどのようなパーソナリティとアビリティの子なのかがわからずじまいでした。
・フジキセキの扱い方のズレ。
フォーカスがされた内容の時間と内容の密度的にも、本作品の事実上の準主人公はフジです。
パンフ絵でも最後のライブシーンでもポッケの隣にいるべき立ち位置でした。
私個人としてもフジはお気に入りのウマ娘の一人であるので、本作品である程度以上の尺が割り当てられた事自体は良かったです。
ですが、TVアニメ版やアプリ版とは異なるパラレルワールドかつモデル馬の史実準拠とはいえ、大怪我でクラシック路線を離脱した事にはやるせない気持ちでいっぱいでした。
幸いにも引退まではしていなかった事と戦力自体は失っていなかった事が救いではありました。
フジは公式設定で有名舞台女優の母を持つ元子役であるので、他のウマ娘達と比べてもエンターテイナーとしての意識が人一倍高く、よく手品を披露するのもその現れです。
また学生寮の一つである栗東寮の監督生たる寮長も務めており、世話好きで特に下級生からの人望も厚いです。
これまでのアニメ版では上記の要素が描写されており、本作品でも上手く反映させて学園生活自体は問題なく送っている事を強調して欲しかったです。
また人知れずにリハビリに取り組んだり、小さなレースには出走していたりする様子などに触れる描写があっても良かったと考えます。
・引き立て役にされた実装ウマ娘へのケアの無さ
本作品ではポッケのモデル馬のキャリアに合わせて、ナリタトップロードやメイショウドトウ、そしてテイエムオペラオーなどの育成実装ウマ娘が対戦相手として登場しました。
ですがレース後に前向きにリベンジを誓う様子やそれぞれのトレーナーからの労いを受ける場面はありませんでした。
特にオペラオーに関しては、モデル馬のキャリアとしては自分の時代の引導を渡された敗北ともされているほどなので、アニメ版でのハナに代わるトレーナーを登場させて心のケアをしてあげて欲しかったです。
・ストーリーのテンポが悪い
特にダービーからジャパンCまでの夏合宿を中心とした期間についてが非常に停滞しており、「チケット代返せ」と言いたくなるようなレベルでした。
大目標であったあのダービーを優勝したにもかかわらず、タナベTの心のケアも結果として無駄になってしまったとも言えるようなポッケの独りよがりな葛藤をダラダラと見せつけられるのは苦痛でした。
代替案のアイデアを出せるのであれば、育成未実装のダンツやクラシック三冠の最終戦である菊花賞を制するカフェのバックグラウンドにフォーカスをし、ジャパンCを控えるポッケにとっては前向きな「気づき」のための時間に充てた方が良かったのではないでしょうか。
・トレーナーの存在意義。
ウマ娘の活躍はトレーナーの適切なサポート無くしては成立しません。
そしてプレーヤーがトレーナーとなって担当ウマ娘と二人三脚でトゥインクルシリーズに挑戦し、モデル馬が成し得なかった記録も達成する事ができるのも、このシリーズで中核となるアプリゲーム版の醍醐味です。
そしてこれまでのアニメ版でも沖野Tや沖田トレーナーなどオリジナルのトレーナー達が登場し、地道なレースや対戦相手の分析、時には風変わりなトレーニングメニューの編成、そして教え子達への労いや心のケアなどが、丁寧に描かれています。
本作品のタナベTは、大ベテランだからこその重みのある言葉でポッケ達と接していたのは非常に良かったです。
しかしながら、作中での役回りは傷心の主人公を労る父親や祖父のような印象にとどまり、沖野Tや沖田Tのような具体的なトレーニング指導等は描かれませんでした。
何故カタカナ表記なのか?、トレーナとして今までどのような成績を残しているのか?、そして過去の回想シーンに登場した彼の師匠と思われる人物は一体何者なのか?
