劇場公開日 2025年9月19日

「サメ+台風でシャークネードと言いたかった事に今更気付いた」チェンソーマン レゼ篇 フレンチクローラーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 サメ+台風でシャークネードと言いたかった事に今更気付いた

2025年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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最高でした!。青春、ギャグ、ホラー、爆発、悲恋―― この世のエンタメを全てそこに置いてきたと言わんばかりの勢いが大好きです。

本作ではキャラクターデザインがアニメ第一期から変更され、原作に近い陰影の少ない絵柄になりました。この潜在的な単調さを色彩設計が見事にカバーしており、画面はお洒落かつ視認性の高い仕上がりになっています。その完成度は、同じ藤本タツキ原作の短編映画『ルックバック』(Amazon Prime Video)に迫るものです。夜の街を30分以上爆破し続けるアクションシーンを単調にしない工夫など、画面作りで感心させられる部分が多々ありました。

またエピソードの優秀さについても語りたいところです。レゼ篇は、作品の魅力を凝縮した単独完結型のエピソードとして、非常に映画的かつ高い完成度を誇ります。主人公デンジが「持たざる者」であるが故に、そして未成熟であるが故に衝動性に振り回され続ける―― その哀切と痛快のコントラストは、まさにチェンソーマンの醍醐味です(このシリーズは原色的なバイオレンス描写を看板に据えつつ内省的側面もあるから面白いんだよね)。前半はラブロマンス、後半は血みどろのアクションと正反対の画面を作りながら、主人公とヒロインの教える者/教わる者の関係を軸にした共犯関係が継続している点に注目してほしいと思います。花火を模した爆発演出で心の交わりを描き、観客に突き刺さるあのラストメッセージで締め括る構成は、非常に巧みな作劇だと思います。
比較対象としては「鬼滅の刃・無限列車編」が思い浮かびますが、あちらが少年漫画の旨味を濃縮したエピソードだとすると、こちらは映画的な構成力で勝負したエピソードといえます。

あえて欠点をあげるなら、アクションシーンにおいて迫力を重視した省略的な作画とダイナミックなカメラワークが、敵味方の位置関係や攻撃の成否を分かりにくくしている場面があります。作画レベル自体は国内でもトップクラスの品質を誇っているだけに、この演出上の課題は惜しまれるところです。映像の迫力と分かりやすさのバランスをより適切に調整できれば、さらに完璧な作品になっていたことでしょう。
本作は「鬼滅の刃 無限列車編」と同程度に原作・アニメ未見の方でも楽しめる内容なので、何か引っかかるものを感じたら本作からの入門もありだと思います(テレビアニメの総集編をAmazon Primeで視聴してから劇場に足を運ぶのがより万全ではあります)。お薦めです。

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フレンチクローラー
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