水深ゼロメートルからのレビュー・感想・評価
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水泳の補習がプール掃除
夏休み、体育で水泳をサボった女子高生二人が補習として、水が抜かれたプールの掃除をさせられる。
補習とは関係のない水泳部関係の二人も加わり、女子であるための理不尽さや生きる悩みなどをぶつけ合う。
何事も思いやりが必要。
ラストのアイデアは◎
配信(dmm)で視聴。
よくある女子高生のストーリーだが、舞台は
水の入っていないプールサイド。
プール掃除をしながら学校の悩みなど話すストーリーはなるほどと唸らされた。
ラストは阿波踊り。何故か不思議だったが、方言のセリフで納得。見事。
演劇的閉鎖性
高校演劇を原作とした映画化作『アルプススタンドのはしの方』は、その意外な設定・高校生らしい思いの発露が大きな評判を呼びました。僕も大好きな作品です。そして、高校演劇映画化作の第二弾が遂に登場しました。
夏の補習で、水のないプールの底に溜まった砂を掃除する様に命じられた女子高生4人のお話です。物語は、殆どこの乾いたプールの底で進み、一人一人の苛立ちや疑問・焦りがぶつかり合います。
『アルプススタンドの~』も本作同様のワン・シチュエーション・ドラマであるのですが、その演劇的閉鎖性を逆手に取って成功したのに対し、本作は演劇性に足を引っ張られてしまったと感じました。背景映像の殆どがプールの壁と言う閉鎖性に息苦しくなります。そこを打破する為にもっと強い思いのドライブ感が欲しかったな。
でも、高校生らしい会話の切れ味は小気味よく、「素直なひねくれ」も応援したくなりました。高校演劇の映画化作が更に続くのなら必ず観に行くよ。応援しています。
テーマはジェンダー
クスノキー!
低予算ブルーJKs日本映画のひとつ
いつも通りに予備知識なしでの鑑賞
しばらく眺めていて、もしかしてこれって演劇(を元にした)作品なのかな? と感じはじめるくらいわかりやすいくらいに会話劇頼りの映像が続いて、それで何か引き込まれる要素があればよかったのですが残念ながら私にはそれはなく、かなり厳しい90分を強いられた格好となりました。
青春のほろにがさ的な部分で主要人物の誰かか彼女らに感情移入や共感できる方もいらっしゃるようですけど、どのキャラクターにも入り込める余地は見いだせませんでした。
まず、砂が野球部のグラウンドから飛んでくるという設定と、補習と称してプール掃除をさせられるという設定。この物語の根幹であるこの二点が、無理のある舞台設定で致命的だと感じます。
砂土のグラウンドのある学校の付近にお住まいの経験のある人ならお分かりの通り、そういうグラウンドがあるだけで砂というのは飛んで来て堆積するから、そもそも野球部の活動とは何の関係もないです。それはその学校自体の問題と見るべき要素で、野球部のせい云々は野球部にとってはとばっちりでしかなく物語上のご都合主義でしかないと感じられます。
そして補習と称した罰ゲームのようなプール掃除も、所謂舞台装置なのはそうなのでしょうけども、もう少し説得力のある設定と流れを付与してほしいと感じました。最後のほうで一応のこの設定についてのフォローみたいなものが入ってたようですけど、イマイチわかんなかったです。ちゃんとしたコンディションで泳ぐのと広大なプール底面の砂掃除とどっちがいいか?っていったらどっちかという前者じゃないの?と現実的な考えが過ってしまいます。いや、まぁそういう要素でもって戯画を表現しているのもわかるんですけども・・・。要は「プールで泳ぐ」=「社会で女として生きる」ということなのでしょうけど。その考え方や生き方や対し方がそれぞれのキャラクターによって違うということなんでしょ。それにしても、それにしてもですよ。
4人の中でも特にメインらしき阿波踊りの子についても、結局彼女の背景や思想が何もわかりませんでした。男とか女とか関係ないってのは、それはそうなのですけども。男女がどうとかって話も、確かに高校生のつくった話としてはナカナカですね!という評価にはなりそうなのですけども、誰がつくったのか関係なく観させてもらうとかなり厳しい評価を下さざるを得ません。そんな話はどこにでも有り溢れているからです。
野暮な突込みなのかもしれませんが、時系列によって太陽による影の向きが結構バラバラなのが気に掛かってしまいました。それは、あまりにも内容が退屈過ぎるが故に気になってしまうというのもありますけど、戯画としてみるには中途半端なのでやはり低予算作品故の仕方なさなのでしょうか。
こういう、ブルーJKs日本映画って定期的に見掛けるのですけど、なんか「こういうビジュアルで売り出せば、大コケはしなくてもこのくらいは売上は見込めるだろう」みたいなデータでもあるんでしょうかね?