とにかく謎が謎のままで終わってスッキリしませんでした。
また先述に触れたオペラオー達のトレーナーだけでなく、タキオンやカフェ、ダンツ達のトレーナーも出して欲しかったです。
特にタキオンに関しては、これまでのシリーズ作品とは異なって自己中心的で不遜な言動が非常に目立っており、ポッケやカフェ達に愛想を尽かされた直後に研究室の外から聞こえてきたモブのトレーナーとその教え子達のやりとりを茫然としながら聴いていたかのような姿には、ただただやるせなさを感じられました。
問題のある態度を注意したり、故障後の本人の意思を尊重しながら見守ったり、復帰の決意を後押しをしたりするような指導者がいても良かったと思います。
またカフェとダンツについては、中盤以降ポッケ達と共にタナベTの指導を受けていたので、同じチームなのかどうかをはっきりとさせるべきでした。
・なおざりにされたウイニングライブ。
ウイニングライブはウマ娘コンテンツにおいてレースと同等の重要要素です。
アプリゲーム版でも、その存在意義について取り上げた育成シナリオが実装されています。
コンパクトにまとめてでも、TVアニメ版のようにその華やかさや練習風景も丁寧に言及して欲しかったです。
・作画崩壊。
TVアニメ版までの表情の温かみと安定感のある作画が好きなので、ポッケのアメーバー化や、8、90年代のギャグ漫画のような変顔、レース中の目ん玉が飛び出るのではないかレベルのエッジの効き過ぎた作画は自分の肌には合いませんでした。
・音楽編成のズレ。
OPにはフェンではない一般層にも比較的知られている『うまぴょい伝説』を、EDに今作の主題歌を充てて締めるべきでした。
うまぴょい伝説は良くも悪くも結局は「電波ソング」で、今作では出番の少なかったウマ娘役の方々も集めた大合唱型式でした。
2時間近くも拘束されてのこのエンディングでさらに興ざめになりました。
・キャラクター作品としての物足りなさ。
ウマ娘シリーズは、とにかく多くのウマ娘を実装してそれぞれのファンを獲得しているスタイルです。
最初のアニメから6年、アプリ版リリースからは3年も経ちますので、少なくとも本作品の制作時点で実装されたウマ娘を全員何かしらの形で登場させるご配慮ぐらいはあっても良かったと思います。
セリフについても、もちろん声優さん方のご事情で新規収録ができなかったにしても、可能であればこれまでの作品の録音音声での参加という方法もあったのではないでしょうか。
また背景が暗幕のままであったEDロールで、これまでに実装されたウマ娘の姿と名前をワンシーンでもいいので全員分載せて流した方が良かったです。
そもそも論になってしまうのですが、TVアニメ版のように特定の一陣営のみを中心とするのではなく、第1期のOVA『BNW』とRTTTのように複数の陣営にも焦点を当ててサブのキャラクターも多く出しやすい群像劇にした方が、多くのファンの印象も良かったと思います。
以上です。
Racing Forever
ウマ娘
ソシャゲの体系でひと頃
非常に多かった様々な歴史上の
存在を擬人化・とりわけ女性キャラ化
する風潮の中で生まれたジャンル
凡庸なゲームで終わるはずだったが
途中で開発環境が変わりクオリティが
格段に引きあがり競馬ファンが
感心するほどの設定のこだわりで
累計収益はサービス開始3年で
3790億を突破しているという
と言っときながら自分は
ソシャゲ全然遊んでないダビスタ世代
なんですがまぁせっかく劇場版だし
観に行っておくか的な感じで観賞
ジャングルポケット・アグネスタキオン
なつかしいです
この世代は本当に凄かった
ちなみに中央競馬も丁度この頃前後が
4兆円産業なんて言われるほど隆盛が
ありました
そんな語り出したら終わらなくなる
史実のエピソードをちりばめた今作
大変見ごたえがありました
考えるより感じる方がいいほどの
レースシーンの演出は強烈
ガラスの脚でレースするという
理不尽にも思える競バの世界の
葛藤も伝わってきました
まぁしいて言えば
新時代の扉というサブタイトル
これこのジャングルポケットの
クラシック世代が外国産馬の
G1解放元年だったのです
今や内国産馬が強いんで信じられない
人もいるかもしれませんが当時は
外国産馬が強いという風潮があり
それがダービーも簡単に獲りにくる
