「ごめんなさい」水深ゼロメートルから romiさんの映画レビュー(感想・評価)
ごめんなさい
こんなに面白くない映画を見たのは久しぶりでした…配信とかではあったけど。特に映画館で見たのは初めてで、初めて途中で席を立ちたくなりました。他のお客さんに申し訳ないからなんとか頑張ったけど。
前評判は見ず(今思えばレビュー確認しとけばよかった笑)、どこかでポスターを見てタイトルと設定がよさそうだったので、けっこう期待しての鑑賞でした。
とにかく、登場人物が全員感情移入できない。作品の良し悪しにおいてキャラに共感はできなくていいと思ってるけど、ひとりくらい感情移入(気持ちは分かる)ができないと、こんなに置いてけぼりになるんだなと学んだ。どのキャラも性格がつかめず、何を考えているのか分からないから感情移入できず、いきなり脈絡のない言動をとるように見えたり、とにかく入り込めなかった。
会話劇は好きなんだけど、なぜか本作の会話は面白くなくて、集中して聞けない。たぶんセリフの組み立てがよくない。女子高生あるあるぽいのに女子高生ぽくないセリフがあったり、「水のないプールでは泳げないでしょ」とか説明的すぎるセリフに白けたり。リアル感ある会話なら、わざわざ「水のないプールでは」なんて丁寧な言い回しはしないと思う、水のないプールにいるんだから言わなくてわかる、「これじゃ泳げない」だけでいい。たぶん元が演劇だから、演劇なら水がないって言わなきゃ分からないけど、映画ならいらないうるさいセリフ、変えればよかったのに。こういう細かい詰めの甘さが気になって。
あと、いちおう誰かしらホウキ動かし続けてるのに砂が一向に減らないというかシーン変わるたびに増えてる気がして、そういう細かいところの雑さに更に水を差され、集中が削がれ、面白く感じられなくなっていきました。
それと、後半の怒涛のジェンダー論。うるさかった…目新しいジェンダー論でもなく、何度も聞いたことのあるような内容で、これ必要か?と。高校演劇としては攻めてて良かったんだろうけど、大衆向け映画としてはむしろ幼稚なジェンダー論。原作を尊重しすぎている、あるいは映画化に向かない原作だったのでしょう。話題性ありきの映画化かな。
酷評でごめんなさい。舞台設定は好きなので、ちゃんと映画的にブラッシュアップされたものがあれば観たいです。