水深ゼロメートルからのレビュー・感想・評価
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男とか女とか…
青い長方形の水のないプール。
3人の少女達がくだらない事を駄弁りながら底の砂を履き続ける。
ミクは子供の頃から踊っていた阿波踊りの男踊りをしたいが、女の体で男踊りなんてと葛藤する
チヅルは一見お調子者だが、男の元水泳部のクスノキにタイムで敗れ水泳を諦める気で水のないプールを泳ぐ
ココロは化粧という仮面を磨き、男に守ってもらうのが女だと語る
結局、いつの時代も男とか女とかどうでもいいじゃん?って話なのよ。
ジェンダー理解が始まったこの頃でもまだまだ解決しない問題。
彼女達は幼い心でその「男」と「女」の理解が難しく境目を乗り越える事ができず諦めている。
大人でも難しいこの問題は中々減らない底の砂のようにへばりついて離れない。
フィジカル面でも問題は彼女達に否応無しに重ねてくる。
体格や体力、そして一定周期で流れるサビの様な経血。
履ききれそうで、でも積もり、を繰り返して大人になっていくのだろう。
己の力で、時に雨に助けられて。
かつて、JKだった過去を持つ身としては当時からあまり進化していない彼女達の悩みや感情の爆発にアイタタタタ!ってなるし、生理中にプールに入れるとか何事かっ?!てなる。
生理の問題って女にとっては本当に厄介なのよ。ましてや思春期で!!
彼女らの面白くもないおふざけやバカ行動を笑ったりできるのは若いからなのよ…もうしんどい…
野球部ってなんとなく「青春」って感じがする。
そこで活躍するのは「球児」支えるのは「女マネ」
倍率の高いマネに入れなかったココロがマネの座を勝ちとり、喜んで支えるリンカを蔑み己をさらに磨く様などがココロを形成する話で良かった。
そして「青春」から飛沫し溜まる砂を掃除をする彼女達。
そんな「青春」もある
舞台のリブートなので引きの画が多く、表情が見えない分振りが大きくなるのがな。
白いブラウスに透けるキャミ、絶妙な丈のスカート、水泳部のチヅルの焼けた肌と対象的なココロの白い足。
若さ弾けるたった一瞬の青春を本当に綺麗に描いているなぁと感じる。
ただ、彼女達から発せられるなんとなく「いい言葉」が多くて結局なんなのかよくわからなくてモヤモヤした。
映画化にあたって
ワンシチュエーションの高校演劇ですから、
あの会話劇の間合いとか、舞台袖からの登退場とか、小道具が学校にあるものばかりとか、
ああとても上手いな と思いました。
会話劇としての間の抜けたやり取りや、含みのある擽りがとても良いですね。
高校演劇としてはかなりの水準だったろうなあというのが見て取れます。
その反面、そういったバックグラウンドがない方には、非常に退屈な会話劇に見える構成になっています。
これはもう、台本上の特性ですから、変えるわけにはいかないので、むしろ、
そういった高校演劇特有のニオイを 瑞々しく残してくれた演出の方が良かったと思います。
ただ、それだけの映画でもあるため、ダメな人にはダメだろうなあ。
映画化にあたり、どれだけの部分が変更になったのだろう。
とても良いロケーションを探してきましたね、絵的にとても良いと思います。
単純ながら圧倒的な映画的なビジュアルで、この映画はもう半分くらいはこの力で出来ています。
プールの中で反響する声など、これは演劇ではない映画ならではの良さでしょうね。
途中の葛藤は、高校生の生の気持ちですから、もちろん、彼女たちの目線としては切実な内容でありましょうが、
まあ幼稚なレベルの感情論が主になります。
(登場する教員ですら、高校生が演じている内容ですから、大人ではありません、同じレベルで悩み葛藤する登場人物のひとりです。このあたりが映画と演劇と、更に演劇の中でも特殊な位置づけである、高校演劇との文法の違いですね、このあたりの作劇メソッドについては、掘り下げると、相当面白いのですが)
ラストシーンなど、原作と どう変わっているのか 非常に気になりますね。
答えを出せない課題を取り扱っているため、どうしても、物語上は 「もやっと」終わってしまうのですね。
それはもう、台本の構成上、どうしようもない。
登場人物ひとりひとりが、ほんの少しだけ、前向きになれたというのが、青春映画として
良い終わり方であったのだと思います。
映画としての終わらせ方としては、かなり苦心なさったのではないでしょうか。
