「舞台劇なら最高だったけど・・・」スオミの話をしよう 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
舞台劇なら最高だったけど・・・
三谷幸喜監督の下、主演の長澤まさみをはじめ、西島秀俊、坂東彌十郎、松坂桃李、瀬戸康史、遠藤憲一などなど、豪華キャストが配されたゴージャスな一作でした。予告編も散々観たので、何となくドタバタ喜劇なんだろうなというイメージを持って観に行きましたが、ちょっと残念な結果でした。
長澤まさみ演じる”スオミ”と言うのは、フィンランド語で”フィンランド”を意味すると言うことが明かされ、実際その通りのようです。彼女の現在の夫は坂東彌十郎演じる寒川しずおでしたが、予告編でも公開されていた通り、寒川は5番目の夫というのが話のポイント。それぞれの夫ごとに性格が全く異なるスオミが、一体何者なのかということを解き明かしていく謎解きの妙を楽しむべき作品だったと思われるのですが、正直かなり無理のあるストーリーだったように感じてしまいました。
また、最終的にフィンランドの首都”ヘルシンキ”を唄ったミュージカルチックな唄も登場し、長澤まさみが唄に合わせて登場人物が踊るシーンで幕になるなど、徹底的にスオミ=フィンランド=ヘルシンキに拘ったお話でしたが、フィンランドのシーンは一切なく、8割方が坂東彌十郎演じる寒川しずお邸が舞台になるお話でした。フィンランドで生まれたらしいスオミが、フィンランドに拘るのも分からないでもありませんが、狂言誘拐までして拘るほどの気持ちもイマイチ理解出来ず、結局最後までその辺の引っ掛かりのために面白さも半減してしまったように思いました。
ただ、前述のとおりほぼほぼ寒川邸が舞台になっていることや、最後はミュージカルのようにして締めくくられることから、本作が舞台劇であったとしたら、相当面白かったんじゃないかとも感じたところ。無理は承知ですが、舞台劇として公演してくれれば、是非観に行ってみたいとも感じた作品でした。
そんな訳で、映画としての本作の評価は★2とします。