「制作陣の原作の理解力・解釈力がすばらしい」チェンソーマン レゼ篇 やまやまさんの映画レビュー(感想・評価)
制作陣の原作の理解力・解釈力がすばらしい
最近うろうろしている原作の第2部も毎週読んでいる層です。
なんかクールだったTV編に比べて、映画編は色もこってりしていて、キャラクターも原作に近くなり(場面によっては、原作そのまま?)好感が持てました。
前半は、甘酸っぱい青春恋愛譚として良い雰囲気だったと思います。レゼの声がちょっと可愛すぎるかなと思いましたが、女性っぽい仕草で絵が動くと、こちらはこちらで合っていますね。同世代の男子なら、レゼのあの声となよやかさで一発で落ちてしまうでしょう。
後半のバトルシーンは、動きが速すぎて、ちょっと目で追いきれませんでした。2部がやや失速気味の中、MAPPAの制作陣がかなり本気で取り組んでいて、嬉しかったです。
私も原作をちゃんと読んでいたつもりでしたが、いろいろと映画独自の解釈やアニオリ場面があって、なるほどなと感心しました。レゼが謎の男を締めている時、ロシア語の歌を唱っていましたが、原作では確かに♪マークはあるものの、何かロシア語の呪文でも唱えているようで、あまり気にしていませんでした。映画では、レゼがロシア語の歌を歌い始めたことで、これがトリガーとなってソ連時代のことを思い出して、彼女の本性が現出したという解釈なんですね~、なるほど。空を飛んでいたソ連製の旧型輸送機も映画オリジナルのシーンですね。
あと驚いたのが、ロシア語の歌を唱っている時、マキマさんがコーヒーカップを揺らしながら、リズムを取っていた場面。あそこも原作にはなかったですね。“あ、マキマさんは歌を聴いているのか!”と気がついて、鳥肌が立ちました。田舎のネズミと都会のネズミの寓話を、最後にマキマさんがレゼに話し始めたことで、デンジとレゼの会話や体験を(いつものように)全部見ていた・聞いていたということは分かるわけですが、そこをきちんと絵でも表したということで、制作陣の原作理解力・解釈力に脱帽ですそもそも、謎の男がレゼを襲ったのも、マキマさんがレゼの本性を引き出すために仕掛けたんですかね?「支配の悪魔」、おそるべし。再度、原作を読んで、深掘りしたいと思います。
あと、チェンソーマンがサメの悪魔になったビームに乗った時、一瞬、ヨーロピアンな絵柄になって、原作にもなかった表現だったので、“なんでだろう?”と思ったのですが、館内で配布されたガイドブックを見て理解しました。藤本さんの「ナポレオンの絵にしたかった」という意図を汲んだんですね。原作者と意見を重ねて、この映画は作られたんだなとも思いました。
他にも細かな点で原作にはない脚色・表現(蜘蛛と蝶など)がいろいろとありましたが、チェンソーマンのファン層にも満足してもらえるすばらしい出来映えだと思いました。ただ、私の期待値が高すぎたため、申し訳ありませんが-0.5にしました。
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