劇場公開日 2024年3月29日

「鮮度とギャップ」ラブリセット 30日後、離婚します TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5鮮度とギャップ

2024年4月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ラブコメというジャンル、劇場鑑賞することは多くありませんが、別に嫌いなわけではありません。ただ、配信でも十分に楽しめてしまうので、同週に他にも観たいものがあれば優先順位が下がって結局「配信待ち」することが多くなります。そんな中、今週は初日に『オッペンハイマー』の鑑賞を済ませたし、最近ヘヴィーな作品も続いていたため、ファーストデイは気楽に観られるこちらをチョイスしました。
結論から言えば、裏切らずに面白いです。ラブコメと言えば絶妙な品のなさがポイントかと思いますが、今の時代の考え方に合う範囲で「笑える」ものを作るのは案外簡単ではないはずです。実際、高評価の旧作ラブコメを配信で観ていると、それほど古い作品でもないのに「下品」に見えたり「前時代的」と感じて眉をひそめることがあったりします。その辺を踏まえても、本作は行き過ぎになりそうな言動を巧く笑いに変えていて、展開自体は新しくないのに終始笑えます。
特にホン・ナラを演じるチョン・ソミンさんが最高ですね。一見、クールなイメージの彼女が酔っぱらい、悪態をつき、罵声を浴びせる様子は、確かにノ・ジョンヨル(カン・ハヌル)でなくても醒めてしまう気持ちが解りつつ、「記憶喪失」という使い古されたはずのギミックでリセットさせてからの戸惑いつつの胸キュンは、ナラのギャップがあってこそのメリハリで、終盤の展開にも無理なく共感できます。
風刺が効いたコメディだからこそ、笑えるためには「鮮度」も重要です。或いは、本作だって5年先に観て笑えなくなっている可能性だってあるわけですから。兎も角、「劇場でなければ」というジャンルではありませんが、これだけ笑えれば劇場料金もけして高くは感じないだけの満足度は感じられると思います。良作です。

TWDera