あれ以外の終わらせようがない。
演劇の文法でいえば、嵐や戦や大火により、事態が困窮しきったところに、神が救済に現れる あの終わらせ方ですよね。
あとは、思いっきり映画ファンタジーとして、大雨でプールの水が満たされてしまったところに飛び込んで終わるとか、
または、後日談として、改修されたプールで、各々が少しだけ、課題を乗り越えた姿が描かれる事でしょうか。
いいや、そうはならんやろ、、という理屈をひっくり返すような
「映画力」を見たかった気持ちがありますが、まぁ、これは本作の趣旨とは逸れますね。
演劇特有の非日常をビジュアル化するにあたっての矛盾点や、リアリティのなさと
映像化するにあたり、避けて通れないビジュアル的な表現を、どうクリアするかといった
課題があったと思うのですが、そこは、クリアしきれていないように感じました。
商業演劇化、映画化にあたってはプロの脚本家のテキストレジが入り、
更に原作者からのディスカッションで本稿に至ったとのことですが、
どうしても継ぎ接ぎの苦労は透けて見えてしまったように思いますね。
そこが残念でもあり、見えるところがまた 良い部分でもあったかのように感じました。
個人的には、唯一登場する男性である彼が、彼女の宣戦布告に対して、ニヤリと微笑む描写が欲しかったですね。
それがないと、一方的に女性が葛藤し、突っかかっただけのお話になってしまう。
男性を登場させることの是非は原作者も相当 悩まれたようですが、
演劇作品としては登場させない事が是だと思われますが、
映画ですから、横顔や影だけでも男性を登場させないと成立しなかったように感じます。
女性に振り切った作風ですが、「女性」を立体的に際立たせるには、同性の教師や先輩だけでは少し弱く、
やはり対の存在としての男性が構図上、必要だったのではないでしょうか。
そういう意味では、価値観の変化の大きい現在から観ても、既に5年前の作品ですから、
もはや「古い」箇所もありまして、とはいえ、
時代性に刺さるから、名作として残る部分もありますので、(あとは普遍性ですかね、それは時間が証明されますから)
この作品が今後の高校演劇における、台本選択に悩める高校生たちへの、ひとつの選択肢として残り続ける事を祈ります。
あと1人
解決してませんが
しかし女子高生の悶々とした日常が伝わる作品
動作がゆっくりなのも今のjkらしい動き
淡々としているので走ったり喚いたり
もう少し可愛らしさが欲しいところ
青空の下、砂が入った水色のプール
砂は掃いてもきりがなく、時に風でまとわりつき、口に入るとジャリッと気持ち悪い
まるで「悩み」を表しているかのよう
化粧する女子高生
自分に自信がない
将来、素顔が一番綺麗だねって言ってくれる人が現れると良いなと思う
ごめんなさい
こんなに面白くない映画を見たのは久しぶりでした…配信とかではあったけど。特に映画館で見たのは初めてで、初めて途中で席を立ちたくなりました。他のお客さんに申し訳ないからなんとか頑張ったけど。
前評判は見ず(今思えばレビュー確認しとけばよかった笑)、どこかでポスターを見てタイトルと設定がよさそうだったので、けっこう期待しての鑑賞でした。
とにかく、登場人物が全員感情移入できない。作品の良し悪しにおいてキャラに共感はできなくていいと思ってるけど、ひとりくらい感情移入(気持ちは分かる)ができないと、こんなに置いてけぼりになるんだなと学んだ。どのキャラも性格がつかめず、何を考えているのか分からないから感情移入できず、いきなり脈絡のない言動をとるように見えたり、とにかく入り込めなかった。
会話劇は好きなんだけど、なぜか本作の会話は面白くなくて、集中して聞けない。たぶんセリフの組み立てがよくない。女子高生あるあるぽいのに女子高生ぽくないセリフがあったり、「水のないプールでは泳げないでしょ」とか説明的すぎるセリフに白けたり。リアル感ある会話なら、わざわざ「水のないプールでは」なんて丁寧な言い回しはしないと思う、水のないプールにいるんだから言わなくてわかる、「これじゃ泳げない」だけでいい。たぶん元が演劇だから、演劇なら水がないって言わなきゃ分からないけど、映画ならいらないうるさいセリフ、変えればよかったのに。こういう細かい詰めの甘さが気になって。
