劇場公開日 2024年12月13日

映画 ふしぎ駄菓子屋 銭天堂のレビュー・感想・評価

全112件中、1~20件目を表示

1.5善い道か、悪の道か、それは自分次第

2025年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

小学校の図書室なら全国どこにでも、本シリーズが置いてあり、子供達に大人気な廣嶋玲子原作の『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』の実写映画化。何と『銭天童』の店主・紅子を大御所女優の天海祐希が演じるということで、昨年話題となった作品。

『銭天堂』の紅子と『たたりめ堂』店主・よどみとが、人々が抱く欲望への執着心を通して、対決していく内容。児童図書をそのままを映像化しただけで、小学生向けのお子様映画で、大人的には、物足りなさを感じた作品だった。特に、監督が『リング』や『スマホを落としただけなのに』などを手掛けた中田秀夫だっただけに、期待していた分、それとは大きく違っていた。まぁ、子供向けの映画ということで、仕方ないのかも…。

銭天堂とは、「自分がこうなりたい」「こんなふうになればいい」という欲望に対して、それに見合うサポートする、不思議なお菓子を売る駄菓子屋。最終的には、それを実りあるものとするには、そのお菓子に頼らないで、自分なりの判断と決断に寄って、努力と行動力が大切であることを伝えている。いかにも児童図書らしい人間育成のテーマが根底に流れている。ある意味、『ドラえもん』の物語やアイテムで、のび太が成長していく所に通じるものがある。

新任教員の等々力小太朗は、着任した小学校のクラスの子供達から、『銭天堂』という駄菓子屋でお菓子を買うと、希望が叶うという都市伝説の様な話を耳にする。実際に、クラスの子供の中には、急に女子から人気が出た男子、勉強ができるようになったりする子がいた。そんな中、等々力が好意を寄せている、ファッション雑誌編集者の相田桃子や、美大進学を目指している等々力の妹・まどかもまた、銭天堂で願いを叶えようとお菓子を買ってしまう。しかし、そこに『たたりめ堂』のよどみが現れたことで、2人とも窮地に陥ってしまうのだが・・・。

CGも子供騙しで、出演者も天海以外は安上がりな作品。とりあえず、天海祐希が出演している事で、なんとか成立している作品ではないかと思った。また、上白石萌音が悪役よどみで出演しているが、彼女のイメージととはかけ離れていて、悪役姿もちょっと痛かった…。

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bunmei21

4.5普遍性

2025年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ふしぎ駄菓子屋 銭天堂──「幸運」は誰の手に宿るのか

暖簾をくぐると、世界の秩序がひとさじだけ甘くなる。
駄菓子屋とは、子どもの手のひらに乗る宇宙だ。
そこには「何でもあり」の引き出しがあり、ドラえもんの四次元ポケットに似た許容のひとときがある。
だが、それは幼さの免罪符ではない。
むしろ、世界の重たさに耐えるための、最小限の魔法の単位である。

『不思議な駄菓子屋 銭天堂』の型は、古い。
「教える」ことが物語の役目だった時代の、わかりやすい構造を保っている。
伏線は素直に回収され、善と悪はきちんと対峙する。
子どもから20代の若者に届くように設計された輪郭だ。
だが、古い型は必ずしも陳腐ではない。
古典的ということは、普遍へ向けて作られているということだ。
誰が見ても楽しめるのなら、その背後で扱っているのは個の事情ではなく、社会の重力——人が同じ方向へ落ちるときの、共通の法則だ。

子どもの世界は変わり続ける。
テストの点数、塾通い、順位、偏差値。
彼らは彼らの尺度で十分に苦しんでいる。
20代の若者にも新しい悩みが訪れる。
進路、恋愛、仕事、自己肯定の欠如。
その延長には健康への不安が横たわる。
結局のところ、人はみな悩みの器を持っている。
器の形が違うだけで、中身は似ている。
悩みがなければファンタジーは生まれない。
現実という摩擦が、夢を見る権利を作り出す。
銭天堂は、その摩擦を受け止める柔らかい掌でもある。

願いはいつも近視眼的だ。
いまの点数が欲しい… モテたい… おしゃれになりたい…
欲望は常に手元を照らす懐中電灯のようで、遠くを照らさない。
そこに影を落とすのが「悪意」である。
もっと強い力がほしい。頑張らなくてもいい点数がほしい。誰かの才能と交換したい。
欲望の隣には、いつでも近道が座っている。
近道はしばしば悪意と呼ばれる。