と言う様相の筆頭格がクロフネでした
それが新時代って言われてた
由来なんですが
(ここで芦毛馬に
あえてクロフネと名づける
金子オーナーのセンスも
最高なんですが)
作中では権利関係で別名に
なっちゃってるとこがどうなのか
って観る前は訝しんでいましたが
まぁ当時ならではのネタに固執
せずジャングルポケットとフジキセキの
渡辺栄厩舎関連のトピックス
にしたのは正解だったと思います
ウマ娘という世界観で世代を
飛び越えられる部分は実際の
競馬より面白いところですね
ほんとこの映画と競馬しか観てない
んですが大変良かったです
映画として楽しめるものではない
30代男性。大人向けの映画ではないかな、と感じた。軽い気持ちで楽しむウマ娘のファン向けのコンテンツとして捉えれば多少は評価できるが、基本的に観客が置いてけぼりになる作品と思う。
まず私が考えるこの映画の悪かった点は以下3点である。
1.心情描写の少なさ
2.声優の演技
3.音響効果
1について、各キャラの心情描写がほとんどなく言動の理由がわからないため全く感情移入できない。具体的には主人公のジャングルポケットはフジキセキの走りを見たことで自分もあのように走りたい!と感じて最強を目指すのだが、彼女は物語後半で追い抜くことに快感を感じているというような言動が見られる。これは人のレースを見て感じるものではないので言動との不一致がある。
フジのように走りたいのならばフジの走りのどんなところに惹かれたのかを描写してほしかった。
本能で最強を目指すというのであればそれで良いのだが、余計に半端な描写を付け加えたせいでボヤけてしまっている。
ダンツフレームも負けたくない・走りたいといった稚拙な感情を述べるだけであり、一般的なウマ娘の感想を垂れ流すだけになっている。彼女のバックボーンから生まれる彼女なりの心情や言動がなかったことが残念。
マンハッタンカフェについてはゲーム内のシナリオを踏襲しており、そちらを予習していないと理解が追いつかないような描写になっている。尺の問題もあるとは思うが、この作りでは観客に甘えて手を抜いたと言われても仕方がないかと。
タキオンに関しても自分が走らないと意味がないんだ、という至極当たり前の結論にかなり遠回りして行き着いており、安い心情描写と言わざるを得ない。それでも他の主要キャラに比べればまともに描かれてはいるが。
2に関して、とりたてて演技が下手くそというわけではないのだが映像と声のテンションにギャップを感じる場面が多い。
特にタキオンに対して怒りを表現するジャンポケのシーンは酷く感じた。
デフォルメされて怪物のような描写をされているジャンポケ(この映像自体が作品にそぐわない表現のように思うが)にトーンが低めの怒声を当てていてかなり違和感があった。
デフォルメされていることからシーンとしてはコミカルなものを狙っているにも関わらず、トーンを低くしてしまってはシリアスさが出てしまうのでアンマッチである。
3について全体的にメロディーラインが少ない、あるいはマイナーコードを使用した劇伴でありシリアスな雰囲気を醸し出している。
音楽がないシーンも多くあり、暗いイメージを抱かせるなぁと感じた。
ラストを除きずっとこの調子なので、楽しいシーンも楽しく感じれない表現だったと思う。
タキオンのいないダービーに勝っても気分が晴れないという部分を表現したかったのかもしれないが、合間のコミカルなシーンまでも暗い音楽を使わなくてもよかったのではないかと思う。
ストーリーや心情は細かいことを気にしない子供向けなものになっているのに対して、音響はオシャレに作ろうとしすぎてチグハグな雰囲気。
かなり悪い点を書き綴ったが、良いと感じた点もあげておく。
1.作画のきれいさ
2.実況再現
1に関しては明暗のコントラストやプリズムを使った彩豊かな表現が美しく、タキオンの光速を超えるようなイメージや美しい夢といったものを感じとれた。
2に関しては史実の実況を完全にコピーしたような出来で熱い気持ちになれる。
特にオペラオーの有馬を再現してもらえたのは個人的に嬉しい限り。
以上、なかなか感情移入の難しい作品で少し子供向けに作られているのかなと感じた。
深く考えずライトに楽しむのが良いのではないだろうか。
自分個人としては3期より評価が低いと思うのだが…
ネタバレあり!
