「【そりゃ『鬼滅』ほどではないかもしれないが】」チェンソーマン　レゼ篇　abuさんの映画レビュー（感想・評価）

上映時間100分のうち、IMAXを駆使したアクションシーンはおよそ30分。

それ以外は「一体何を見せられているんだろう？」と感じるほど静かなドラマパートが続く。

しかし、このドラマ部分こそが後半の大アクションへ向けてじわじわと積み上げられており、ついに爆ぜる瞬間は圧巻だ。

アクションの密度だけ見れば『鬼滅の刃』には敵わないかもしれない。

だが、どうしようもないクズ男と、無類の強さと儚さを併せ持つレゼとの死闘は、美しく、激しく、そして悲しい。

この二人の関係には、確かな“悲恋”があった。

痛みが胸に刺さったままエンドロールへ。
流れる曲は宇多田ヒカルと米津玄師という、今の日本を代表するアーティストたちの奇跡の組み合わせ。

その歌声が、本作の悲恋を完璧な形で締めくくってくれる。