劇場公開日 2024年3月8日

「僕たちは、最高の人生を送ってる?」アバウト・ライフ 幸せの選択肢 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5僕たちは、最高の人生を送ってる?

2024年3月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本当の気持ちは胸にしまい、つらつら愛の言葉を弄するキリスト教圏の大人たち(偏見)。それを知ったうえで楽しもうとした、このロマンチックコメディ。その予想はいいほうに期待を裏切ってくれた。たぶん、リチャードギアがかっこいいのもある。娘が思いのほか聡明な女性だったと感激したせいもある。
人は誰しも歳をとり、自分の人生が正解だったかどうかを振り返る時がやってくる。そのときに、なんらかの行動を起こし、それによりそれまでの人生を台無しにしてしまう人も少なくない。また、自分が人に誇れぬこと(不倫とか)をしていながら、さも善人面してわが子の結婚を祝する大人だっていくらでもいる。だけど、ここに出てくる大人たちは、きちんと自己反省をしたうえで、若者たちの決断を尊重し、前途を祝福していた。そこに嘘の気持ちがないのが、うらやましかった。
映画の中で早いうちに、「そして気付くんだ、人生の大半を無駄に過ごしてきたことを」と後悔していた(誰だったか)が、それをいまさらどうしようもないが、それに気づいた時点での答えはあった。その無駄に気付いた時、その先を無駄のままにするかどうかは自分自身だと。
子にとっては、親が結婚生活のいい手本。親にとっては、子は鎹。登場人物6人がそれぞれほかの5人からいい気づきを得ていた。ただ、大事なのは、それを生かすかどうかはやはり自分自身であることだな。

栗太郎