「コメディはともかく、サスペンスとして酷評するまでの映画ではないかな」スオミの話をしよう 落ち穂さんの映画レビュー(感想・評価)
コメディはともかく、サスペンスとして酷評するまでの映画ではないかな
【あらすじ】
スオミという女性が誘拐されました。
夫と元夫たちが協力して要求された金額を集め、救出に向かったはずでしたが、空から放り投げたアタッシュケースの中は空でした。
妻の命より金の惜しくなった夫が金庫に隠してしまったのです。
しかし、結局のところ、スオミ自身による狂言誘拐でしたので、実害はなし。
スオミは夫と離婚し、別の新しい男をひっかけて去っていくのでした。
【感想】
コメディ映画としては、どのあたりが良かったのかよくわかりませんでした。映画館でも部分部分でちょっと笑うという人たちがチラホラいた程度で、多くの人は静かなものでしたね。
サスペンス映画としては、狂言だろうと最初から思わせて、誰が彼女の協力者か当てさせるというのが推理的な肝だったのかと思います。
人が結構出入りするので、紛らわしくはありますが、協力者が協力者であるのに無理なところはなく、面白いところは全然ありませんが、納得はできました。
但し、ヘボ探偵な自分は、「ね」ナンバーの元夫2でなければセスナ機を用意できないので、身代金がアタッシュケースから無くなっていた時点では、富豪の資産をスオミと元夫2の2人で奪うつもりの芝居なのかなと、チラッと考えたりしてしまいました。
映画の全体的な印象として、男たちにとってスオミは自分たちそれぞれにピッタリの都合のいい女なもので、離婚してからも未練たらたらで、全員カッコ悪くて仕方なかったです。
最初の夫だけはスオミの本性を知ってはいるものの、結局献身的に尽くすのみで、体育教師であったという肩書きが必要なのか不思議なくらいナヨナヨしく、流石の遠藤憲一、十分気持ち悪かったです。
あと、ラストで、スオミが住みやすいヘルシンキで老後を暮らしたかったとか犯行動機を歌っていましたが、forbes.comの2024年度住みやすい都市ランキングの20位以内、EIUの同様の調査の10位以内のどちらにも入っていなかったことが、凄く気になっています。
どちらの調査でも、いつも1位はウィーンなのですから、シナリオ的にウィーンと歌わせておけばいいものを、微妙なランクの都市を連呼させたので、かえって中途半端に印象が残ってしまうという…(気になって、ランキングを調べてしまったくらいに)
子供時代に住んでいたとか、あまり本筋に関係ない微妙なところを紐付けてくるのはないだろうと思いますので、もしかすると、かの国に住みたいという話もスオミの適当な嘘なのかもしれないとまで勘ぐっています。
というのも、さも自立したいみたいに歌ってはいたものの、既に新しい男(瀬戸康史)に入れ込みさせている点で、色々嘘なんだろうと軽く想像がつくからです。
因みに、先述のEIUの調査では住みたい都市の9位が大阪です。ヘルシンキより上位なので、スオミさんにオススメしたいです。