あと、いちおう誰かしらホウキ動かし続けてるのに砂が一向に減らないというかシーン変わるたびに増えてる気がして、そういう細かいところの雑さに更に水を差され、集中が削がれ、面白く感じられなくなっていきました。
それと、後半の怒涛のジェンダー論。うるさかった…目新しいジェンダー論でもなく、何度も聞いたことのあるような内容で、これ必要か?と。高校演劇としては攻めてて良かったんだろうけど、大衆向け映画としてはむしろ幼稚なジェンダー論。原作を尊重しすぎている、あるいは映画化に向かない原作だったのでしょう。話題性ありきの映画化かな。
酷評でごめんなさい。舞台設定は好きなので、ちゃんと映画的にブラッシュアップされたものがあれば観たいです。
水面 -1.0。プールの底で交わされる女子高校生4人と元女子高校生の教師によるアンニュイな会話劇です。
舞台劇の映画化と聞いて、まず頭に浮かんだのが
「アルプススタンドのはしのほう」でした。
そしてこの作品の監督が「カラオケ行こ!」の監督
と知り、さらに興味が涌いて鑑賞しました。
鑑賞スタート。
登場する主な人物は4人。
ココロ =2年生。補修対象者A(阿波踊りでオトコ踊りを踊るらしいが…)
ミク =2年生。補修対象者B(女たるもの自分を可愛く見せなければ…)
チヅル =2年生。補修に無関係(水泳部部員。エース。次の部長?)
ユイ =3年生。補修に無関係(水泳部元部長。泳ぎが速かった訳では…)
話のかみ合わない4人の女子高生。 会話がバラバラ。
上から目線で物を言う女性体育教師。 危うくパワハラ。
舞台は掃除をするため水の無いプール。砂でザラザラ。
交わされるのは会話にならない会話劇。あらあら…。
水深ゼロメートルから伝わってくるのは不協和音。
…うーん。延々とこれが続くのか…。
…うーん。キツイかも。
…うーん。もう少し頑張ろう…。
終了。
脚本なのかシナリオなのか。
前半の展開が冗長気味に感じられてしまったのも
もう少しどうにかならなかったのか というのが
本音です。…うーん。
美術館に名画を見に行ったら、展示されていたのは
ラフデッサンでした という感じ。
#「カラオケ行こ」の監督の作品 とのことだったのですが
# 制作にどの程度関わったのだろうか? と思ってしまいました。
# もしかして、高校生の主体性を尊重してあえて口を挟まなかった
# …とかなのでしょうか? (うーん)
久しぶりに「…あと何分?」と時計を何度も見る作品に
出会ってしまいました。
◇
元々が舞台劇らしいです。舞台なら、プールサイドでの演技に
臨場感が出せたかな? という気がします。
それを実際のプールでの演技にした為、引き気味の構図が続いて
しまったのかもしれません。
4人の女子高生それぞれ、「実はこういう人です」という「背景」
がラスト近くに分かってくるのですが、そこからストーリーを膨ら
ませたら面白くなりそうだった気が…。
そんな風にも思えてなりません。
ちょっと残念な作品でした。・_・;;;;;;
◇最後に
鑑賞前に「アルプススタンドのはしの方」のような作品かと
思ってこの作品を観たのですが、違いました。 ・-・; ハイ
勝手に期待した上で ” 違うじゃん ” と言うのは筋違いなワケ
ですが、「水の無いプールから何かが始まる」と言ったところ
をもっと観たかったなぁ と思った次第です。
◇おまけ
水泳の授業の補修でプール掃除。
1時間程度かと思ったのですが、プールの底に溜まった砂を
箒と塵取りでキレイにするのって、2人で1時間程度で終わる
ものなのでしょうか…。
しかも「とりあえずそこまで」と女性教師は言っていた気が…。
どこまで掃除させるつもりだったんでしょうね。なんというか、
補修授業というより罰当番やってます みたいな感じでした。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
水掛け論
青い空に白い雲が大好きなもんで、こういうポスターを見ちゃうとアニメだろうと実写だろうとなんでも食いついてしまう人間です。
「アルプススタンドのはしのほう」は正直ハマらなかったんですが、今作は山下監督が携わっているというのが興味を持つ理由になっていました。予告の雰囲気なんかも良さそうでしたし。
んーこれじゃない!感が強すぎて、90分切る上映時間なのに長く感じてしまいました。
最初の「見んといてー!」のところがピークでした。
