「理解できない点はあるがそれに囚われすぎたら勿体無い」劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX あああさんの映画レビュー(感想・評価)
理解できない点はあるがそれに囚われすぎたら勿体無い
作中の内容に触れており、ほぼネタバレに近いと思われるためご注意いただきたい。
間に挟まるQUARTET NIGHTが演じる怪盗や統治者(?)としてのやりとりは視聴者を置き去り感が強く、先の劇場版であるマジLOVEキングダム、マジLOVEスターリッシュツアーズといった2作品と比べてもライブを楽しむのに興を削ぐかもしれないが、ライブパートのみを抜粋すれば悪くない。(と思い込まないと何回も通うことはできない)
自分が見る限り作品自体がテーマのようにしていた禁忌(タブー)とはなんなのか、到達点(ユートピア)とはなんだったのか本編では理解しえなかった。
通常パンフの各解説、豪華パンフのスタッフインタビューを読めばそれとなく意図を組むことはできるし、やりたいことはなんとなくわかるものの、それらはうまく表現できていないと感じた。
QUARTET NIGHTを知っていれば、彼らの背景をよく知っていれば楽しめるといったような単純な構造にもなっていないと思う。
今回の作中における中途半端な表現は、うたプリが2.5次元の舞台化をするのに二代目に演じてもらいますと理屈をこねくり回した時のような状況にも似ている。
今まで彼らの過去がアニメでは明確に取り上げられていなかったことが関係して、QUARTET NIGHTそれぞれのメンバーが抱え込んでいるものをどう表現するかをこねくりまわした結果の劇中劇なのだろうか?
もしくは劇中劇をするのであればこうした作りにしたいという因果の主従関係がどちらにあるかはわからないが。
劇中劇を受け付けない人もいるだろうし、
劇中劇を受け入れるにしても、何をしたかったのか、何を伝えたかったのか明確にわかるものではない作りのせいで、
ただライブをしてくれるだけで十分だったといわれるのはそういったところからだろう。
そこは大変残念だし勿体無いがそこまで深く考えてみることをやめた。
私情で申し訳ないが近年病気を繰り返し、年々趣味活動に使える体力も衰えてきてしまった。
スタツアでキャスト陣7人が揃って作品が完成することが当たり前ではないといった話題を見るたびに年々実感している。
自分が観たい、ファンが観たいと思う作品とは違う方向性のものが作られないように、あえて見に行かない、これを肯定しては今後も違うものが生まれてしまうからファンとしてあえて観に行かないという理由もわかる。
けれど自分のように、おそらく後先がもう短い、あと何回こうした作品を観ることができるだろうか? という人間からすると、納得できない点は多々あったとしても、
もしかしたらQUARTET NIGHTだけの劇場版シリーズはこれから先、中々観れないかもしれない、またやるとしても自分が観に行けるかわからないといったことを加味していくと、
この作品の疑問点ばかりに囚われるよりも、自分がなぜうたプリを、ST☆RISHを、QUARTET NIGHTを好きになったか?の気持ちを振り返りながら、劇場版として観れるこの期間を大切に通おうと思った。
冒頭通り、ライブパートは悪くないと思っているが気になる点は多い。
ミュージカル的な表現に好みは別れるかもしれないが、映像としてのクオリティは高いと思うし、カメラワークについても細かく指摘すればなぜそのアングルでそのカットで抜いたのかとなるところもあるが、ステージの見せ方はやはり上手い。
それぞれのダンスにも各人個性があるし、表情の繊細な変化もあるので一瞬でも目を離してしまうと見逃してしまうことがある。
うたの⭐︎プリンスさまっ♪というだけあって曲ひとつひとつの引き込まれるようなメロディ、アニソンという枠だけには止まらない音楽性にはやはり自然と耳が惹かれてしまう。
一方でコーレスは曲と合っていないと思う。
劇中劇という性質なのかライブをしているのではなく彼らが演じている何かを見せられている中で、彼らの名前を呼ぶというチグハグさが強い。彼らは演じてるんですよね?
カミュであればなぜカミュと名前を呼ぶのか?
観客が気づかせる意味は?
私たちは何を見て誰を応援している?
彼らが演じている者の中に本人性を見出すべきなのか?
名前を呼ぶコールをするのであれば、もっと彼らのライブにしてくれたらよかった。
最後のアンコールでようやくファンへの声かけがあったかくらいにしか思い出せないのだがファンサと呼べるようなアイドル側からの掛け声もほぼない。
※ユニットソングのとこや嶺二のソロで声かけがあったのでほぼないと書いたのは誤りでした。訂正します。
衣装については以前からうたプリのアイドルが着ている衣装が合ってると思うことが少ないので、自分が好みに合う衣装だったらよかった程度ではあるが、今回は好みに合わなかった。
しかしこんなふうにノイズが挟まることで、さらに細やかな部分も目について、あそこが好きではない、こうしてほしくなかったという感情のみに支配されて見てしまうのは勿体無い。
うたプリに限らず他CGライブ作品を見ているが、知見や知識がないまま観た作品のストーリーの意味不明さは大体こんなものだった気がした。
それが自分が知っている作品で「わからない……」となっているショックは確かに大きいが、そればかりに囚われてしまうのがやはり勿体無い。
今まで15年近くうたプリシリーズを追いかけてきて、劇場版は当たり前にあった展開ではなく、巨大なスクリーンと音響でプリンスたちが観れるというのは本当に夢のような世界だ。
応援していたアイドルたちが歌って踊る、そういうのが観てみたいなとゲームをプレイした時も彼らはどんなライブをするのだろうと想像してワクワクした。
こうした活躍を観れるようにしてくれたのは、長年応援し続けているファンの皆さんと、一体どんな作品なのだろうと一見でも通り過ぎてしまうとしても貴重な時間を使って映画館にまで足を運んだり、一瞬でも作品に触れてくれる皆さん、コンテンツを作り続けて関わってくれている大勢の製作陣の皆さんがいてくれたおかげだと思う。
映画館に連れてきてくれて本当にありがとう。
楽しい15年でした。
あとはDolce Vitaがでてくれたらいいが、間に合うか。
皆さんもどうか後悔がないよう作品と向き合えますように。
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