「レース映画かと思って期待しすぎていました。」劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」 TPGNFさんの映画レビュー(感想・評価)
レース映画かと思って期待しすぎていました。
まず個人的に良かったと思うところを先に書いておきますと、日本ダービーまではめちゃめちゃ良い映画に仕上がってたように思います。日本ダービーの前と後で、監督変わった?と思うほど差があり、僕が酷評しているのは主に後半パート(日本ダービー後)です。
映画としてのクオリティは低いと思います。そう感じるすべての元凶は、なぜ2部構成になっていないのかと思うほどの尺不足です。ゆえに、他の方が書かれている通り、各キャラの掘り下げが不十分なまま、あるいは掘り下げるバランスがおかしいまま物語が進行してしまい、そのしわ寄せが終盤になればなるほど大きくなっていきます。そのわりには本編と全く関係のないモブキャラが結構な数セリフつきで出てきており、ウマ娘ファン向けの美少女萌えアニメに仕上げたのか?と感じました。僕は美少女萌えアニメ大好きなので、小ネタとファンサは楽しかったですが、初見で観に行くと戸惑って集中できないシーンもたくさん入っていると思います。
肝心の(?)レースシーンも、レース途中で各キャラの戦略や戦術、心理などがほぼ描かれず、最終直線で「背負っている想いの強さ」をそのまま虹色にしたようなキラキラの演出と雄たけびで済ましてしまっており、レースものの映画としてこれではダメだったと思います。アニメ3期でボロクソに言われた「最終直線で叫び倒す」を「パチンコの大当たり演出」に置き換えただけにような感じです。何度も言いますがレースもの映画としては雑な仕事ではないでしょうか。ベテラントレーナーとフジさん仕込みの技術や戦術で、あらゆる手を尽くしてもライバルが強烈で、最後の手段としてポッケの中にあるものが覚醒する。とかいう展開ならまだあの演出も飲み込めたのですが…純粋なレース映画だと思って観に来た僕が間違ってたようです。
初めにも書きましたが、とにかくそこまで描けるほどの尺が足りなかったんだろうと思います。見方を変えれば、100分少々の映画としては頑張って上手くまとめた方なのかもしれません。