「ワンナイトラブは、南国バカンスで、本物になってしまうのだろうか」恋するプリテンダー Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
ワンナイトラブは、南国バカンスで、本物になってしまうのだろうか
2024.5.11 字幕 MOVIX京都
2023年のアメリカ映画(103分、G)
最悪な別れ方をした男女が家族の結婚式で再会する顛末を描いたコメディ映画
監督はウィル・グラッグ
脚本はウィル・グラッグ&イラナ・ウォルパート
原題は『Anyone But You』で「あなた以外なら誰でも」という意味
物語の舞台はアメリカのボストン
トイレを探してカフェに駆け込んだロースクールの学生ビー(シドニー・スウィーニー)は、客じゃないと貸せないと言われてピンチに陥ってしまう
その場にいたベン(グレン・パウエル)は助け舟を出し、それによってビーの尊厳は保たれた
その後、二人は意気投合し、ベンの家で一夜を過ごすことになる
翌朝、ビーは黙って彼の元を去るものの、姉のハリー(ハドリー・ロビンソン)から連絡先ぐらい聞きなさいと言われて戻ることになった
だが、そこにはベンの親友ピート(ガタ)が来ていて、ベンは「最低な女だった」と悪口を言いまくるのである
その後、会うこともなかった二人だったが、ハリーとその恋人クローディア(アレクサンドラ・シップ)の結婚式にて顔を合わせることになった
クローディアはピートの妹で、ベンは兄的な存在
それぞれの両親もシドニーで行われる結婚式に参加し、そこにクローディアのいとこマーガレット(チャーリー・フレイザー)もやってくる
マーガレットはベンの元カノ的な存在で、さらにビーと婚約解消になったジョナサン(ダレン・バーネット)まで招かれていたのである
映画は、ビーとベンの喧嘩状態を察知した家族が、結婚式を穏便に済まそうと宥める様子が描かれ、さらに一歩踏み込んで、一夜を共にした仲だから、復縁できるんじゃないかと思い始めてしまう
そして、両家族がグルになって芝居を打ち、それに気づいた二人が「付き合っているふりをする」という流れになっていた
ふりは利害関係が一致していて、ジョナサンに諦めて欲しいビーと、マーガレットに嫉妬させたいベンの思惑があった
だが、演技をしているうちにゴチャゴチャになってしまい、本当に恋をしているのか、そうでないのかがわからなくなってしまうのである
物語は至極簡単で、キャラが多いけれど混同することはほとんどない
全員キャラが濃く、それぞれに残念なエピソードがあるのも愛らしい
共感力少なめのキャラばかり登場するが、目の敵にするほどの悪人もいないので安心して見られる
南国バカンスなので眼福なシーンが多いが、男性の方の露出が驚くほどに多いので、困惑する御仁がいても驚かない
結局のところ、ワンナイトラブに発展した恋の予感は正解で、自分の心に素直になっていく二人が描かれるのだが、はぐれた二人もワンナイトに突入しそうな勢いで締めくくっていたのは笑ってしまう
マーガレットが連れてきたボー(ジョー・ダヴィッドソン)は波を求めてどこかに消えてしまったのだが、人間には興味なさそうなのでOKなのかもしれません
いずれにせよ、軽快で後腐れのないラブロマンスで、落ち着くところに落ち着いていく印象がある
このカップルを応援できるかは心の広さによると思うが、元ではないけど鞘にきちんと収まるのは良いのかなと思った
音楽の使い方も絶妙で、原題を意味する楽曲も登場するが、「あなた以外なら誰でも良い」というところから、「あなた以外の誰も、私のことをわかってくれない」に変わっていくのは巧妙だなあと思った