劇場公開日 2024年7月12日

「「デスノート」の「L」を演じた松山ケンイチくらい、ものすごいプレッシャーがのしかかる役柄」キングダム 大将軍の帰還 えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「デスノート」の「L」を演じた松山ケンイチくらい、ものすごいプレッシャーがのしかかる役柄

2024年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

興奮

秦と趙の全てを懸けた<馬陽の戦い>で、敵将を討った信(山﨑賢人)と仲間たちの前に突如として現れた、その存在が隠されていた趙国の総大将・龐煖(吉川晃司)。自らを<武神>と名乗る龐煖の圧倒的な力の前に、次々と命を落としていく飛信隊の仲間たち。致命傷を負った信を背負って、飛信隊は決死の脱出劇を試みる。

「俺たちで、信を守り抜くんだ――。」

一方で戦局を見守っていた王騎(大沢たかお)は、趙軍の裏に潜むもう一人の化け物の存在を感じ取っていたが、劣勢を覆すべく最強の大将軍として再び戦地に舞い戻った。王騎と龐煖の過去の因縁とは?遠くから戦いを静観する軍師・李牧(小栗旬)の正体とは??

今、因縁が絡み合う馬陽の地で忘れられない戦いが始まる――(公式サイトより)。

大人気漫画の実写映画化だが、第1弾公開当初から4本分まとめて撮っていたらしいという噂が流れていた。本作が「シリーズ最終章」と銘打たれているところから察するにどうやら本当だった模様。

大沢たかおが演じた王騎将軍は原作の中で最も人気と強さと癖を兼ね備えた、極めて漫画的で強烈な個性を放つキャラクターであり、喩えるなら「デスノート」の「L」を演じた松山ケンイチくらい、ものすごいプレッシャーがのしかかる役柄だった。キングダムの実写化は大げさではなく、この「王騎」のクオリティにかかっていると言っても過言ではなかった。

わたしたち原作ファンは身勝手なもので、「L」の時と同様、キャストが発表されたタイミングで、観てもいないくせに「どうせ」という失望を覚えた。ほどなくトレイラーが公開されると「どうせ」という失望は、「お」と言えるくらいに持ち直し、そしてこのシリーズ最終章ではまさに「大沢たかおショー」と呼べる完成度で王騎を演じきった。素晴らしかった。

そう考えると、2019年の第1弾公開以降、セットやエキストラ、ロケ地も然ることながら、大沢たかおがあの体躯を維持しながら、年単位で複数回に分けて撮影することは不可能だったように思う。一気に撮ったのも頷ける。

李牧が小栗旬で良かったのかどうかは議論の余地があるとしても、ちょっとシュールな面白さを持ちながらもめちゃくちゃ強い騰を演じた要潤は原作のイメージ通りだったし、李牧に仕えるカイネを演じた佐久間由衣も脇ながら、カイネっぽい眼がとても良かったし、摎を演じた新木優子も「いや16歳はさすがに無理があるだろうw」という軽いツッコミを感じさせながらも、美しく強い武将を好演した。「百個目の城」のシーンは原作でオチまで知っているのに泣けた。オレなんでもやります山崎賢人は今回も泣いたり叫んだり飛び跳ねたりしていた。

えすけん