まず、フジキセキさんの試合を見てプリティダービーに挑むジャングルポケットさんはマジで興奮した!
その後タキオンに挑み敗れるポケット!
でタキオンさんが「神の領域?」に達した&足の骨折で無期限休止でブチ切れてタキオンにキレるポケット!
そこから何をどうしたら良いのか分からず合宿するポケットさんの所はちょっと、「なんか何してんのかよく分からない」って感じ進みポケットが自分の幻影から「お前は最強にはなれない!」って言われて絶望してるシーンは「えっ⁉︎コレ大丈夫なの?暗い雰囲気で終わらんよね?」って不安になったけど、川の土手のベンチでフジキセキさんに「俺は…最強じゃあねぇ…」って弱音吐くけどフジキセキさんが励まして、次のオペラオーさんとのレースで逆転勝利!でボロボロ泣いてよし!最後は復活したタキオンさんとの戦いでポケット勝利!で終わるんだろうな〜って思ってたらその試合が始まる前に終わって「はぁ⁉︎コレでもう終わり⁉︎タキオンさんとの対決は⁉︎」ってなってモヤモヤしながら帰りました!
個人的評価
今回はオペラオーさんとの逆転勝利までは良かったのにタキオンさんとの戦いで締めなかった事がなんか残念って感じでした!
作画も話の展開も良かったし、ある程度のキャラの掘り下げというか話の土台を作れたけど、その土台で最高の作品に仕上がらずに中途半端で終わった感じ!
個人的意見だけど自分としてはファンの評価が低い3期よりもっと悪くなってんじゃね?って思った、だからといって最低最悪って感じじゃ無いけど、なんか3期よりも少し話の質がちょっと低くなった惜しい劇場版って感じ、まぁ、コレは私の個人的意見なんで間に受けなくてもいいけど…まぁ3期も史実とは違うので、3期批判している人の言い分も分かるけど…
芝居がかるテイエムオペラオーが1番好き
前回の映画でテイエムオペラオーが1番好きな『ウマ娘』だと実感した。
しかし今回のジャングルポケットも凄く良かった。
レースが1回、またリベンジの2回しかないような話はよくあるが、ウマ娘は何回もレースがあって葛藤したり悩んだりするのに話がスムーズで尺稼ぎがないように感じる、むしろ時間が足りないのを上手く映画に収めていて1つ1つのレースを一緒になって応援していた!
ジャングルポケット!凄く良かった!
最高のレースだった!
1つ1つのレースが丁寧に作られていて、わかりやすくて感動しました!
【アグネスタキオン】
強さを魅せつけて事実上、引退した事でジャングルポケットに完全に敗北を認めさせてしまった事で、どんなウマ娘に勝っても2位というトラウマを植え付けてしまった。最強になりたいのに最強に絶対になれないのだから。
【フジキセキ】
後輩のジャングルポケットの為に走る姿に感動した。だってフジキセキの走りに魅せられたジャングルポケットが、もう1度!熱さを取り戻すシーンだから。
【最後に】
ワタクシごとだが、どうしても気になるので徹夜あけで見に行った。デッド後編とウマ娘、観て良かったと本当に思う。
ただ、やはり多少、頭が回らない感じがある。この後、仕事。もってくれよ俺のカラダ
ポッケが持っているアクセサリーはサンキャッチャーと言うらしい
9日、ネタバレの為に警告を追記
これを知っているかどうかでも大きく評価が変わるのではないだろうか?