阿波踊りをするのがとある理由で恥ずかしいミク、水泳部だけど大会の応援に行ってないチズル、気だるげな雰囲気の1軍女子ココロ、あとチズルの先輩のユイと先生と登場人物はだいぶ絞られていてその中で展開されるシチュエーションものです。
ココロがどうにもキャラクター的にも立場的にも邪魔でした。掃除をしないなら帰ればいいのにウダウダウダウダと愚痴を言ったり、その癖悪態はつきまくって火種を着けたり、果てはジェンダーに辿り着いたりと、性別によって共感できるポイント・懐疑的な目で見るポイントに分かれるんだとは思うんですが、途中からはもう何の話だ?と言わんばかりにジェンダー論というか差別的な男性像の応酬で、男がなんだ女がなんだと言い出した辺りからこの手の水掛け論がとても苦手なので、キッツってなりながら観ていました。
生徒4人(といっても先輩は出番少なめ)と先生との構図も多く観られるのですが、先生はなんであんな喧嘩腰なの?と思いましたが、生理だったりのがあるのかなとは思いつつも、それを経験したことのない身からするとどうにも八つ当たりしているようにしか見えず、そんなに厳しい言い方しないでもと目を細めて観てしまいました。
あとプールの補修を回避させたいからプールの掃除をしろっていう割にはエゲツない量の砂が残っていて、それを掃除させるのはいくらなんでも酷じゃないかい?と思ってしまいました。改修するのに掃除させるのもどういうこった。
舞台なら目に見えない砂を想像できるので良いと思うんですが、いざ実際に砂を場面に出してみたらそんなわけあるかーい!の量なのでそこもモヤっとしてしまった部分だったなと思いました。
ココロがミクにブスは化粧しなくていい!と言い放つシーンもその論争って何の意味があるんだ?とこれまたむず痒くなってしまいました。阿波踊りするのが恥ずかしいと全くを持って繋がってなくてなんでやねんと思わず言ってしまいそうでした。
ラストシーンも個人的には中途半端だなーって思いました。雨降るシーンの整合性はさておいて、一通り阿波踊りするシーンくらいまでは欲しかったです。構えたところでエンドロール突入はなぁ…って残念な気持ちになりました。
あと砂を撒いて謎の宣言をしていったチズルの行動、まぁシンプルに迷惑やなって半分笑いながら観ていました。
どうも男性が敵としてしか視点が当たってない映画は居心地が悪く、それでいて「アルプススタンドのはしの方」の二番煎じ感は否めずで、ちょい捻くれたJKのギスギスとした会話を見せられた気分でした。
改めて「アルプススタンドのはしの方」の限定的空間のシチュエーションものとしての完成度を感じることができたのが収穫でした。
ジャケットと音楽は良いんだけどなぁ…。どうしてこうなった…。
鑑賞日 5/8
鑑賞時間 9:50〜11:25
座席 E-1
良さはある映画と思われましたが‥
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
まるでアイドルPVのような魅力を持った瑞々しい映画だとは思われました。
ただ映画の内容は一方で、その表現の仕方とは違って重さも秘め、しかしその踏み込みは本質の手前で終わっているようにも感じられました。
その理由は以下だったと思われます。
まだ男女区別が未分化の子供時代の男踊りにこだわるミク(仲吉玲亜さん)と、同様に中学では男子に水泳で凌駕していたチヅル(清田みくりさん)の、おそらく女性への自身の身体的変化に戸惑いある2人の悩みは、本質的には対男性に振り回されていて、本当の自身の望みの底には到達出来ていないとは思われました。
また、化粧をして女性を意識して生きようとするココロ(濱尾咲綺さん)も、ミクやチヅルとは一見対照的に見えながら、本質的には対男性に振り回されていて、自身の望みの底に到達出来ていないのは2人と同様だとは思われました。
このことは、ルールにこだわり、自身は化粧を周りの価値観に配慮して抑制している山本先生(さとうほなみさん)も同様だと思われました。
即ち、(後輩のチヅルに期待をかけていた水泳部の元部長ユイ先輩(花岡すみれさん)はそこまで描かれていませんでしたが)男踊りにこだわるミク、水泳部のチヅル、化粧にこだわるココロ、そしてルールに縛られ自身感情を普段は抑圧している山本先生は、男性の陰や価値観に振り回され、一方で女性としての戸惑いや不安定さの感情あるいは自身が本当はどうしたいのかの本音を、直接はほとんど表現出来てないように思われました。
