「良くない方の三谷幸喜が出てしまった…」スオミの話をしよう プリズナーN0.6さんの映画レビュー(感想・評価)
良くない方の三谷幸喜が出てしまった…
あの「ギャラクシー街道」よりはマシだけど、「12人の優しい日本人」や「ラヂオの時間」のような傑作からすると完全なる失敗作。
「ここ、笑うところですよ〜」と言われても、つまらないものには笑えない。アレだけの錚々たる“三谷組”のメンツを集めておいて、馬鹿げた三文芝居をやらせるのはいかがなのものか。
「鎌倉殿の13人」で見せたウィットに富んだ軽妙なストーリー展開はどこへ行ったのか。もしも小栗旬と小池栄子がいたら面白くなったのか…そうとは思えない。
あと、分かりにくい構成のためか、宮澤エマが登場するたびに、近くの席のおばちゃんが「アレってさっきの人と同じ人よね?それとも違う人?」とボソボソつぷやいていたのはうるさかったが、これまで三谷幸喜のせいにはしないであげよう。
P. S. ひょっとしたら舞台劇だったら意外と良かったかもしれない。当初はそのつもりだったのでは?
最後に推察している通り、この作品は監督が「舞台を作る手法を使って映画を作りたい」というコンセプトの元作られた映画です。
役者陣は舞台同様稽古部屋に集まり、1ヶ月近く舞台と同じ形式で稽古をした上で撮影に望んでいます。シーンが変わった後の役者の配置に何となく「舞台感」があったり、本来アップで狙うようなカットも敢えて画角をずらし、後ろの役者の演技を映したりしてるのも、観客が舞台上の色々な役者の演技を観る目線を再現しているのかと。キャスティングも瀬戸康史(笑の大学)や宮澤エマ(オデッサ)など最近の三谷舞台の役者さんを集めてますね。
「映画は期待してみたらダメ」と言うなら「三谷幸喜の最高傑作」などと言う宣伝をした東宝が戦犯と言う事ですかw
ちなみに「レイダース」は初見からメチャクチャ面白かったですが、アレでガッカリとした方もいるんですねぇ。
私は三谷幸喜作品は当たり外れの振り幅が大きいと思います。というか、そもそも彼の本質は舞台にあると思うので、たまたまその脚本が映画というフォーマットに合った時に高い評価を得るのかと。