「偉大なる大将軍 王騎の誇りと威厳」キングダム 大将軍の帰還 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
偉大なる大将軍 王騎の誇りと威厳
アニメは配信されている所まで2回通り観て、ストーリーの展開も分かっているのに、久々の星5つでは足りない★★★★★★の作品。とかくアニメやコミックの実写化は、物言いがつくものだが、本シリーズに関しては、1、2、3、そして本作と、その撮影スケールも激しいアクションもグレードアップし、物語の重厚さも増してきたと感じた。また逆に、実写化だからこそ伝わる、個性豊かなそれぞれの登場人物の表情や想いが、佐藤信介監督の素晴らしい演出によって引き出されていたと感じた。
本シリーズの主役は、信を演じる山崎賢人であるが、本作については、サブタイトル通り王騎を演じた大沢たかおが主役と言ってもよいだろう。これまでのシリーズでは、「ムフッ」と笑みを浮かべていた大将軍・王騎の生き様が明かされる中、趙軍の大将であり、因縁の相手・龐煖との戦闘シーンは、これまでにない怒りと恨みに満ち溢れた感情と緊迫感が伝わってきた。真の武将としての威厳と誇りに思わず目頭が熱くなり、大沢たかおが演じているというより、王騎そのものがそこに存在しているようだった。アカデミー賞助演男優賞、最有力候補だと思う。
前作のラストで、馬陽の闘いで趙の将軍を倒した飛信隊の前に、突如現れた龐煖。その龐煖の圧倒的な力の前に、信も羌瘣も打ち破れ、壊滅的な痛手を負った飛信隊。そして趙国は、その勢いのまま秦国への進軍を始める。それを阻止する為に、秦の大王・えい政は、王騎を総大将としての秦軍を向かわせる。そして、両軍入り乱れての凄まじい戦闘が勃発する中で、王騎と龐煖との、宿命の対決の幕が切って落とされる。
しかし、その戦闘の後方には、趙国最強武将三大天の一角を担う李牧が控え、目の前で繰り広げられている秦軍と趙軍、そして王騎と龐煖の戦闘を見据えているのだ。この後の『キングダム』では、李牧がキーマンとなって秦軍や飛信隊の前に立ち塞がっていくわけで、これで映画は最終章のようだが、是非とも、本作の続編として5、6作目を製作して欲しいと思う限りだ。
また、本シリーズは豪華な出演者も見どころ。主役の山崎賢人、吉沢亮はもちろん、本作では主役を喰った大沢たかお、吉川晃司、山田裕貴、要潤、山本耕史、玉木宏、佐藤浩市、草刈正雄、そして小栗旬の男優人。女性陣も橋本環奈、清野菜名、杏、長澤まさみ、本作には新木優子の初出演と、誰もが主役を張れる豪華俳優陣に目を見張る。
とにかく、王騎の姿を中心に、心が揺さぶられる内容と展開で見所満載の本作。シリーズの最高の作品であったと思う。