「魂が震える」アイアンクロー luna33さんの映画レビュー(感想・評価)
魂が震える
僕自身もともとプロレスに関しては昔からそこまで興味はなく、でも「アイアンクロー」という必殺技は聞いたことがあるぞ、というくらいの初心者レベル。なのでフリッツ・フォン・エリックというプロレスラー名までは記憶に無かったし、もちろん一家の悲劇も全く知らなかった。
ただ番宣で非常に惹かれて、思わず速攻で鑑賞してきた。結果…やられました。事前の予想を大きく超えてくれた。
実話に基づくとの事だが、ちょっと信じがたいほどの悲劇の連鎖。当初は一家の悲劇を淡々とドキュメンタリー的なタッチで描くのかと想像していたが、思いのほか家族ドラマとしてきっちり成立させていた。
特にケビン(ザック・エフロン)には泣かされた。優しさゆえの気弱で繊細な性格、実は次男なのに長男的な役割に徹し、父親との歪んだ主従関係に苦しみ、弟達への嫉妬と憎しみを一人で抱え、それでも何があっても家族を愛し続ける一途さ。なのに止まらぬ悲劇。そして何よりもプロレスラーとしては「平凡な才能」という悲しさ。
彼がどんな思いで生きた来たんだろうと想像するだけで号泣ものです。ケビンが色んな場面で見せる戸惑いの表情。たまらんかったなあ。優しい人ゆえに傷つきやすいのよね。地獄のような展開の最後、ケビンの現在がとても幸せである事が分かり、涙が止まらなかった。あのラストに本当に救われた気持ちになれた。
役者陣は肉体作りも含め素晴らしかった。
そのマッスルな仕上がりは決して「なんちゃって」などではなく、役者達がこの作品に真剣に打ち込んだであろう本気さを強く感じた。あと個人的に一番痺れたシーンはリック・フレアーの「煽りV」。TVの中で狂犬のごとく吠えまくるリック・フレアーがマジで凄過ぎて、ずっと鳥肌が止まらなかった。
ていうか登場したプロレスラー、みな似すぎてないか?(笑)
なお作品としては別に凝った作りでもないし、何の小細工もない。伏線もないから回収もない、おしゃれさも全く皆無。つまり何のひねりもないどストレートな作品と言える。でもそれが良いんだよね。だからこそこの作品は光るんだと思う。つまりはそういう意図で作られたのだろう。
プロレスに興味のない方でもおそらく存分に楽しめる作品じゃないかな。それにしても今年は「当たり」が多いなと思う。
かばこさん
フォローありがとうございました。嬉しいです。
この映画を観た時もすごく泣けましたが、見終わって何日か経って改めて振り返りつつレビューを書いてるうちにさらに大号泣するという不思議な現象が(笑)
思い出す時って、より大きく感情を揺さぶられるんだなと思いました。
どうもケビンの不器用で健気な生き方が本当に本当に切なくて完全にツボに入ってしまったようです。
ちなみに以前の映画ですがミッキー・ローク主演の「レスラー」も大変素晴らしい作品でした。これも大号泣です(笑)この映画も本当に切ないんですよね。
プロレス絡みって意外に良作が多いかも。
それにしてもかばこさんのレビューには大変感銘を受けました。
今後も楽しみにしていますね。
コメントありがとうございます。
仰ること、共感です。ケビンの、優しさと責任感が刺さりました。複雑な心境を黙って一人で耐えている「兄ちゃん」なケビンが幸せになれて良かったと思いました。
私もプロレス興味ないですが、この映画を見て良かったと心から思います。
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