劇場公開日 2025年9月19日

「ファンが求めていた「チェンソーマン」」チェンソーマン レゼ篇 しゅわとろんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 ファンが求めていた「チェンソーマン」

2025年9月20日
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鑑賞方法:映画館

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藤本タツキ氏の漫画を原作としたアニメ版「チェンソーマン」シリーズ。その続編にあたる映画作品。

TVアニメシリーズは、監督のこだわりがチェンソーマンの作風と合っておらず、様々な要素が一部のファンからの批判を買った。そのためなのか、今回は新たな監督を迎えた新体制での制作となっているのだが…素晴らしい作品に仕上がっていた。

公安のデビルハンターとしての様々な戦いを経て成長したデンジ。彼はひょんなことから、カフェで働く少女・レゼと出会う。可愛らしくアプローチしてくるレゼに心奪われるデンジだったが、彼女にはある恐ろしい秘密があった…。

この映画の美点は、とにもかくにも原作を意識した画作りである。
藤本氏の絵がそのまま動いているかのようなキャラクターデザイン、印象的なコマを忠実に再現するカットなど、制作陣の原作への凄まじい愛情が感じられる。

ストーリーも極めて漫画に忠実だ。
元々「まるで映画のようだ」と評価されていたレゼ篇であるが、実際に映画として制作したのは最高の判断だろう。序盤と終盤の対比、目まぐるしく展開する怒涛のシナリオなど…デンジとレゼの恋模様が、音楽や作画といったハイレベルな演出力で、映像作品として最高の形で昇華されている。

声優陣の演技はバッチリ。特にレゼ役の上田麗奈女史は、前半の魔性っぷり、終盤本心を吐露する消え入りそうな声色、どちらも最高にハマっていた。原作を知っていても、あの結末には胸が締め付けられてしまう。

音楽も素晴らしい。
オープニングでテンションを上げてくれる、米津玄師の「IRIS OUT」。恋模様をよりエモーショナルに彩ってくれる、美しい劇伴。戦闘シーンをぶち上げる、マキシマムザホルモンの挿入歌「刃渡り2億センチ」。最後に涙を誘う、米津玄師と宇多田ヒカルのデュエット「JANE DOE」……。全ての曲が最高の形で使われている。作り手の方々に敬意を評したい。

そして忘れてはならない戦闘シーン。
TVアニメの時からクオリティは高かったが、今回はさらに凄まじい出来となっている。
恐らくだが、CGはほとんど使われていない(使っていたとしてもセルルックで気づきづらい)。レゼの爆発の規模感、暴風で破壊されるビル群、その中を泳ぐビームとデンジなど、原作のイメージを損なう事なく緻密に描かれている。特にレゼとデンジの格闘シーンは、身体のしなやかな動きが非常に分かりやすく、スロー等も多用した事で激しいながらも見づらさを感じない、バランスの良い画作りとなっていた。一瞬たりとも目は離せない。

この作品は、チェンソーマンを愛している全てのファンへの最高の贈り物だ。まだチェンソーマンを知らない人でも、今から総集編を履修して劇場で体感してほしい。それほどまでに素晴らしい作品だった。
夏の終わりに、少年と少女の狂おしく切ない夏を、是非とも劇場で。

しゅわとろん
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