光を全周囲に拡散させる事で楽しむ物であり、劇中ではジャングルポケットが肌身離さず持っている物と、アグネスタキオンの部屋の窓辺に飾ってある。そう、2つあり、彼女達2人の物語なのである。
もし2つ目の存在に気が付いて無かったのであれば、この先のレヴューに目を通す前にもう一度映画館に行って考えながら観てほしい。
空に投げた光のアクセサリーを掴む所から物語は始まり、タキオンの圧倒的な走りの残光にあてられ、ダンツフレームと言うライバルと共に輝き、東京優駿の輝きに照らされたフジキセキが道を見失ったポッケに道を示す。
一方で東京優駿の輝きに自らの道を見失いそうになるアグネスタキオンは、輝きを取り戻したポッケを直視出来ず拒絶を顕にする。
ジャパンカップ前の並走をお願いするシーンだ。
眩いばかりのサンキャッチャー、カーテンを閉めるタキオン。俺はアニメ映画を観ていたはずなのに、こんな表現をされるとは思ってもみなかった。意味、意図に気づいた時は震えてしまった。娯楽映画でする表現じゃないだろ。夏祭りのお面もだよ。なんとなく不気味で怖さをなんて物じゃないじゃないか。凄く心が痛いよ俺は
佳境、輝きに手を掛け、自身に落とす影を払ったジャングルポケットと、彼女の光にあてられて走りだすアグネスタキオン
マンハッタンカフェが云々と言う人が居るが、彼女は初志貫徹で前を向いて走り続けてるんだよね。タキオンの走りに心折れることなく前を、おともだちを。
ダンツフレームも同じで、自分の道を目指して輝いたからこそダービーの2着。
この2人は主役2人の別の対比として存在してるからこれ以上もこれ以下もないよ
光の強さに負けてしまうけど、光が拡散してまた光り輝く物語。サンキャッチャーを理解した時に、この作品の評価が変わるんだと思う。
レース映画かと思って期待しすぎていました。
まず個人的に良かったと思うところを先に書いておきますと、日本ダービーまではめちゃめちゃ良い映画に仕上がってたように思います。日本ダービーの前と後で、監督変わった?と思うほど差があり、僕が酷評しているのは主に後半パート(日本ダービー後)です。
映画としてのクオリティは低いと思います。そう感じるすべての元凶は、なぜ2部構成になっていないのかと思うほどの尺不足です。ゆえに、他の方が書かれている通り、各キャラの掘り下げが不十分なまま、あるいは掘り下げるバランスがおかしいまま物語が進行してしまい、そのしわ寄せが終盤になればなるほど大きくなっていきます。そのわりには本編と全く関係のないモブキャラが結構な数セリフつきで出てきており、ウマ娘ファン向けの美少女萌えアニメに仕上げたのか?と感じました。僕は美少女萌えアニメ大好きなので、小ネタとファンサは楽しかったですが、初見で観に行くと戸惑って集中できないシーンもたくさん入っていると思います。
肝心の(?)レースシーンも、レース途中で各キャラの戦略や戦術、心理などがほぼ描かれず、最終直線で「背負っている想いの強さ」をそのまま虹色にしたようなキラキラの演出と雄たけびで済ましてしまっており、レースものの映画としてこれではダメだったと思います。アニメ3期でボロクソに言われた「最終直線で叫び倒す」を「パチンコの大当たり演出」に置き換えただけにような感じです。何度も言いますがレースもの映画としては雑な仕事ではないでしょうか。ベテラントレーナーとフジさん仕込みの技術や戦術で、あらゆる手を尽くしてもライバルが強烈で、最後の手段としてポッケの中にあるものが覚醒する。とかいう展開ならまだあの演出も飲み込めたのですが…純粋なレース映画だと思って観に来た僕が間違ってたようです。
初めにも書きましたが、とにかくそこまで描けるほどの尺が足りなかったんだろうと思います。見方を変えれば、100分少々の映画としては頑張って上手くまとめた方なのかもしれません。
新時代〜私は最強
“原作”は知らず、ゲームも未プレイ、アニメ本編はすべて観ております。
(好みとしては2期>RTTT>3期>BNW>1期)
初期情報では、ポッケ(愛称かわいい)、タキオン、カフェの群像劇という印象だった。
しかし実際には、ポッケを主人公としてライバル枠としてタキオンがいるというのが構成の中心。
小倉唯まで使ってカフェがダンツより薄いのは予想外。
予告ではバトルジャンキーに見えたポッケは意外と爽やかで、好印象。
フジとトレーナーの関係性も素敵。
個人的に大人しめのキャラが闘志を剥き出しにする瞬間が好きなので、ダンツも好き。
RTTTでは色ものっぽさもあったオペラオーが、今回は覇王の貫禄を十二分に見せてくれる。
脇キャラの味出しやバランスが本当に上手い。
背景に色んなキャラが映り込んでるのも、相変わらず嬉しいポイントです。
