「三谷幸喜を支持す」スオミの話をしよう たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
三谷幸喜を支持す
三谷幸喜が好きである。本来劇作家であり向田邦子賞の超優れた脚本家であることは誰しも認めるところだが本人が言うように「映像作家では無い」が故にこんなに面白い作品を「映画的で無い」ことを理由にけなす輩が多くて不愉快なのだ。しかしいくら彼の計り知れない才能に嫉妬してみても興行成績は嘘をつけない。デビュー作「ラヂオの時間」が「映画作品」として画期的だったのもワンカット長回しの緊張感が生み出す生放送的空間の創出でその後の「カメラを止めるな!」等に影響を与えたであろうことは間違いなく、たとえ「モンタージュ」に精通していなくてもそれは立派に映画監督なのだ。今作は大好きな黒澤明の「天国と地獄」をモチーフにしたミステリー風コメディで冒頭の「ベンケーシー」風のいかにもなドラマ音楽に乗って車がアイリスインしてくるだけでもう同世代の我々はときめいてしまう。そんな三谷幸喜が大好きと公言する長澤まさみを主役にやりたい放題にやり切った作品でツボにはまらなかった人にはマジでつまらなかったのかも知れずそれはご愁傷様だけれど、さすがに中学生役は吹き替えだったか‥と思わせておいてフレームインしてくるおさげの中学生&その母が単純なセンターワイプ合成で三者面談するシーンとクライマックスのワンカット5変化シーンは圧巻で彼女はコメディエンヌとしてこそ輝く(シリアスな演技もできるだけに強い)ことを証明して見せた。「体育館の鍵閉めました」と割って入って来る宮澤エマ、「僕もスオミに会いたい」と駄々をこねる瀬戸康史もグッドでした。
コメントする