「田舎の鼠は危険な都会で…」チェンソーマン レゼ篇 にょむさんの映画レビュー(感想・評価)
田舎の鼠は危険な都会で…
孤独兄ちゃん転がしの女
自分を好きになってくれる女が好きだ
ならば確かにチョロい!チョロすぎる
原作未読勢なのであくまで単品映画として観る
勿論、前提となる世界観やいきさつ、今後の展開がある事は理解しているが、この物語はデンジの、というよりかはレゼの視点で観た方が刺さる
彼女の正体がモルモットである事は作中で説明された
ひどい人生だったと思う
デンジに惹かれた、というか共鳴したのはそこだと思う
"学校に行ってないデンジ"に自己投影したのだ
デンジに会ったのは偶然ではない
けどそれまでの幾許かの日々、彼女は普通の女子として喫茶店でバイトして、店内でも勉強をして、任務なんだけど少しだけ普通の自由を満喫したのだ
で
彼女はどのタイミングでデンジを好きなったのか?
個人的にはレゼのデンジに対する感情は恋愛ではないと思う、類似性バイアス?
殺し合った末に自分を向いて「好き」と言ってくれた、いわば初めての心を許せる同属ではないだろうか?
デンジを籠絡して殺すか
公安からの駆け落ちを促して組織に拉致するか?
でもそもそも籠絡?させる必要はなかった
目的はデンジの心臓だし、マキマとは違ってレゼは心臓を持ち帰るだけでいい
「最初に殺しておくべきだった」はアンサーだと思う
でもそれをしなかった
一週間、店に通うデンジと楽しく会話した
デンジと夜の学校に忍び込んだ
デンジとお祭りに行って花火を観た
暗殺じゃあない
最終的に派手にドンパチした
なのに恋愛パートは必要か?
そう考えるとやはりレゼは躊躇したのだ
誤算もある
デンジの本命・マキマの存在
そしてデンジの不死身すぎる生命力
ビームを始め仲間の助太刀がなければデンジ一人ではレゼには勝てなかった
が、単騎でチェンソーマンを倒しにいくのもまた無理があるんだよね…
デンジの心をマキマから剥がした事がレゼの大金星
「今ある安寧を棄てる」事をデンジに決意させた
これは奇跡ですよ
デンジはレゼとの逃避行で【世の中の全てを敵に回す】事になるんだからね
ただ、喫茶店で花束抱えて惚けているデンジにはその未来が見えていない
レゼの事しか考えてないので
そのデンジが待つ喫茶店の手前でマキマに仕留められるレゼ
なんで変身しなかったか?
変身時の爆発にデンジを巻き込みたくなかった?
そうじゃないと思う
初めて変身を見せた時は手前にあった木の柵は壊れてなかった
変身しなかったのは潮時を感じたからか
それと爆発ではなくてそもそもこれ以上デンジを巻き込みたくなかった
おそらくレゼは最期にデンジに会いたかった
あのまま電車に乗ったところでソ連本部からの制裁は免れない
任務に失敗したのでもう戦う意味もない
生きる目的?
普通の人生?
それは叶わない
デンジと戦うのを辞めた時点で行き止まりだったと思う
観賞後、映画前半のレゼとの恋愛パートは説明的に感じたが、2回目観たら演出に惹き込まれて説明的な感じはしなかったし、そこが活きてるから観賞後じわじわくる
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