「優れたストーリー構成を圧倒的作画力が支える。」劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」 楓さんの映画レビュー(感想・評価)
優れたストーリー構成を圧倒的作画力が支える。
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この手のキャラクターものの映画としては珍しく、原作キャラクターへの忖度があまりない。
物語の核となるのは最強を目指す主人公ジャングルポケットと主人公を2度完膚なきまでに叩きのめしたアグネスタキオンという天才の2人。
もう2人、同世代のキャラクターがいるのだがあくまで主人公はジャングルポケットであり、この主人公の視点に徹していたのが制作の意志の強さを伺わせる。
ファン向けアニメにありがちな出番の平等さをグッと堪えてキッチリ映画を作っているのは大きな評価ポイント。
そしてこの映画が上手いのは主人公に2度の完全敗北を与え、早々に怪我を理由に引退した天才アグネスタキオンの使い方。終始主人公はこの天才のもう届くことのない幻想の背中を追うことになるのだが、最後の最後に主人公はこの天才を追う側にさせるシーンがある。
この瞬間のカタルシスが物凄く、美しい話の流れになっている。
そして全てのレースにおいて作画が凄まじい。高速で進むレースを主人公視点や劇場ならではの俯瞰視点、スピード感をどこまでも追求した崩した作画など、飽きさせない工夫が細部に施されておりレースだけでも一見に値する作品である。
美少女もの作品という万人受けするカテゴリではないものの映画の「熱」は本物であり、また見たいと思わせる作品であった。
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