120分弱の尺なので、物語はストレート。
東京優駿の終盤だけは、引っ張りすぎていてダレたのと、声優さんの叫びもバテて聞こえたのは少々残念。
しかしあれだけのキャラを魅力的に描きつつ、感情の流れを丁寧に拾った脚本は見事。
タキオンとの再戦を描かない(“原作”にないだけかもしれないが)余白も好み。
飛行機雲を重ねたり、自分自身に頭を抑えつけられるなどの演出もよかった。
ギャグ的なデフォルメ絵ですらぬるぬる動くし、レース中のケレン味たっぷりの作画も素晴らしい。
単体でもしっかり熱くなれる、スポ根ものとして非常に質の高い作品でした。
諸手を挙げて喜ぶ程かと言うと…
アプリやTV1〜3,RTTTと見てきて、初回の映画特典を読んで感じたのが、
「これ、映画でやるほどか?やってこのキャラの使い方なのか」
というところ。デザインや演出は申し分無いものだったと思う、素晴らしかった。ただ、ストーリーやキャラクターの使い方としてどうだろう。腑に落ちなった所が何点かある。
確かに、主人公であるジャンポケとタキオン、またフジキセキやトレーナーの関係性も良くできており、言い方はアレだが所謂「最強を目指し、時に挫折し周囲に激励され立ち直り勝利し、ライバルをも立ち直す」という「王道」だ。別に王道が悪いと言うわけではない。タキオンの「自分が」で無ければ意味がないという気づきから、走り出すシーンは感動した。
ならばどこが、腑に落ちなかったか。
まずは挫折という部分だ。そう、落ち込みへの展開が軽いと感じたのだ。上映中、主人公が挫折していたのはおよそ何分だっただろうか。上映時間の中での割合としてはとても少ないのだ。挫折し苦悩する姿は確かに苦しい。だが、そこで主人公の苦悩に共感できなければ、その後の復帰の感動が薄くなる。だというのにハイライトのように負けたレースは過ぎ去る。その苦悩中の期間が長く続くはずであるのに、それに対する周囲のフォローという描写もない。隠し通すにも限度がある、周囲の人間関係が希薄と捉えられてもおかしくない。だからこそ、フジキセキがジャンポケを立ち直らせるシーンが「まあそう出てきますよね」位の感動で私は終わってしまった。もっと挫折の展開が深ければフジキセキの勝負服での登場は「待ってました!」と思えたはずだ。
次点、予告編で登場したキャラクター、マンハッタンカフェの存在感だ。
予告編で散々と登場したカフェの存在感は凄まじかった。だが鑑賞後は違和感であった。はっきり言ってしまおう、「いる意味があったのか」だ、申し訳ないがあれではモブだ。そこも使い方としてガッカリとさせられた。菊花賞でさえ前段の「挫折中のジャンポケのワンシーン」として終えられてしまった。一体、ストーリーに対してどれだけ関係していたのか。予告編に登場させるほどであったのか、微妙な心にさせられてしまった。
3点目は、トレーナーとの関係性だ。
今までのトレーナーとウマ娘の関係は、二人三脚と言った強い絆があるイメージを持っていた。今回の映画においては、フジキセキに憧れてトレーナーについた訳だが、ナベさんなりにジャンポケを気にかけている描写があるのだが、ジャンポケからのナベさんへの描写が薄く感じられた。最後まで「フジキセキのトレーナー」である感じがしてしまったのだ。もっとナベさんと絡んでも良かったと思う。そう言った意味で前段の挫折の描写が不足していると感じるのだ。
そして、最後は初回特典の存在だ。初回の鑑賞後、アドマイヤベガ視点のRTTT後日談を読んだ。ただ、感想としては「え、RTTTとここまでやって映画の登場はアレなの?」だ。ここがとてもガッカリさせられた。
ただでさえ鑑賞時、「まあ本編じゃないし、ワンシーンだけの登場になるけど、これじゃタダのヤベーウマ娘やん」とまで感じたのだが、初回特典を読んだ後は、そうですらなくなった。
特典として出しておいて「ふわふわ」だけとはいかがなものかと思ってしまった。せめて、ナリタトップロードがジャンポケに併走する前、トプロとアヤベが並走していて、「あなたはどうぞ」とアヤベが去っていく程度のシーンがあった方が、あの特典が何倍も面白くなるはずだ。
まあそれはそうと浴衣アヤベありがとうございますそこだけで生きていけます。見たすぎて8回も見たぞ。こんなん初めてや。みんな絶対見ろよ。動くアヤベの浴衣やぞ。絶対見ろよ。
ここまでダラダラと書いたが、別に「つまらなかった」訳ではないのだ。爽快な部分や熱い部分もある。ただ、やはり王道な話であるならば、きちんと掘り起こしてほしい部分が私にはあり、この位もしくは掘り起こしてTV4期として放送しても良かったのでは?と感じられたというだけだ。
繰り返すが、評価とかいいから動く浴衣のアヤベを観に行くんだ、いいね?