基本ワンシチュエーションの舞台劇
舞台劇の映画化ということで、なんとなくワンシチュエーションであろうことは予想していましたが、
水のない&砂に埋もれている高校のプールが舞台でした。
基本的に女子高生たちのたわいもない会話劇・群像劇なのですが、
彼女たちそれぞれに抱える悩みがあり、それが会話の中で表出してきて
実は社会問題ともリンクしているという、実に深みのあるつくりあがりだと思いました。
いくら掃除しても砂はなくならない、なくそうともしない彼女たち、
そういうどうしようもない感とか、あらがえずに諦めている感なんかが
彼女たちの気持ちともつながるよう表現されていて、87分見続けることができました。
ともすれば、退屈な作品にもなりそうですが、
そうならないのは山下監督の手腕とフレッシュな俳優陣のなせる技だろうと感じた次第です。
実に実験的な作品で、なかなかの面白さ、楽しめました。
この作品に出ていた若い俳優さんたちが、今後活躍するのが楽しみです。
演劇から映画化された作品!
砂の積もった水のないプールに在った青春
高校演劇を映画化する意義と難しさを体現した一作
高校演劇の映画化といえば、最近も城定秀夫監督の『アルプススタンドのはしの方』(2020)という映画があったなー、と思っていたら、両作とも高校演劇の映画化プロジェクトとして作られたとのこと。
『アルプススタンド~』は、高校野球の試合会場なのに試合は敢えて見せない、という演劇的な作劇法を効果的に取り入れていましたが、一方本作は実際に学校にあるプールの広さ、そこに堆積する砂の物量感を物語上表現できなければならないので、特に美術面で相当苦労したことがうかがえます。
原作の演劇作品で脚本を手掛けた中田夢花が、本作でも脚本を担当している点が、本作の大きな特徴となっています。劇場公開作の脚本家としてはまだ経歴が浅いはずですが、それでもあえて抜擢したことは、高校演劇と映画をつなぐ回路をより広くする上で大きな意義があります。
中田は演劇では省略できたプールや砂が実際に映し出されることを想定して脚本を書く作業の苦労をインタビューで語っており、確かに作中でも、演劇的演出と映画としての表現がかみ合っているとは言えない場面もなくはなかったのですが、それでもこれだけの水準の脚本を仕上げたこと自体がまずは驚異的。
高校演劇は毎年優れた作品、人材が登場しているので、今後も映画化を積極的に推し進めてほしいところ!
青春映画ではなく舞台劇そのもの
鑑賞日は5月5日なのに 5月25日の今になって「今更ながら」のレビュー投稿になりますが、「まだ これから」の方の参考になれば幸いです。
【ストーリー(脚本) & 演出】
原作は『高校演劇部の舞台劇』な事もあり、物語の舞台は ほぼ[学校の水の無いプール]に限定され、登場人物も ほぼ[4人の女子高生と1人の教師]に限定された中で物語は進行していきます。
劇中に登場する人物の[人物造形]や[物語の展開]などは「いかにも舞台劇」と言った感じで、時折り[演出的・映像的]に青春映画っぽい部分も見られたが、原作に準じているのか青春映画ぽっい《爽やかさ》《切なさ》《甘酸っぱさ》と言った要素は「期待した程には」感じられませんでした。どちらかと言えば『真面目な青春劇』とか『リアルな思春期あるある』なストーリーだと思います。
脚本評価★★★☆☆
演出評価★★★☆☆
【キャスティング(配役) & 演技】
[ミク/仲吉玲亜]
阿波踊りで『女踊り』ではなく 子供の頃から踊っている『男踊り』を踊りたいと思っている。…が その決断や決意をする事を 心の何処かで躊躇っている、やや大人しめな女子を好演していたと思います。
[チヅル/清田みくり]
悩める水泳部員を演じておられました。個人的には「本作で1番印象に残った」俳優さんでした。一目見た瞬間から「もっと見たい」と思わされた若手の俳優さんは久しぶりです。 2020年『佐々木、イン マイマイン』での河合優実さんや 2021年『空白』の伊東蒼さん以来かも。
[ココロ/濱尾咲綺]
メイク至上主義の一軍女子な生徒。この子は前述の二人とは違い 既に「迷う段階を脱し 次の段階へと歩み出している」感じ。…が その一方で、その『自分の決断』に固執している様にも見受けられる。演技も良かったかな。