この配置は、心理学の図解に似ている。
マズローの欲求階層説が積み上がるピラミッドだとすれば、プルチックの「感情の輪」は色相環のように拡がっていく。
だが、この物語が扱うのはもっと具体的な、階段の一段一段でつまづく感覚だ。
エイブラハムの「感情の22段階」に近い。
人は自分で感情を選んでいる。出来事には意味がないのに、意味を与え、反応し、感情を作る。
人間は自作自演の名手である。
だからこそ物語は、感情そのものに裁きを下さず、ファンタジーという手段でそっと手を差し伸べる。

銭天堂が差し出すのは「幸運」だ。
幸運とは、豪奢な贈り物ではない。封を切る音が小さい、小包のようなものだ。
扱いを誤れば、簡単にどこかへ消えてしまう。だからこの物語は、幸運の使い方を、受け取った者に委ねる。
欲望は決して満足しない。
世界の食糧不足は、理屈の上では一部の大金持ちが一瞬で解決できるだろう。けれど現実はそうならない。大抵、動くのは「小金持ち」か、名もなき隣人である。
自分ができないことを他者に押し付けるのは、どこか滑稽だ。
結局、人が確かに動かせる世界は、自分の家族の半径か、自分自身に限られている。だから銭天堂は、個人の願望にピントを合わせる。

この映画の語り手は、おそらく小太郎だ。
彼は「いい人」であるという分かりやすさを持っている。
黒い渦の中へ飛び込んで、妹を救う。
なぜ彼でなければならなかったのか。その答えは、かつて銭天堂に足を踏み入れたことがあるという、わずかな記憶の粒にある。
物語は彼の視点で進み、彼の選択で灯りが点る。
善と悪の対立は、いつも彼の心臓の鼓動に合わせて描かれる。
だが、勝利の瞬間に喝采が鳴り響くわけではない。
ここで救われるのは、世界という巨大な抽象ではなく、たったひとりの人間性だ。
「助ける」という単純で、しかし最も難しい行為が、世界の端をほんの少し明るくする。

お金は、設定だ。
よく言われるように、お金は手段にすぎない。けれど、どうしてもお金になってしまう——この頑固な現実が人間の物語を重くする。
もしこの「設定」から抜け出せるなら、私たちはすでに銭天堂の暖簾をくぐっているのかもしれない。
物語に登場する願望が、テストの点数やおしゃれや恋であれ、根の部分で揺れているのは「交換」と「短縮」の誘惑だ。
努力の時間を圧縮し、他者の才能を移植する。
そのとき、私たちの指先には必ず「支払い」の影が差す。
銭天堂の品々は、支払いの形を問わない。だが、支払いが不要だとは言わない。幸運はつねに、どこかで請求書をたたんでいる。

問いは、観客に返される。
この作品を見た若者のうち、どれほどが普遍へ到達するだろう。
小学生の登場人物が並ぶ画面を前に、どれほどが自分自身をあてはめることを許すだろう。
「子供向け」というラベルを貼って安心したい衝動は、誰にでもある。
だが、救われるべきものはいつだって単純だ。
助けること。それだけだ。助けるという人間性が世界を救う——この命題は、手垢がつくほど語られてきた。
だからこそ、古い型で語り直す意味がある。古典には、繰り返してもなお届かない人が必ずいる、という前提があるというのを、是非知って欲しい。

銭天堂が差し出すのは、結論ではない。
選択である。
自分で感情を選び、自分で幸運を扱う。世界はその手つきで変わる。
私たちがしなくても、誰かがしてくれるわけではない。
けれど、私たちがするなら、世界の端は少し明るくなる。
駄菓子屋の包み紙は、いつも薄い。破れやすい。だからこそ、やさしく持つ必要がある。
幸運とは、やさしく持たれたいものの別名なのかもしれない。

暖簾は今日も揺れている。
中から、やわらかな光が漏れている。
そこへ入るのは、誰でもない。
あなた自身だ。

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R41

3.0天海祐希に見えない

2025年12月31日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

特殊メイクってすごいもので天海祐希のはずなのに松下由樹がちらつく容姿だった。気楽に観れる内容でそれなりに楽しめた。ただ、申し訳ないけど、大橋和也の演技が酷い。某ドラマではそこまで気にならなかったけど、これは子役の方が全然上手いって思ったレベルだった。

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mare

3.0素敵な駄菓子

2025年12月28日
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鑑賞方法:VOD

幸せ

癒される

ドキドキ

天海さんはさすがと言わざるを得ないが、

主演の大橋さんの話し方が気になってあまり話が入ってこなかった
演技も下手かも??

