「サメ+台風でシャークネードと言いたかった事に今更気付いた」チェンソーマン レゼ篇 フレンチクローラーさんの映画レビュー(感想・評価)
サメ+台風でシャークネードと言いたかった事に今更気付いた
映画的構成の原作 × 情熱溢れるスタッフ
⇒ 最高のアニメーション映画!
最高でした! 青春、ギャグ、ホラー、爆発、悲恋・・・。この世のエンタメの全てそこに置いてきた、と言わんばかりの勢いが大好きです。
本作ではキャラデザがアニメ一期から変更され、より原作に近い陰影の少ない作画になってます。この潜在的な単調さを色彩設計が見事にカバーしており、画面全体がお洒落かつ視認性の高い仕上がりになっています。その完成度は同じ藤本タツキ原作の短編映画『ルックバック』(Amazon Prime)に迫るもので、夜の街を30分以上爆破し続けるアクションシーンを単調にしない工夫など、画面作りで感心させられる部分が多々ありました。
また原作エピソードの優秀さについても語りたい。レゼ篇は作品の魅力を凝縮した単独完結型のエピソードとして非常に映画的で、かつ高い完成度を誇ります。主人公デンジが持たざる者故に、そして未成熟故に衝動性に振り回され続ける哀切と痛快のコントラストは、まさにチェンソーマンの醍醐味といえます(この作品は原色バイオレンスを看板に据えつつ内省があるから面白いんだよね)
比較対象としては「鬼滅の刃・無限列車編」が思い浮かびますが、あちらが少年漫画の旨味を濃縮したエピソードだとすると、こちらは映画的な構成力で勝負したエピソードという感じです。
敢えて欠点をあげるなら、アクションシーンにおいて迫力を重視した省略的な作画とダイナミックなカメラワークが敵味方の位置関係や攻撃の成否を分かりにくくしている場面があります。作画レベル自体は国内アニメ界でもトップクラスの品質を誇っているだけに、この演出上の課題は惜しまれるところです。映像の迫力と分かりやすさのバランスをより適切に調整できれば、さらに完璧な作品になっていた事でしょう。
基本的にはテレビアニメの総集編をAmazon Primeで見てからの視聴をお薦めしますが、本作は「鬼滅の刃 無限列車編」程度には原作・アニメ未見という方でも楽しめる内容だと思うので、何か引っかかるものを感じたら本作からの入門もありだと思います。お薦めです。
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