劇場公開日 2024年9月13日

「多面的≒都合のいいやつ」スオミの話をしよう サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0多面的≒都合のいいやつ

2024年10月2日
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鑑賞方法:映画館

笑える

単純

三谷幸喜って、当たり→ハズレ→当たり...と打率0.5の変わった監督だから、前作「記憶にございません!」がなかなかに傑作だったため、正直本作は期待していなかった。予告の棚上げ感も凄かったし。そしたら案の定、いや、想定を遥かに上回る酷評の嵐。もう、時代遅れなのか?と少し悲しくなったけど、三谷幸喜は日本の映画監督の中でも結構上位に入るくらい好きな監督だから、ここは見ておかないとと鑑賞。期待と不安、2:8って感じ。

結論から述べると、面白くないわけじゃないけど、面白いわけでもない、みたいな中途半端な映画だった。まあでも、三谷幸喜ってずっとこんな感じ。一応、彼なりに自分のファンが期待しているだろう作品を作ったんだろう。現に、自分は2時間飽きることなく楽しめたし、かなりの粗はあれど、これはこれでアリなんじゃないか?と思うくらいの作品ではあった。

まぁね、酷評される理由も分かりますよ。「ザ・マジックアワー」や「ステキな金縛り」を撮った人とは思えない、作り込みの粗さ。でもこれ、たま〜にやっちゃうんだよねこの人。好き勝手やっちゃうがばっかりに、支離滅裂なストーリー、ダダ滑りなギャグ、終着点を見失ったラストと、あれ?どうした?と思っちゃうところが多い。
でも、「THE 有頂天ホテル」よりは断然マシ。あれは酷かった。あの作品と比べると、笑えるところはしっかりあって楽しかったし、ストーリーもくちゃくちゃだけど目的は変わらず、完全に舞台な映画だし人を選ぶとは思うけど、個人的にはそこまで怒りは湧かなかった。

ただ、極上ミステリーという宣伝はあまりに酷い。三谷幸喜が狙っているのか知らないけど、ミステリーとして見ればゴミクソ。救いようのない最低な作品だと思う。三谷幸喜最高傑作の謳い文句も有り得ない。予告がこの映画の質を下げている気がする。だから火のないところから煙が立つ。しかも、この人の映画の予告っていっつもこんな感じ。もうそろそろスタイル変えたら?安定した数字は取れるかもだけど、ずっとこんなのだとどんどん客足遠のいていっちゃうよ?本人ももっとバシッと言ってやっていいと思うんだけど。

あと、登場人物の扱いがあまりに不平等でまとまりが無かった。そもそも、タイトルロールであるスオミが好きになれないし、瀬戸康史と戸塚純貴に至ってはただ居るだけでほとんど活躍なし。要らないまである。それよりもっと可哀想なのは、小林隆演じた3番目の夫の係長。雑すぎる。設定が甘すぎる。七変化と言いながら、早くもネタ切れしてるじゃないか。せめて覚える努力だけはしてくれ。ただ、西島秀俊と坂東彌十郎はめちゃくちゃ良かった。キャラもブレずに面白かった。

本作ベストシーンは間違いなくラストのヘルシンキダンス。インパクトが凄くて、一度聞いたら頭から離れない。こんなにヘルシンキを推すなら、ヘルシンキエピソード作っても良かったのに。おじさんたちの過去じゃなくて、スオミについて知りたかったのに。ん〜、そこじゃないんだよねぇ。
でも、ヘルシンキダンスで動きがぎこちない坂東彌十郎がいちばん笑えた笑笑笑 キャラなのか本当なのか、どっちか分からないけどらしさ全開で面白かった笑笑 なんか可愛く見えてきたんだけど。

残念な映画ではあったけど、みんながこぞって酷評するほど醜いものでもない。これ、映画あるある。「変な家」とかもそうだけど、やっぱりみんな叩きたがるんだよ。叩きたいんだよ。いやいや、世の中にはもっともーっと酷くて最低な映画は山ほどありますから。あなたたちはまだ底辺を知らない。クソ映画のことなら何なりと。

サプライズ
uzさんのコメント
2024年10月3日

ノックスの十戒じゃないですが、「ミステリ」を謳うなら十分な手掛かりを提示してほしい。
ただ“謎”があるだけでミステリを名乗る作品が多すぎます。
このまま評判が下がると、ヘルシンキならぬ「減る新規」に…(オイ

クソ映画さえ楽しめるようになって、はじめて映画好きだと思ってます。笑

uz