「お祭りのようなもの」キングダム 大将軍の帰還 タニポさんの映画レビュー(感想・評価)
お祭りのようなもの
度々、作中で言われる、「天下の大将軍になる」というのはどういうことなのか、と、考えた。
〝大将軍〟ということは、戦争の英雄のことなのかもしれない。戦争の英雄、ということは、人々の命を殺めた先にある存在の事を示すと思う。
三作目に少しだけ垣間見えたような兵法のような合戦は今作で無くなっていた。力と力のぶつかり合いになり、窮地に至っては「十倍の兵力があるのなら、一人で十人を倒しなさい」と、もはや根性で争いが行われていた。なんだかよくない戦争ものを観ている心地もした。
戦争なのだから、敵将を狙うのは当たり前なのではないか?と不思議に思う所もあった。それが私情として復讐になろうとも、お互い敵であれば知ったこっちゃないことなのではなかろうか、と謎に思った。
戦争ものとはいえ、これはアクション映画なのかもしれない、と思いつつ、カンフー映画のようにも感じた。映画、としては一貫性が無いと思う。薙刀のような武器がぶつかり合い、その威力で柄がひん曲がるほどのことがあっても、それとこれとは映画のテーマに関係あるのか、といえば無いような気もする。ああ、そうですか、で終わる。
様々な配役の演技が観れるのは面白くありつつも、顔のアップの画面が多く、回想は回想でたっぷりあり、上映時間も長く感じた。
観ながら、これを作るのにどれ程のお金がかかり、どれ程の人が関わり、どれ程の時間がかかっているのか、を想像した。
内容としてはA4サイズの紙二枚ほどの内容だった。
攻め込みすぎたら挟み撃ちに遭い、そこで宿敵と合戦した後に、脱出を試みる、といったぐらいだった。
そう思うと、この「キングダム」という作品は一種のお祭りのようなものにも思える。
そういう祭りとしては、なかなか四作品も作ってよくやったのかもしれない。
続きも作れそうであるようにも感じつつ、また五作目が作られたら、観るかどうかはちょっと考えてしまうようにも思った。