この悪く言えば幼く、良く言えば可愛らしさの魅力は、映画の表現としてはその方向性としては成功している面もあるとは思われました。
ただ一方で、映画では直接登場しない男性に翻弄されているのは分かったけれど、それぞれ自身はそれで男性関係なくどうしたいのだというリアルな心情への踏み込みの弱さが、この映画が食い足りなくさせている要因に思われました。
(ラスト辺りの化粧にこだわるココロの女性として生きる表明も、趣旨は男性の価値観に依存して生きるしかないとの内容で、本当にそれはリアルな彼女自身の本音の心情なのか‥とは疑問を持ちました。)
もちろん、”女性の自立”などといった、リアルな心情から遊離した空疎なスローガンでは全くの台無しですが、それとはまた違う、それぞれの彼女たちのリアルな底の本音は何だったのか、それを表現するもう少し映画としての踏み込みは必要だったのではないかとは思われました。
それがこの映画の、可愛らしさの魅力と、食い足らなさの欠点の、要因だと僭越ながら思われました。
ラストが良いね
『アルプススタンドのはしの方』と同じ、高校演劇がもとになった作品ですね。
『アルプススタンド』も、この作品も青春のキラキラではなくて、青春のモヤモヤって感じかな。
私、青春のモヤモヤと演劇って相性良いと思うんです。
その年代って、言葉が独り歩きしてしまいがちだけど、演劇の台詞に重なる部分があるんじゃないかと。
それでですね、この映画は女子高生が作った女子高生の演劇がもとになっているから、分かる様な部分も有るし、分からない様な部分も有ったんです。
だけど、ラストシーンの仲吉さんが演じたミクの表情が良かったの。
男だ女だっていうのが、どうでもよくなるくらいに、凄く格好いいの。
あのシーンを見た瞬間に、映画の全ての台詞がミクのラストの表情の為のものに感じたもん。
あれは映画じゃないと撮れないから、あのシーンだけでも映画化した意味が有ると思うんですよね。
チヅルを演じた清田さんは、『野球部に花束を』の時は野球部部員だったのに、今回は野球部を敵視する役で面白かった。
山本先生役のさとうほなみさんは、今回は体育教師にしっかり見えるのに、それでいてイイ女の雰囲気も有るんですよね。
一度、イイ女に振り切った役どころも見てみたいな。
モラトリアムの干魃
水深ゼロメートルから
対戦相手の消えた競技、元々破れていた夢、期限付きの青春の終わりに
厳しい言葉が、ある意味では優しい響きを帯びていたことに気付く。
限られた時間の半分を無為にやり過ごす中で、誰かに覚悟を託すことで誰かが楽になるのか
それよりも自分が好きだと感じるものを大切にして、それが仮に異性として好きなのであっても、そこに男女の差異は関係がない
意味のない決意だとか、永遠には続かない関係性だとか、砂と化粧と共に、雨で流されていく。それでも後に残るものが存在したと、信じたい
メッセージはわかるけど……
成長の関係で、性差を意識せざるをえなくなる高校生を題材に、
補習のプール掃除中の他愛もない話から、
おんなは女らしく生きたほうがいいというココロと
おんなでもおとこに負けてたまるかというチヅルと
おんなもおとこも関係なく自分ががんばればいいというミクと
三人三様の立場がらあきらかになっていく話。ただ、この話とても難しい問題なので、映画としてちゃんとまとめきれていないような感じがしました。
娯楽映画だし、ある意味ラブコメな「アルプススタンドのはしの方」と比べるのは酷な気がしています。
プールサイドのはしの方
『アルプススタンドのはしの方』に連なる企画と知って楽しみにしてたのですが…
夏と制服、プールに入道雲でポカリスエット的な絵面にすれば雰囲気は出るけど、それだけでした。
とにかく、終始ココロが不快過ぎる。
掃除もせず、屁理屈にもならない言い訳ばかり重ね、他人の傷を抉ることを平気で言う。
これが悪役として描かれるなら分かるが、大きな衝突もなく受け入れられるのが解せない。
ビンタの一発くらいあって然るべきだろ。
チヅルもなかなかのものだが、こっちはコミカルな所が多かったし、比較対象がヒドすぎたので許容。
それぞれの悩みは男女の壁に帰結するようだが、芯を食ってないのかいまいちピンとこず。
最後にミクが踊りだすキッカケもよく分からない。
生理の話なんかも多かったし、女性だったら共感できるのだろうか。
ってか、マネが飲み物買ってくる部活なんて実在するの?
