「予告編の功罪」スオミの話をしよう TKTさんの映画レビュー(感想・評価)
予告編の功罪
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三谷作品は過去に『記憶にございません!』を鑑賞済。これが結構面白かったことに加え、長澤まさみをプッシュした作品ということで劇場で見るしかないなと思いました。
とにかく予告編の小気味いい感じに惹かれたので、笑いあり涙ありのコメディとして仕上がっていることを期待していたら、、、、
蓋を開けたら「長澤まさみで何とか画がもっただけのB級ドタバタ群像劇」でした。
5人の夫も、最後のミュージカルも、すべて長澤まさみという女優を最大限に魅せる装置でしかなく、誰にも感情移入できずに終わりました。
登場人物がひと癖あるようなキャラばかりなので、しっかりと深堀りしてスオミとの関係を描いていたら面白い結末になっていたかもしれません。もっとも、それを2時間の映画ですべて描き出すのは不可能であり、その意味でこの作品は舞台かドラマのような形式が合っていると思います。
スオミという人物を「周りに合わせることでしか生きられない現代人の象徴」として捉えることもできそうですが、そういうメッセージ性を持たせるには中途半端なギャグや小ボケが多く、振り切れていないなという印象です。スオミという人物がなぜそうなるに至ったか?という観覧者が一番気になる点に一切触れず、ご想像にお任せしますというスタンスであるため、見終わったあとに突き放された感じがします。
長澤&宮澤ペアの息の合った演技、突拍子もない設定にもかかわらず違和感を感じさせない男性陣、愉快なテーマ曲、良い点ももちろんありますが、全体を通して振り返るとあまり良い映画とは言えないかな、といったところです。
何が言いたいかと言うと、予告編が巧みに作られすぎていましたということです。
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