紅子もよどみも道楽で商売してるのは一緒だったり
噂になりすぎてる銭天堂は、それで良いのかとかが気になってしまったけど

心が軽くなることを望むなんて素敵な人柄すぎて観てる自分が闇に堕ちそうで、素敵な話だった

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さる

4.0予想の上をいく出来かな

2025年10月1日
PCから投稿

天海さんの紅子は予測ついてたけど、萌音ちゃんの「よどみ」が怪演すぎていい。
連続アニメはチラッと見たことあるけど、見てなくても大丈夫。
わかりやすい。

学生さん向け映画としてはぴったり。
アニメで十分な気はするけど。

「お客様次第」ってなるほどね。
いい教訓。

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ゆき@おうちの中の人

4.0誰の心にもあるある

2025年9月29日
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鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

ドキドキ

天海さんの怪演、凄い。
駄菓子屋の原風景は誰の心にもあるし、現実では起こらない不思議なことがあったような既視感を覚えました。

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くーちゃん

3.0使う人次第

2025年9月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悪意は悪意を呼び、なお増大する。
善意は善意を呼び、物事はプラスの方向へ進んでいく。
結局、使う人、自分次第。

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上みちる

3.0原作は児童小説ということだが、大人が観ても十分に楽しめると思う。 ...

2025年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

原作は児童小説ということだが、大人が観ても十分に楽しめると思う。
伊原六花の壊れっぷりはホラーだったが、立ち直ってよかった。
上白石萌音の怪演も見もの。
主人公の妹の願いはてっきり「絵が上手くなりたい」だと思っていたが、「きれいな心になりたい」と。
そこは感銘を受けた。

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省二

2.0個人的には

2025年8月30日
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Unext でみました
笑ゥせぇるすまんの二番煎じでしかないかな

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ちゃいろいおうま

4.5子供の頃に教えられ、時が経ち、大人になってからの処生訓

2025年7月22日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

癒される

やはりこういったファンタジーが好きだと再確認しました。
幼少期から「妖怪大戦争」「ゴーストブック おばけずかん」、洋画なら「キャスパー」「ザスーラ」のような作品が好きなので、この銭天堂もワクワクする好みの作品でした。

子供から大人まで、いくつになっても学びがある作品が好きなのかもしれません。
イソップ物語やグリム童話の最後のページに載っていた文を皆さんは覚えていますか?
こうしたらこうなるんだよ、という処生訓を幼いながらに心得るんですよね。
銭天堂にも、その処生訓があると思います。
美味しい話には裏がある。
この作品からすれば「美味しすぎる話」には、ですね。
誤った選択をすれば後悔が待ち受けている。
良い方向に転ぶか、悪い方向に転ぶかは、結局自分次第。
人間誰もが綺麗な心でい続けられるわけじゃないけれど、人を大切に想う気持ちや、楽な道ばかりではなく努力する精神は持ち続けていたいものです。

キャスト面では、よどみ役の上白石萌音さんが圧巻。
普段の役柄とは打って変わってダークなキャラクターがとてもお似合いで、よどみのような役をまた演じてほしいなと思いました。

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あおねる

3.0みんな悪い人ではない

2025年7月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

2025年最初は銭天堂です。それも劇場での鑑賞ができました。嬉しい!

何の前情報も無く鑑賞。
悪の駄菓子といっても人の命を奪ったりするわけでもなく、善といっても悪い心やずるい心のもとで駄菓子を食べるとちょっとしたトラブルに巻き込まれる…心優しく、清らかなファンタジー作品でした。

上白石萌音が最初は誰か分からなかった。

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Kunihiro.Tanaka

4.0面白い

2025年7月8日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

ドキドキ

元々のストーリーも好きで、観ました。
天海祐希さんの演技がさすがと言う感じです。子供と一緒に観たい映画です。

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まきこ

2.5何も考えずに見れる

2025年7月5日
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可もなく不可もなくという感じ。
展開的にはありがちだが、退屈というわけでもない。

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た

5.0大人にも子供にも観てほしい

2025年5月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

児童書が原作ですが、大人にも教訓を与えてくれる作品です。大橋和也くんが好きなので、銭天堂好きの子供と観に行きました!いろんな面白い駄菓子が出てきて子供も大人もワクワクします。セットもすごく凝っていて、楽しめる映画です!

