「シリーズ好きから見た率直な感想(長文になりました)」劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」 nazuさんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズ好きから見た率直な感想(長文になりました)
正直評価が難しい作品でした。
良いところは間違いなくあるものの、映画館を出たときの印象としては「ちょっと微妙」というところに落ち着いています。
ウマ娘はアニメ1期を見てハマり、アプリを事前登録してほぼ毎日プレイし2期、3期と視聴していました。
RTTTも素晴らしい出来で今回も(キャラ選出に若干の不安を感じながらも)楽しみにしていました。
まず全体を通して感じたのは作品の雰囲気がクールで暗いことです。
ウマ娘は筋骨隆々の競走馬を美少女に擬人化した作品です。
明るく可愛らしく華やかな要素がなければ美少女化した意味が弱まってしまいます。
かっこいい系ウマ娘も勿論好きですが、ウマ娘として初の劇場版で披露するには少々挑戦的に思いました。
背景も綺麗ですが描かれているのは競馬場や静かな河川敷。夏合宿もポッケが沈んでいるシーンなこともありテンションは落ち着いています。
この雰囲気は小さなお子さんには退屈で厳しいのではないかな…
タキオンの引退発表、あんなに画面を真っ赤っかにする必要もよくわかりません。
魚眼構図で目を見開くポッケ、手法がホラーです。誰か亡くなりでもしたのかという過激な色。
色を使った印象的な演出は大事と思いますが、やりすぎなシーンが多く違和感を覚えます。
顔を崩すギャグシーンも妙に長くて不安になりました。
レースシーン。
地下道の蹄の音や工夫を凝らした道中のカメラアングルはとても良かったです。
BGMもジャンポケを意識したであろうかっこいい曲。
しかし道中のポジションの奪い合いや内外選択等の戦術は何一つ無く、
「早くも最後の直線です!」からの
踏みしめる脚のアップ
過剰に光りだすウマ娘
うお〜はあ〜と叫ぶ声
そしてゴールイン!がほぼ全てのレースで行われます。
演出や叫びが過剰になった3期からこのゴリ押しパターンが増えたように思います。
光らせれば良いわけでなく、声優に闇雲に叫ばせても自分の中でどこか白けてしまう。
ただ自分が長くコンテンツを追いすぎてこの演出に慣れきってしまった部分も大きいと思います。
是非まだ体験されてない方は観てほしいという気持ちもあります、本気顔で走っている彼女たちは確かにかっこいいので。
ストーリーに関しては元ネタ的に正直こう描くしかないだろうなという話でした。
期待通りでもあり、こんな一般人の予想なんか超えてもう一捻りして欲しかった感もあり。
散々言われてますがカフェとダンツはもう少し描写が必要だと思います。
日常シーンでポッケともっと関わって影響を与え合える存在であれば、ダービーも菊花賞も熱い気持ちで見れたのですが…。
フジキセキ側に尺を割きすぎたように思います。老いたトレーナーを含め良い話ではありましたが思いを託すのはもう少し簡潔でも良かったんじゃ…
今作ラスボスのオペラオーとも特に接点もなく、最強にこだわる割に現最強の先輩に何の感情もないのかなと少し寂しい気持ちに。
オペの凄さは前もって有馬記念で見せる形をとったということでしょうか。このレースは包囲網を突破するという彼女の技術を感じられたので面白かったです。
ライブシーン。
これが個人的に惜しすぎる。もっと力を入れてください。
このライブシーンだけのために何度もリピしたい!という感想をあまり見かけません。
それを言わすべきほど、劇場で見るライブには力があると思っています。応援上映とかあれば大盛り上がりですし。
個人的感想ですがRTTTのライブの方が可愛くて見応えがありました。
こういう面で言うと今回の4人、やはりデザイン上難しい選出になっているのかなと感じました(キャラクターとしては全員好きです)
勝負服の都合上仕方ないとはいえ色被りを起こしている主役2人、黒一色のカフェ、ダンツはピンクですがスポーティ系の服装。
映えるライブを組み立てるのは相当難しそう。
思えばRTTTはカラフルな3色で華やかな衣装の子が多かったんですね。
この作品に詳しくないアニメ好きの男性層にも来てもらいたいですがその場合目を引く可愛いキャラはどうしても大事になります。
1期2期3期も主役・相手役のキャラは華やかで明るい色を持ったデザインの子ばかりでした。
家族層に来てもらうにはあまりに画面作りが静かでクールすぎ、かっこいい系を主役に据えても女性キャラに狂う女性は(居るにはいますが)絶対数で言えば多くはありません。
興収の話などここですべきではないですが館数に対してのやや物足りない数字も正直納得できます。
公開前にガンダムSEEDくらいは軽く超えるだろうという意見を見ましたが
どちらも好きなコンテンツで両方観た身としては無茶言わないでほしい。別作品の名前を出して申し訳ないですが
「味方全滅の危機に例のアレに乗って駆けつけるアスラン・ザラ」に
「ポッケの不調に勝負服で河川敷にやってくるフジキセキ」では話題性において火力が足りません。
ゲ謎のように内容が話題になれば口コミで伸びることもありますが、この作品にはそういった意表をつくサプライズは感じませんでした。
PVの雰囲気通りの作品が、期待と予想通りに描かれています。ある意味誠実です。
とは言えなるべくいい数字で終映を迎えてほしい気持ちもあり、
気になっていてPVから惹かれるものがあれば是非とも観に行ってほしいです。
このコンテンツが末長く続きますように。
長文失礼いたしました。