「「切ない恋物語」として本当に素晴らしかった」チェンソーマン レゼ篇 GOさんの映画レビュー(感想・評価)
「切ない恋物語」として本当に素晴らしかった
とにかくアクションがすごい。見ていて気持ちいい。
でも個人的には、この作品の一番の良さは、
派手なアクションを背景にした「切ない恋」の描かれ方だと思う。
それほどレゼは魅力的だったし、二人の恋物語がよかった。
最後にレゼはデンジに会おうとして、身を亡ぼす。
このときのレゼの行動は、そこまでの態度と矛盾している。
このシーンの直前で、レゼはデンジの好意を拒絶している。
「もうすこし賢くなったようがいいよ」
そう捨て台詞を吐いてデンジの元を去っている。
「まだ好きだ」と言うデンジに好意を感じていただろうけど、
デンジのことを思ってその場を去っているのだ。
だからそのときの態度と「デンジに会おうとする行動」は矛盾している。
でも、見ている私たちは、レゼの気持ちが痛いほどわかる気がする。
レゼの心は揺れているのだ。
非人間的な武器として育てられた彼女は「心の揺れ」を喪失していた。
合理性だけで行動していた彼女はマシーンだった。
けどデンジに出会って人間に戻った。
でも何がレゼを人間に戻したのだろうか。
それはきっと、デンジの「泳ぎを教えてくれたのは嘘じゃない」という言葉だろう。
レゼはずっと「自分は空っぽだ」と思っていたはずだ。
でも自分がやったことは、デンジにとって空っぽじゃなかった。
学校に行ったことが無いデンジにとって、貴重な「教えてもらった経験」なのだ。
デンジの中にいる自分は空っぽじゃない。
それをレゼは心から信じられたのだ。
デンジがその言葉を言うタイミングも絶妙だった。
あれだけひどい目にあったのに、自分のことを「まだ好き」という
バカすぎる発言に、レゼはあっけにとられていたはずだ。
そのときレゼの心に隙ができていた。
そこにデンジのあの言葉が爆弾のように投げ込まれたのだ。
「お前は空っぽじゃねー!」
それがレゼの心のなかの鎖を破壊した。
そして人間に戻ったのだろう。
そんなことを悶々と考えてしまうくらい、とても素敵なお話だった。
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