普通は個々人で用意するし、部費で買うならサーバーに粉ドリンクだろ。(と思ったらサーバーあるし)
あの砂の量じゃバケツ10個でも全然足りないし、あんだけ入ってて女の子が持って走れるのか。
何より、硬球が飛んでくるプールは危険すぎるだろ。
まぁ細かいことは置くとしても、脚本がまとまってるように感じなかった。
何かが好転したようにも思えないし、特にユイは劇中でもメタ的にも放置されすぎ。
一番共感できるのが山本先生とは、歳くったかな…
【"水の無いプールの中で繰り広げられる水泳部の女子高生達が普段から思っている事を、少しの可笑しみと切実さを交えて交わす会話劇。因みにクロロホルムは使用されません・・。意味分かるかな?】
■高校2年の夏休み、お化粧を欠かさないココロ(濱尾咲綺)とミク(仲吉玲亜)は体育教師の山本(さとうほなみ)から、プール掃除を補修として指示される。
そこに同級の水泳部のチヅル(清田みくり)がやって来て、水の無い野球部の練習場から飛散してくる砂が溜まっているプールで泳ぎ出す。クスクス。
更に、前部長のおとなしげな高校3年のユイ(花岡すみれ)もやって来て掃除を手伝う。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ワンシチュエーションの会話劇で物語は進むので、舞台みたいだなあ、と思っていたらホントに舞台から本作が出来ていた。
・キャラとしては、チヅルが面白い。水の無いプールで自身で中継をしながら泳ぐ?姿が可笑しく、更には車輪付きの椅子迄持ち込んで、壁を足で蹴って勢いを付けて手足をバタバタさせている。おバカである。
・ミクは阿波踊りの練習に励んでいる。そして、女踊りから最後は開き直って男踊り迄披露してくれる。一番真面目に砂を掃いているが、悩みも大きいようである。
■個人的にはココロのキャラが好きである。化粧をしないと女としてのアイデンティティが保てないとばかりに化粧に励み、更にはチヅルにまで化粧をしてあげている。
男と女の違いを語っていた所などもナカナカである。
そして、体育教師山本との”女の子の日”に水泳をさせた問題で、ハゲシク言い合う姿がバカバカしいが可笑しい。
それにしても、オジサンは男なので”女の子の日”に水泳をする気持ちを考えてみたのだが、どーしても分からない・・。水泳パンツの中にフツーのパンツを穿いて泳いでいるような感じなのだろうか。これ以上書くと変態に思われるのでこの辺りで止めておく。
・野球部のマネージャーのりんか(三浦理奈)の存在も忘れ難い。ポカリスエットを買い占める所などは、”あたしは野球部のマネージャーの面接に受かったのよ!”と言うマネージャーを秒で辞めたと面接に落ちたくせに嘘を付くココロが、激怒しそうな強かさである。
が、そんな姿は見せず、健気に大量のポカリスエットを、何故かミクも手伝って運んでいる。
・ユイは実に懐が大きい。自分に対し、”貴方よりも私は速く泳ぐのよ!”などと失礼な発言をしたチヅルに対しての、寛大な言葉がそれを証明している。
■などと、おバカな事を書いて来たが、今作を観ていて少し面白く思った事は間違いない。
<今作の原作・脚本を書いた中田夢花さん始め、女優さん達も皆お若く、これから伸びていく人達がたった二日間の撮影で製作した映画の中で、頑張って演技をしている。
今や立派なオジサンになった山下敦弘監督も、さぞや嬉しかったであろう。
そして、GW真っただ中、たった二人の観客であったが、オジサンは今作を鑑賞して、原作・脚本を書いた中田夢花さんや、女優さん達の今後の更なる活躍を期待したのである。>
水なしプールからの発信。
水の溜まってないプールに特別補習として呼び出されたココロとミク、その水の溜まってないプールで泳ごうとする水泳部チヅルと、そこへたまたま来た水泳部元部長ユイの話。