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みどりえ

4.0大人でも楽しめました

2025年4月24日
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鑑賞方法:映画館

大橋和也さんが出演してるためアニメの原作等の予備知識なしで4回観ました。
ちょいちょい出てくる恋愛シーンはいるのか?とは思いましたがアニメの原作がある作品でしたが大人でも考えさせられるシーンもあり飽きずに観ることが出来ました。
上白石萌音さんの演技がとても上手でところどころ子供は怖く感じないのかな?と思うシーンもありましたがそれほど力を入れられているということでは無いでしょうか。

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み

5.0小太郎くんが素敵

2025年4月18日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

カワイイ

小太郎くんが先生として兄として、等身大の自分として色んな場面で一生懸命で素敵でした。
世界観にも惹き込まれました。

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るみぽんち

4.0女優さんてすごい

2025年4月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

大橋和也さん目当てで行きました。上白石萌音さんのすごさに終始圧倒され、大橋さんの妹さん役の方に共感できたりと、久しぶりの映画鑑賞でしたがとても楽しかったです。

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み

4.0こうあるべきだと決して押し付けがましくないところがよかったです。あくまで丁寧に観客に共感して貰うことと楽しんで貰うことに徹している演出が効いていました。ホラー要素も本格的。

2025年1月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

幸せ

 廣嶋玲子原作による人気児童小説「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリーズを天海祐希の主演で実写映画化。

●ストーリー
大学を卒業し自身の母校である小学校へ着任した新米教師の等々力小太郎(大橋和也)。父が亡くなったことで今まで住んでいた一軒家を手放し、母と妹と共に幼い頃に暮らしていた街へと戻ってきたのです。
 担当したホームの小学校の子どもたちから、小太郎は不思議な駄菓子屋「銭天堂」の噂を聞きます。そこには店主・紅子(天海祐希)がいて、その店まで辿り着けるのは選ばれた幸運な人物のみ。招かれた客の願いにぴったりの駄菓子を選んでくれるというのです。但し駄菓子を食べれば願いがかなうにはかなうけれども、食べ方や使い方を間違えると大変なことになるのだそうなのです。どうやら本来の望みを叶えるお菓子を食べて、そこで得られた環境を生かしていくかは自分次第のようなのです。やがて、銭天堂の駄菓子を買ったと思われる人たちの様子がおかしくなり、小太郎が密かに思いを寄せる雑誌編集者・相田陽子(伊原六花)も「もっと認められたい!」という気持ちが止められなくなり暴走してしまいます。
 そんな中、小太郎はもう一軒の駄菓子屋「たたりめ堂」の存在に気づく。その店には不気味な笑いで、人々の悪意を集めるよどみ(上白石萌音)がいました。よどみは人々の悪意を集めて作った駄菓子を売っていたのです。
 小太郎は大切な人たちを守り、よどみを食い止めるため、立ちあがります。そんな小太郎の前に現れた紅子。一緒によどみを追うことになります。

●解説
 一見すると子供向けの陳腐なストーリーに見えがちですが、なかなか人生における成功について、的を得た世界観が描かれており、大人が見ても感情移入してしまうのです。
 願い事がかなうという駄菓子は、一種のメタフアーでしょう。駄菓子を食べれば願いがかなうにはかなうけれども、食べ方や使い方を間違えると大変なことになるという設定の中に、成功してもそれで慢心すると、それが元で失敗を繰り替えすることになるという人生のペーソスが描かれているのです。
 その代表が、小太郎が密かに思いを寄せる陽子でしょう。彼女は、念願叶って雑誌社に編集として就職したのはいいものの、希望とは違うファッション雑誌『エレガンス』に配属されてしまいます。しかしファッションセンスがまるでなくて、自身の衣装について編集長の浅井真美子(山本未來)から厳しく咎められた彼女は、案内役である黒猫・墨丸(声・片山福十郎)に導かれるまま、銭天堂へ。紅子から『おしゃれサブレ』を買う事ができて、食べてみると、オシャレな服だけ、キラキラ光って見えるのです。
 その結果社内でもSNSでも注目を集めるようになりますが、次々と新しいものへと手を出していくうちに、出費も重なっていき首が回らなくなっていきます。
 どうにもならなくなって陽子は、自暴自棄になりそうになるのです。そこに目をつけたのが、よどみです。陽子を「たたりめ堂」に招き、言葉巧みに『強欲あんこ』を売りつけます。それを食べた陽子は、高価な服や宝石が簡単に手に入りるようになるのです。
 ところが、その強欲を抑える事ができず、やがて犯罪もいとわなくなってしまうのです。
 このように陽子の成功したがゆえの、転落が描かれます。紅子がもう少し融通がきく駄菓子を販売してくれても良かったのではという疑問を持ちがちですが、『おしゃれサブレ』が悪いのでなく、あくまで陽子の選択の問題だったのです。働いて貯金が貯まるまで待つ方法もありました。それを待ちきれず、すぐに結果を求めてしまったのが、陽子の本当の失敗の原因だったのです。
 本作では、このように選択の自己責任と自助努力が描かれます。これは御利益宗教や拝み屋など願い事の実現だけを取り上げることの問題点が浮き彫りにされているのです。
 成功を焦る余り、失敗してしまうことは、誰にでも起こり得ることです。本作で描かれる展開には、思わず多くの観客が共感してしまうのは、陽子をはじめターゲットの心的描写が丁寧に描かれるため、苦痛や悲嘆が伝わりやすいところにあると思います。