純粋に楽しめました!
初日から観てきましたが映画としても良く映像と音の迫力は圧巻でした。
初回映画終了時には終わった満足感と何とも言えない感覚になり暫く夢心地と言いますか、ただぽかーんとしてましたね。
大体の話としては主人公であるウマ娘のジャングルポケットを中心に同世代の仲間、ライバル達とレースで競いながらも各々の苦悩や葛藤がありながらも成長し共に駆けていくスポ根要素強めの話です。
私はウマ娘のストーリー等は把握していた為世界観にのめり込む事が出来ましたが、そうで無い方には理解が追い付かず満足が得られないまま終わってしまうかもしれません。
しかし映像や演出、音響音楽は素晴らしいので知らなくてもそのクオリティを映画館で観ると圧倒される事間違い無しです。
アニメーションに関しては色んな有名なアニメ制作会社が合作しているのもあるせいか、所々に独特な作画が目立つ点があるので分かる方にはクスッと笑える要素もありますしウマ娘のゲームアプリを楽しんでいる人への細かい部分でのサプライズ要素も沢山含まれている為、一回では無く数回観に行っても違う観点での楽しみ方が味わえる映画にもなっていました。あとネット配信や2週間限定映画上映した作品でもあるウマ娘RTTTの作品にも繋がっているものがあるので視聴しているとより一層楽しめます。
ただ注意して頂きたい点としてはこの推しのウマ娘の姿を見たい為だけに観に行くという浅い気持ちで行くと裏切られた気持ちになる事も充分あります。
実際ジャングルポケットと言うウマ娘が中心になっているので他のウマ娘の活躍は多い者から僅かの者も居るのも事実であり映画の演出や尺の都合上仕方のない点でもあるので、その辺りは覚悟が必要です。
現に低評価レビューの大半がマンハッタンカフェを含めたウマ娘の活躍の少なさへの不満やそこから的外れである別作品を引き出しての批判で目立っており個人的に如何なものかと感じています。
確かにマンハッタンカフェやテイエムオペラオーの活躍に物足りなさはありましたが、それでもジャングルポケットの日本ダービー勝利の複雑な雄叫びやアグネスタキオンの狂気じみた姿を装いながらも限界の先へ走る姿、走りたい走れない気持ち。色々考えさせられる感慨深い作品だと私は思います。
楽しみ方は人それぞれですし感受性が豊かか否かでも評価が結構別れる作品でもある気もします。
個人としてはこの映画をきっかけにアニメや作品を全部観て欲しいとまでは言いませんがウマ娘の世界観の考察や楽しみ方を受け入れてくださる人が少しでも増えると嬉しいですね。
評価の総合としては内容としては良い具合に収まっていたし正直私としては星5ではありますが、ウマ娘を全く知らない人がある程度理解するまでこの映画を楽しめるのかと一部の偏った推しのウマ娘好きの人が満足出来るかどうかの懸念点を考慮しての星4にさせて頂きました。
ウマ娘が好きだったりスポ根アニメとかが好きな人には刺さりますし下手したら私みたいに何回映画館で観ても飽きないでしょう。
ちょっと変な作品
※競馬はあまりよく知りません
たしか序盤15分あたりで音楽のギター、ピアノがフェードして次のシーンに移る場面があったのですが、音楽の音量がすでにほぼ無音になっているところに明らかにギターをミュートしたな、あるいはピアノのペダルを離したなと分かる音響演出があり細かいなと驚きました。
あまりこういった(?)映画でこの種の込んだ演出をやると思っていませんでした。
その後も無音とほぼ無音の違いのような、微妙な空気感の変化を終始明らかに意図を持ってコントロールしていて、正直もっとアニメ的な、大ぶりな演出がメインだと思っていたので予想を裏切られました(後で気になって調べたところ音響の方も当作をエクスペリメンタルな仕事だった、と言っており納得しました)。