[ユイ/花岡すみれ]
チヅルの先輩で『水泳部の前部長』であるユイ。正直 一度観ただけでは このユイと言う生徒の《劇中での存在意義》を汲み取れませんでした。…が演技は悪くはなかったです。
[教師/さとうほなみ]
まあ 正に『the・体育教師!』って感じの人物像。言葉のイントネーションや表情も正にソレそのものの感じで 出番こそ多くはないが 熱演であったと思います。
[野球部マネ/三浦理奈]
出演シーンは少なかったし 演技的には「他の子と比べると…」な感じでしたが、ビジュアル的には「学内で人気の野球部マネのポジションに採用される」のも納得な感じで良かったです。
配役評価★★★★☆
演技評価★★★★★
【映像 & 音楽】
鑑賞中[登場人物の思考]や[彼女達の内面]を推察するのに忙しくて、正直音楽や映像に対する記憶や印象がありません。 逆に言えば「こちらの思考に入り込む」程の秀逸な楽曲ではなかった …とも言えるのかも。
あと『プール内の砂の状態』『掃除の進行具合』が、いくら掃いても掃いても進まないのが すごく気になって仕方ありませんでした。
映像評価★★☆☆☆
音楽評価★★☆☆☆
【総合評価】★★★☆☆
「青春映画を観に行くと言うよりは 舞台劇を観に行くくらいの気持ち」で鑑賞に行った方が良い作品かと思われます。
映画らしい『エンタメ性ある楽しさ』とは無縁な内容ですが、観る人の好み次第では「楽しくはないけど面白い」と感じられる作品だろうと考えます。
個人的には「どう贔屓目に見ても☆4評価は付けられない」けど「切って捨てるには惜しい」作品でもあるとも感じたので、総合評価は[★3]とさせて頂きます。
いつのまにか自分も水のないプールに立たされていた
野球部はちやほやされてみんなが応援してくれる。青春している。でも私たちは見向きもされない夏休みのはぐれ者。青春の隅っこに追いやられた気分の女の子4人が、水のないプールで掃除をしている。野球部の練習で、グランドから飛んできてプールの底にたまった砂をきれいにするために。
なんとなくではあるが、「桐島部活やめるってよ」や「アルプススタンドのはしの方」に通じるものがある。
「桐島―」では、桐島の存在は完全に封印され、「アルプス―」では、応援席の風景のみで、野球の試合の模様は完全に封印され、本作もまた、野球部の練習風景は完全に封印された。運動部と文化部、帰宅部との間の無意識なひずみ、そして壁。
ただ、自己肯定と否定の間を右往左往する女の子たちの会話を聞いていると、そんなものはどうでもよくなってくる。ただ、所在なげて、宙ぶらりんだったほろ苦い青春。炎天下の夏休みの学校の屋外で、得体の知れない疎外感にさいなまれた自分。あの忘れかけていた肌感覚がよみがえる。だから、水のないプールの中、盆踊り、メイク、エアースイミングで、疎外感をまぎらわす彼女らに、自然と寄り添ってしまうのである。
いつのまにか自分も水のないプールに立たされていた。
今時の高校生はもう少しちゃんと考えていると思いたい
いい加減この送り手を…
等身大のリアルな高校生の日常
高校生にとって今後の考え方や生き方を左右する様な人生の転機となる出来事って、けして大きな事件とかじゃなくて、こういう同級生との会話だったりするんだろうな
生理で体育のプールを欠席した補習授業の代わりに二人に課せられたプールの砂の掃除から始まった物語は、些細な日常会話から始まった
リアルな演劇部の高校生が描いた戯曲がベースの基本ワンシチュエーションの会話劇
それぞれが抱える日常の悩み
ありふれた会話からこぼれた本心が相手の心にリンクして、最後の雨と共に洗い流されて昇華されていくようなラスト
何も解決してる訳ではないけど、それが私達の過ごすリアルな日常だよね
砂の溜まったプールは消して綺麗になる事はないのに、つかの間の雨が洗い流す心の澱のようなもの
それを感じる事のできる人にとってはとても素晴らしい映画だと思います
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