 その後の展開では、小太郎の妹まどか(平澤宏々路)の親友の百合子(伊礼姫奈)との間に芽生えてしまったエゴやネガティブな感情をすべて消し去って欲しいという願いや、小太郎自身の子供の頃の銭天堂との意外な関わり合いについて描かれていき、もう感動与えてくれる展開が続きます。見ている観客の心も浄化されること請けあいです(^^)。

●キャスト、監督について
 全体的に勧善懲悪のストーリーですが、こうあるべきだと決して押し付けがましくないところがよかったです。あくまで丁寧に観客に共感して貰うことと楽しんで貰うことに徹している演出が効いていました。
 誰が演出しているのか、エンドロールで納得。監督は「リング」や「らせん」でお馴染み、中田秀夫監督。どうりでよどみが、小太郎たちを引き込む異界のおどろおどろしい描写などホラー要素が本格的なのは監督ならではです。

 ところで本作は、キャストとキャラクター設定が凄くユニークです。紅子役の天海祐希なんて、当初誰が演じているかわかりませんでした。特殊メイクで豊満なおばあさんに変身していたので、天海が演じているなんて想像つきませんでした。
 また、よどみ役の上白石萌音も、誰が演じているか、わかりませんでした。妖しさ満点の演技で、バッと見では可愛い萌音ちゃんとは、誰も気づけないでしょう。
 さらに陽子を演じた伊原六花の演技力も素晴らしいと思いました。とにかく平常時のダサい田舎娘から、派手派手に着飾った強欲女への変身ぶりが凄かったのです。
 そして最後にとにかく純粋で正義感が強くて、熱血教師を演じた小太郎役の大橋和也がピッタリでした。

●最後にひと言~金色の招き猫
 本作シリーズで人気が高いのは、金色の招き猫ちゃんたちです。
 店の地下で銭天堂の商品を作りながら働く招き猫。銭天堂の商品が客に幸せをもたらすと、小瓶に入った小銭(商品の代金)がこの招き猫になるのです。個体名は全て紅子が考えており、主にその招き猫の担当している仕事や、誕生するきっかけとなった商品の名前が由来となっています。普段は普通の猫と同じ位の大ですが、体の大きさを自由に変えられます。墨丸と同じく普段は「ニャー」としか話さないが、普通に喋ることも可能です。 原作シリーズでは、個体名が判明している者だけで、実際には100匹を超える招き猫が存在しているそうです。

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流山の小地蔵

3.0墨丸が可愛かった

2025年1月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作やアニメに登場する駄菓子やエピソードが関連付けられていて、実写でみるとリアル感があって面白い思う。生徒の中で都市伝説「銭天堂」が広まっているのもリアルで良かった。
ストーリは児童向けで物足りない。大団円で終わり嫌な気分にはならないけどスッキリもしない。主人公の1人である新米教師が毒にも薬にもならなかった。彼は必要だったのか。
ただ墨丸は可愛かった。

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Suz Very

5.0わくわくしました

2025年1月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

等々力小太郎くんかっこよかった!
子供向けの映画ではあるけど大人でも楽しかったです!
どのお菓子も面白い名前で気になったし食べたくなったなーー!

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はる
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