「演技が凝りすぎて不自然」チェンソーマン レゼ篇 さかゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
演技が凝りすぎて不自然
テレビシリーズでは監督の演技指導により「ボソボソで台詞が聞き取れない」なんて言われていましたが、演技はしていました。
今作は監督が変わりましたが、今度はアニメ的な一定の声色を保つことに集中してんじゃないか?と思ってしまいました。マキマとレゼの演技が演技臭いんですよね。別に状況的に実際に演技しているかは別として、それならそれで別の表現方法があると思うんです。
テレビシリーズ5話、デンジに性愛について説くマキマの声は本当に魅力的でした。そういう小悪魔的なマキマが好きだったんですが、今作のマキマは正直台詞が頭に入って来ませんでした。声色の方に集中し過ぎて言葉の意味まで気が回せず喋ってるんじゃないかと疑う位。ラストシーンの長台詞は効果音が被ったこともあって余計に頭に入らず。
レゼもレゼで、シーン毎の美しさと可憐さを意識しすぎてワンカットずつCM撮影でもしてるのかってテンポ感でした。リアクションがいつもワンテンポ遅れて丁寧な映像になる感じ。
声もそっちを優先しているのか演技している(嘘を吐いている)演技じゃなく、映像のための演技に感じられちゃったんですよね。作りすぎの声というか。
それがノイズになってしまってなかなか入り込めないのもあったし、単純にテンポが悪いのもありました。
一方デンジはちゃんと演技していたと思います。素直な男の子の反応が可愛くて。
女性2人は「デンジの心を惹く」役割に潰されてしまっていた印象を受けました。その役割はそれとして、人らしい演技をして欲しかったです。
そんなテンポのダレを感じる前半でしたが、後半になると登場する爆弾の悪魔の演技はかなり自然に感じました。デンジとビームのコンビに対するリアクションもコミカルで笑えたし、強敵の貫禄を感じる佇まいで格好良かったです。
アクションシーンは圧巻のハイクオリティでしたが、敵を倒した後原作漫画の絵を意識した一枚絵がバッ…バッ…バッ…と出るのはテンポが崩れて好きじゃなかったです。それにビームのギャグデフォルメは作品に合っていなかった。それは別のツッコミギャグ系漫画でやってる表現であってチェンソーマンではないですね。
ただバトルの終わりはプールの思い出を美しく想起させる演出でやられた!と思った頃には涙が溢れていました。
前半はテンポが悪いのと演技が常に一定なのがノイズで正直楽しめませんでした。
後半になると皆ガチになり出すので緊迫感あるバトルを楽しむことが出来ました。
バトルシーンのクオリティは本当に凄まじい作画枚数で、劇場で観るに値します。テレビシリーズの用にもっさりした動きのCGモデルは使われず全編手描き作画のバトルを楽しむことが出来たのも良かったです。アニメはこうじゃなきゃ。絵を観に来てるんだから。
気になる部分さえあれど、楽しい映画でした。
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