大枠の妙な設定からくる外連味とその辺りのディテールのかみ合わせがうまく消化出来る人もいれば合わないという人も当然いるだろうなという感じです。
挑戦的な作品だというのは間違いないと思います。
王道ストーリーものと言われていますが、作りはキャラクターものらしくない攻めた作りでした。明らかに敢えてキャラクターに焦点を当てすぎないよう注意しているように思います。かといって空気感とかストーリーがメインという感じでもなく、つまるところ、何より「走る」ことに何かしらの比喩を乗せて全力で描いている作品でした。
正直なところどう言語化していいのかよく分からない妙な映画ですが、だからこそまさに映画的な作品だと言えるように思います。
映画のような大きな表現物は大概どこかしらプロダクト感というか仕事感が出てくるのがいつも嫌なのですが、この作品は制作陣の前のめりなくらいの全力を感じられて非常に気分が良かったです。
最後のライブシーンは正直良く分かりませんでしたがその辺りはご愛敬ということで。
ありがとうございました。
丁寧なアニメーション映画。今後にも期待したい
ちょっといい加減な低評価レビューによって理不尽に評価を落とされるのが我慢ならないので書かせていただく。
この映画は非常に丁寧に作られたアニメーション映画だ。粗が無い訳ではない、キャラクターを持て余したり、終盤の唐突なライブは理解し辛かったり、それらは分かる。だが決して雑に作られたものではない、それは映像を見れば分かるはずだ。
作画が終始綺麗で、キャラクターの演技にも妥協が無いのは勿論、画面作りまでとても丁寧なのだ。例えば最初の弥生賞にしたって、ポッケがスタンドに入るシーン。坂道の上から固定カメラにするだけでもいいものを、わざわざカメラをぐるぐる回し、かつポッケと同じ目線で描くことで、フジキセキとすれ違う瞬間の感動を見ている側とシンクロさせやすくしている。
また最初のホープフルステークス、シマが手を振り応援しているシーン。シマが画面右側にいる→俯瞰視点で画面右側を走るポッケ達→ぐいーんとカーブ、ズームしながらポッケに寄るカメラ。視線誘導がしっかりしている為、余計に視線を動かさずに疲れないまま、ダイナミックなカメラワークを楽しむことが出来る。
このような作りが、細かいところまで終始行き届いているのである。特に映画の大画面ではこのような気配りがとても大事、ある意味、基本テクニックではあるが、これが抜けてるものだって多々ある。『映画を作ったことが無さそう』?ちゃんと映画を観てから言ってくれよ。
もちろん作りが丁寧なら何でもいいって訳じゃない。しかし随所に見られる気配り、挑戦的な演出、何よりアニメーション、絵で魅せようとする意欲。これらを差し置いて『駄作』扱いはあまりにも理不尽だ。個人の感想なら構わないが、批評家を気取るなら、まずはこう言った技法も学んでからにしてくれ。これだってほんの一部に過ぎないんだ。一般人には伝わらないものだとしても、君は批評家として批評したいんだろう?
感情が表立ってしまったが、何よりこの作品が何らかの悪意によって蹴落とされるのは我慢ならなかった。何故、熱意を持って制作されたものが無下に扱われなければいけないのか。
私はこの作品が決して完璧ではなくとも、この時代にここまで意欲を持って、妥協せずに作ったスタッフ達に敬意を表したい。今後も同じような作品を是非見たい。そう言った期待も込めて星5とさせていただく。
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