劇場公開日 2024年5月10日

「ラストに不満が残る」不死身ラヴァーズ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ラストに不満が残る

2024年5月12日
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鑑賞方法:映画館

難しい

幸せ

予告が流れてなく、ノーマークの作品でしたが、行きつけの映画館で上映されることを知り、キャッチーなタイトルに惹かれて鑑賞してきました。

ストーリーは、幼き日に病院で自分を勇気づけてくれた、甲野じゅんと名乗る男の子を運命の相手だと信じて成長した長谷川りのは、中学生になったある日、じゅんと再会を果たし、すぐに猛烈にアタックしてやっと両思いになるが、その瞬間、彼は忽然と消え、その後も高校の先輩、車椅子の男性、バイト先の店主と、何度も現れては両思いになって消えるという不思議な現象が続くなかで、その真相が明らかになっていくというもの。

両思いになった途端に彼が目の前からいなくなるという不思議な現象が、とても興味深いです。しかも、別人のように年齢や立場を変えながら、出現と消失を繰り返すシークエンスが、大きな牽引力となっています。観客の関心は謎の真相に集まり、物語にぐいぐい引き込まれる展開は悪くないです。

私も、謎の現象の理由をあれこれと考えながら観ていました。単純な夢オチでは観客をバカにしすぎだし、りのが時折感じる胸の痛みから、7歳の時に実は心臓移植を受けて助かり、その心臓に残るドナーの思いが幻覚を見せているのかと予想したのですが、全く違いました。まさかそんなオチだとは思いもしませんでした。“やられた”というより、”そんなことある?”って感じで、ちょっとスッキリしないものが残ります。

結局、惚れっぽいりのが、失恋の痛手から心を守る、無意識の自衛行動だったということでしょうか。そもそも、幼き日に一度会ったきりなのに、じゅんの成長した顔を完全にイメージして、さまざまな人に重ねることができたのは、どうしてなのでしょう。一方、記憶を保てない大学生のじゅんは、おそらく本物の甲野じゅんだと思うのですが、りののイメージどおりの顔をしているのも解せません。りのの目には、恋愛対象の男性は全員同じ顔に見えているということなのでしょうか。深く考えると作品の印象が悪くなりそうです。

とはいえ、りのの屈託のない笑顔、真っ直ぐな思い、体当たりの愛情表現は実にさわやかです。そんなりのを、親友ポジションで支え続ける田中がいいやつすぎて、切なすぎます。全体の内容はともかく、この二人のおかげで、作品としてかろうじて成立しているように思います。

主演は見上愛さんで、中学生から大学生までのすべてが自然に見える巧みな演じ分けが素敵です。脇を固めるのは、佐藤寛太くん、青木柚くん、前田敦子さんら。

おじゃる
トミーさんのコメント
2024年5月15日

コメントありがとうございます。
田中くんが、終始冷静に振る舞っていたのが、カッコイイ様な、物足りない様な・・。

トミー
トミーさんのコメント
2024年5月14日

共感ありがとうございます。
鉄柱攻撃位、乱暴で説得力のない設定でしたね。特にりののネタばらしは、見上カッター! とも言えるようなモノで、夢じゃなければ病院に行った方が。

トミー