山本先生からの補習課題はグランドから飛んできたプールに溜まった砂ぼこりの清掃…、から始まる女子高生のダベり。
冒頭からプールでふざける女子高生の描写から始まり、わりと数分でタイトル入るけど描写変わらず…、あ~なるほどタイトルの「水深ゼロメートルから」の意味を察して、タイトルだけみると何か意味深、オシャレ何て少し思うけど、意味は「水なしプールから」ただそれだけ(笑)
最初は中身のないストーリー何て思ったけど、本作の雰囲気と空気感を掴んでしまうと意外と笑えて。
チヅルからミクに言う阿波踊り踊ってがチョイチョイ入ってアクセント、チヅルが突発的な行動と、好きな野球部の子の前でバケツに溜めた砂を撒いてシャウトはどういう演出?!とは思ったけど笑えた。
評価☆3だけど飽きずに楽しめました。
無自覚に傷つけられる女子たちは、乾いた世界の中だけ、本音をぶちまけられるのだろうか
2024.5.7 イオンシネマ京都桂川
2024年の日本映画(87分、G)
徳島県立徳島高校の同名舞台の映画化作品
プール掃除を任された女子高生たちの日常を描いた青春映画
監督は山下敦弘
脚本は中野夢花
物語の舞台は、徳島県にある徳島南高校
その日、水のないプールに、補習としてココロ(濱尾咲綺)とミク(仲吉玲亜)が呼び出されていた
体育のプールの授業に出なかったと、体育教師の山下(さとうほなみ)に呼び出されたのだが、なぜかインターハイに行っているはずの水泳部員・チヅル(清田みくり)までそこに来てしまう
さらに、彼女を心配する元部長のユイ(花岡すみれ)までやってきてしまい、4人でプール掃除をすることになった
ココロは阿波踊りが好きで「男踊り」を平気で踊り、ミクは「メイク」が大好きで、校則違反を承知で濃いめの化粧をしていた
チヅルは野球部員の楠(井手亮太)に負けたことで自信をなくし、インターハイを見にいくことに抵抗があった
それぞれは日常に不満を抱えながら、水のないプールにて、心情をぶちまけ始めるのである
映画は、ほぼワンシチュエーションになっていて、プール以外には野球部のグラウンドと、プールの外側が少し映る程度だった
男子は4人登場するが顔は映っておらず、顔が映るのは4人と山下先生だけになっている
その他にも声だけの出演(山本の友人とインターハイの実況)ぐらいしか登場せず、見事なまでの集中的な会話劇になっていた
パンフレットにはシナリオが載っているので、聞き逃した人は購入しても良いと思う
ちょっと際どい制服での動きなどがあるので、どこからどう見てもフェチ映画の域を出ない
それでも、語られる内容は「男子が聞きたくない女子のリアル」になっていて、特にプールに入れない理由は生々しい
山本先生とミクの校則に関する会話もリアルで、ガチで言葉が詰まって激昂する先生というところもツボになっていた
言葉を選ぶ大人と、直情的な子どもという構図になっているが、「誰のための校則なのか」という芯を食ったような言葉も飛び出すので、結構ハラハラしてしまう
いずれにせよ、女子に幻想を抱いている人は見たらダメな映画で、抱えている闇を知りたい人ならOKだと思う
前半のぐだぐだトークも、後半には若者の主張みたいに転換するので、ほのぼの日常パートだけを眺めたいんや!という人にとっては後半は地獄かもしれない
若さゆえに疑問も、大人になればわかることが多いのだが、それを現時点で理解しろと言っても無理だと思う
なので「騙されたと思って」というテイストになるのだが、それが通じる関係性なら、若者の主張みたいな論戦にはならないのかな、と思った
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