「受け取り方によって賛否両論、作品の軸をどこと捉えるか」劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」 saleさんの映画レビュー(感想・評価)
受け取り方によって賛否両論、作品の軸をどこと捉えるか
私はウマ娘も競馬もファンです
01世代はマンハッタンカフェが推しです(ウマも馬も)
その上で私のこの作品の評価は星5です
は?と思う方もいるでしょう
分かります。私も1回目の感想は正直いってガッカリでした
01世代の映画ならカフェの活躍に期待できるとワクワクした気持ちで鑑賞したら、お出しされたのは謎にジャングルポケットとアグネスタキオンを推した映画でした
カフェは出るには出るけど活躍少ないし、出番あっという間だし、ダービーからの展開意味不明だしで一回目の鑑賞の状態でのレビューなら星1か2にしてました
しかし、同じカフェ推しの友人と映画について語るとその友人は私と違いこの作品を高く評価していました
勿論友人もカフェの活躍の少なさは嘆いていましたが、友人曰くこの作品は「01世代の物語ではなくポッケとタキオンが何故走るのかを描いたものだから」とのこと
はじめは言ってる意味が分からず、友人に誘われるがまま渋々の2回目の鑑賞でようやく理解しました
私が予告を見て期待し求めたものは「01世代を描いたスポ根もの」でしたがこの作品は「ポッケとタキオンを中心としたウマ娘の走る理由にスポットを当てた人情もの」でした
01世代を描き、テイエムオペラオーをラスボスとするならそもそもポッケが主人公なの違和感ありませんでしたか?
私はありました
01世代を描くなら最後のレースはカフェがオペラオーを打倒する01有馬まで描く筈です
タキオン→ポッケ→カフェと想いが継承される物語であれば01世代を描くスポ根として良かったのではと思いますし、それを求めてました
求めていたものと違いはしましたが、その上でこの作品のテーマというか主軸を01世代のスポ根→ポッケとタキオンの人情ものに置き換えて映画を観るとこの作品に対するイメージというか評価がガラッと変わりました
特にそれが分かりやすいのはダービー後の夏合宿からジャパンCです
スポ根ものとして観てた時はこの辺は本当に意味不明で何がしたいのか、何を描きたいのか分からずイライラでした
ただ、ここら辺のシーンはこの映画にとっても滅茶苦茶大事なシーンでダービー後からスポ根要素薄めの二人が何故走るのか、互いに影響しあっている様を描いているのかなと今は捉えています(あとサンキャッチャーとか分かりやすいかも)
そのテーマだとダンツはダービーを機に、カフェははじめから走る理由を見つけてました
ポッケはタキオンの休止宣言から走る理由を見失って、タキオンは皐月賞を機に走る理由を他所に見いだしていました
ポッケとタキオン(それとフジさん)が何故走るのかを描いた人情ものとして観ると演出とか相まってしっかり一つの映画として成り立っているのだと思います
それでもRTTTのようなスポ根群像劇を期待していた身としては、期待はずれとしか言いようがありませんが…
この作品を評価するなら【スポ根ものとしては期待はずれだが、人情ものとしては面白かった】が私の評価です
人情ものとしては星5です(評価が高い気もしますが、ポッケやタキオンに感情移入したからかもしれません)
タイトルで受け取り方に~と書いてますが、私が他の方のレビューを一通り読んだ印象として、一部を除いてこの作品を高く評価している方は【人情ものとして評価】していて、逆に低く評価している方は【スポ根ものとして評価】しているように感じます
実際、低評価のレビューも高評価のレビューもどちらのレビューもすごく共感出来ます
(勿論、人情ものとして低く評価している方もスポ根ものとして高く評価している方もいますが)
この作品は受け取り方次第で評価が大きく変わるのかなと思います
それと低く評価しているレビューのなかには作画がありましたね
私は抵抗はなかったですが、序盤のポッケとタキオンの絡みのシーンとオペラオーが走るレースは意図的な崩し表現が使われていて人によっては受け付けないかもですね(これは完全に好みかなと)
ストーリーの理解というかポッケたちの心情が分かりにくいと感じたら小説版を読まれるのをおすすめします
小説版はより丁寧に細かい心情描写に加えて、映画にはなかったキャラ同士の絡みがあって作品を楽しむアクセントとしてとても良かったです(カフェ推しの方は特におすすめ)
最後ですが、ウマ娘で人情ものも結構良かったですがやはりスポ根をメインにしてほしかったなという気持ちもあります
ウマ娘も競馬も知らないって方は何も考えず観ると良いかもです
作画と演出の迫力はすごいので雰囲気だけでも結構楽しめるのではないかなと思います