「【"月の表側と裏側。人間の本質を一面で観て判断する愚かしさ。”就活最終面接GDでの6人の大学生のスリリングな遣り取りとその後を描いた作品。けれど、私だったらあんな企業はこちらから内定を断るね!】」六人の嘘つきな大学生 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"月の表側と裏側。人間の本質を一面で観て判断する愚かしさ。”就活最終面接GDでの6人の大学生のスリリングな遣り取りとその後を描いた作品。けれど、私だったらあんな企業はこちらから内定を断るね!】
■優良企業の”スピラリンクス”への内定を勝ち取るために、最終選考に進んだ嶌(浜辺美波)、波多野(赤楚衛二)、久賀(佐野勇斗)、矢代(山下美月)、森久保(倉悠貴)、袴田(西垣匠)。一万人の応募を突破した6人は人事部員から、”一か月後の最終選考はGDです。場合によっては6人全員が合格の場合もあります。”と告げられ、それまでに定期的に会い絆を強めていく。
だが、一か月後の本番前に人事からメールで”財務上、内定者は一名にします。”という酷いメール(以前、採用をサブ業務としていた事があるので、”あんなメールを送る企業は駄目だね。”と思う。)が6人に届き、動揺が走る。
嶌がGD会場で見つけた封筒の名から6通の封書が見つかり、一通を開けると、そこには袴田が高校時代に野球部で苛めをしてある部員を自死に追いやった事が書かれていた。そして、次々に明らかになる6人の”月の裏側”・・。
◆感想
・作品の設定は面白かったな。少し気になったのは、序盤で明かされた”月の裏側”を裏付ける関係者の証言の見せ方かな。
数年後に、只一人合格した嶌が見せた波多野が遺した映像には、その続きが夫々有って、そこには一人一人の真実が映されていたシーンである。
所謂、後出しジャンケンであり、少し製作方法としてはズルイ気がしたんだよね。
・けれども、最終選考に進んだ6人を演じた浜辺美波、赤楚衛二、佐野勇斗、山下美月、倉悠貴、西垣匠のGDの中で、夫々の”月の裏側”が明らかになって行き、場が混沌として来る状況内でのお互いに疑心暗鬼になり駆け引きする演技は、スリリングで面白かったな。
追い詰められて開き直る袴田を演じた西垣匠、矢代を演じた山下美月、森久保を演じた倉悠貴、久賀を演じた佐野勇斗、冷静になろうとする波多野を演じた赤楚衛二、嶌を演じた浜辺美波の姿。流石、若手気鋭俳優達だなと思ったな。
ちょっと、ギャーギャー言い過ぎな感じもしたけれども、”まあパニックにはなるよな、会社はメンタルの強さを見ているのかな・・。学生さんが可哀想だな・・。”などと思いつつ鑑賞続行。
・GDで時間を決めて誰が内定者にふさわしいかを自己申告でホワイトボードに”投票する”スタイルも、スリリングさの醸成に貢献していたと思う。”月の裏側”が明かされると、一気に”投票数が減る”所なんかもね。
<そして、数年後に病没した波多野の妹が嶌を訪ねて来て、兄の遺品から見つかった”真実”を嶌に託し、彼女が社会人となっていた久賀、矢代、森久保、袴田を呼び波多野が遺した”声”を聴かせ、彼が調べていた夫々の”真実”が明らかになるシーンは、少しホッとしたな。
今作は、人間の本質を一面で観て判断する愚かしさと、人間の本質は”善”である、と言うメッセージではないのかと思ったな。
それよりも、私だったら”最初に”全員に内定を出す可能性もある。”と言っておいて、一か月後の最終選考直前に、メールで”内定は一人にします。”と連絡し、盗撮みたいなGDを最終選考方法にする企業何て、こちらからお断りだよ!”って思ったな。じゃあね。>
選考方法、実は人事側にも理由があったんですけどね…
また、原作ではGD中に“ある人物”が各メンバーにインタビューする話が挿し込まれてます。
これにより、後出し感より月の裏側を見た気になる危うさを感じたり。
かなり薄味にされちゃってるので、是非原作読んでみてほしいです。